「ガウディの伝言」を読む途中…
・ー アントニオ・ガウディ ー・
言わずと知れたあのガウディ。サグラダ・ファミリアをつくった人。いや、まだ完成途中ですね。
そのサグラダ・ファミリアの彫刻師である外尾悦郎氏の著書「ガウディの伝言」を読んでいる。まだ途中なのだけれど、その内容が余りにも素晴らしくて、刺激的で、面白くて、一気に読んでしまうには勿体なくて、時々本を閉じては掃除をしたり音楽を聴いたりネイルを塗ったりしながら、読んだところを反芻したり写真をじっくり観察したり、目一杯味わいながら読み進めている。こんな風に本を読むのは初めてだ。その章節ごとの感動を、身体と心にじっくりと浸透させて、なんなら何度も読み直して、「このままずっと読み続けていたい欲」にとらわれている。
人は感覚的に二種類に別れる嗜好があるような気がする。芸術的な嗜好の感覚。
一つは直線的で幾何学的な「アール・デコ」様式。色でいうと黒白のはっきりとしたコントラスト。無駄がなく合理的。大量生産できるという利点。モダンでシンプルな印象。
もう一つは曲線的で自然界の中に存在する植物や昆虫や動物たちをモチーフにした「アール・ヌーボー」様式。色も微妙なグラデーションや中間色を用い、装飾的でエレガントな印象。
どちらが好みかというと、私は断然アール・ヌーボー派。柔らかく、優しい色味のものが好きで、その芸術に代表されるようなエミール・ガレやドーム兄弟のガラス作品が大好きだ。ずーーっと見ていられる。それは人が作り出したものにもかかわらず、人工的な直線や原色が一切無く、機械ではなく人の手によって作り出された温かさを感じるから。唯一無二。数字を計算し尽くし、機械で寸法通りに切ったり貼ったりして誰が作っても出来上がりは同じに完成するものに全く魅力を感じない。作り手の感覚がその出来映えを左右するような手仕事的なことにとても惹かれる。いわゆる「職人仕事」というやつですね。
建築の専門的なことは全く分からないが、ガウディの作品たちにはそういった魅力が満載で、まるで今にも動き出しそうな様々なモチーフが彫刻されていたり、屋根や壁の形状も全てが曲線(というのは誤解だということがこの本によって解明されたのだが、これまで私はずっと曲線だと思い込んでいた。)で、一体どうやって設計図を引いたのだろう、どうやって作り方を職人たちに伝えたんだろうといつも思っていた。謎過ぎて興味が尽きなかった。
1978年にスペインに渡り、以降40年の歳月をサグラダ・ファミリアの彫刻師として仕事をし続けていらっしゃる外尾氏(以前コーヒーのコマーシャルに出ておられましたよね。若い方は知らないかな?)を通して綴られるガウディの言葉や思考は、それこそ目から鱗がボロボロと落ちることひっきりなし。私はてっきり曲線だと思っていた。実は隣り合う直線同士を少しの角度をつけて連続させることによって生まれるなだらかな波は、もともと自然界から学んだ、それこそ計算され尽くした形状(双曲線面や放物線面)であったという事実。ああ、私の拙い文章力とアタマでは到底書ききれない。もどかしくて腹立たしい…。
そしてデザインと実用性とを上手く融合させたその設計は、紙の上の二次元の図面だけではなく、三次元の模型によって作られ、それを職人たちに実際に見せながらその作り方を模索していき、強度が足りない部分に蔦の葉っぱやカエルやフルーツなどの思いっきり手仕事で有機的なデザインを取り入れた彫刻を配することで強度を増すように作られている。そんなふうに合理的に耐久性と芸術を融合させるなんて、誰が思いつきます?ガウディさん、どんだけ頭よくて可愛くて柔軟でエモくてカッコいいんだよ…。
構造上必要なところには幾何学を用いてはいるけれど、全部が全部そうじゃない。そういったデザインの先にある部分は彫刻家や職人たちに任せて、自然が持つ偶然性にならってその個性を生かし柔軟性をもたせて、より一層建物を魅力的に見せている…。なんというファジー感。なんという懐の深さ。なんという芸術的センス。まさにアール・デコとアール・ヌーボーの融合プラス独自の人間味溢れる愛。
う~~ん…熱が出そうだ。
だから、いちいちちょっと休憩しながらでないとなかなか読めないんだな。
いや、めちゃくちゃ面白いです。強くおすすめです。では、続きを読みたいと思います。
以上、中間報告でした。
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