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健康経営、うまくいかないわけだわ

健康経営EXアドバイザーとして、昨年まで人的資本経営や健康経営度調査まわりの支援としてSaaSやコンサルティングをコツコツ統括していて思ったこと。

大体の企業のボトルネックは同じところであり、手段の目的化が顕著である。
そんな状況下で皆さん頑張っているけれど、「健康経営、うまくいかないわけだわ」と改めて思った次第です。


対象

今回はちょっと限定的な環境を例示します。
・攻めの(法定ではないが実施している)施策についてを議題とする
・健康診断などの法定項目は100%達成しやすいので論点に上げない
・社内の工事をはじめとした物理的な仕組みは除く(設計とかジム作ったとか運動場とかね)

対象になるのは例えば、骨密度計測会や健康イベント、食生活見直しセミナー・・・などどの会社でもやろうと思えばできる施策についてですね。
そして、この施策がうまくいっている企業がとても少ないと感じています。

”うまくいっていない”とは?

まず、冒頭述べたボトルネックは認知度や参加数値といった領域になります。

人的資本経営のための施策として戦略マップをたて、課題を策定してPDCAを回す、というのが健康経営推進のシンプルな概略ですね。
健康経営度調査に参加する企業もかなり増えてきた中で、PDは多くの企業がクリアできているように感じています。
一方で”C”がうまく機能せず、それにより”A”ひいては次サイクルの”PD”の行先が影響を受けてしまっています。

”C”がうまく機能していないという点について。とてもシンプルです。
ボトルネックである「参加者不足」あるいは「参加者の偏り」です。
この状態ではCheck(分析や傾向把握など)を行うものの、対象データに制約があり信憑性が低い状況です。
Ex.母数が分析に満たない、半数未満の参加、既に健康意識が高い人が中心になってしまうなど。

”C”が機能不全に陥ることで、次工程の”A”がなんともエッジの効かない施策にレベルダウンします。(Cの母数を獲得することが次のアクション目標に修正されてしまう)
具体的には「参加人数を◎◎%に引き上げる」といったイメージです。
このタイミングで、PDCAの軸がズレ始めます。
本来であれば「◎◎を実施したらXXになる」かどうかを検証したい・あるいはXXの状態を目指したいのに、「◎◎を実施する人をYY人にする」というCheckのための目標にすり替わっているます。

目標が「成果」から「過程」にランクダウンしているんですよね。戦略マップに当てはめると、後工程に1つづつ下がるイメージです。手段が目的になっています。
成果がどんどん遠のき辿りつかないので、それはつまり”うまくいっていない”。

施策担当者の実態

このような状況下で、担当者が行なっている事は?インナーマーケティング力を日々磨いている状態になっています。
「参加者増加のためにはどうやったらいいのか」
「参加者増加のためには他のツールに変えたらいいのかも」
そんなことを日々考えるようになります。

本来であれば以下のような事を考えるのに時間を使うべきです。
「この目標のために何をしてもらうのが良いか」
「この目標のためにどんな指標を策定するのが良いか」
サービス選定時には「利用者がどれくらい見込めるか」なんて気にせずに「そのツールで何が達成できるのか」だけを検討できるのが理想です。

そして運用会議においては、伴走するコンサルタントのアドバイスもまた、参加者数の増加関連が中心になってしまいます。
方針策定工程と運用工程でかなりのズレが生じていると言わざるを得ない状況です。

で、どうしたらいいの?

施策と告知・浸透についてはある程度切り分けを行うべきです。もちろん成果指標の一つとしてあるべきですが、現状は「間接的な数値(参加率など)が健康経営の評価指標になってしまっている」と言えます。
ボトルネック(参加率など)を解消することで、実りのある人的資本経営ができると考えています。ESGやSDGs的な観点から言うと、「健康経営、ツール入れてなんとかするぞ!」というのは間違っていると思う。

例えば、社外に対しては「マーケティング部」や「広報部」がきちんとありますよね?外部の広告代理店を使うことだってありますよね?
健康経営を取り扱う担当部署の中にマーケターを1名配置しましょう。兼任でも構いません。外部コンサルとして社内マーケについてもちろん切り込んではいましたが、やはり内部を熟知している人に越した事はないのです。
リソースに余力がないと皆さん口を揃えますが、「マーケターを設置すること」は「高額なツールを入れること」よりも合理性のある「人的資本」への投資ではないでしょうか?どんなツールを入れても大体うまく運用できる組織や仕組みを整えていきましょう。

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