私に、幸あれ
彼が恋しくてどうしようもない夜、ある曲を聴いた。
大好きなCharlie Puthの曲。
彼に別れを告げた数日後、
私の第二のhomeである場所へ数週間行くことが決まっていた。
あそこに行けばなんとかなる。
一番辛いであろう最初の数週間を、昼夜問わず何度も電話していたこの部屋から離れれば乗り越えられる。
あの島の海が、自然が、助けてくれる。
そう思ってはいたものの、
その曲を聴きながらパッキングしていたら涙が出た。
空港に向かうバスの中、
もうほんとに連絡できないんだって不思議な気持ちだった。
彼は私が今日飛行機に乗ることも知らないし、
帰ってきても「ただいま」って言えないんだ。
「おかえり」も言ってもらえない。
飛行機の搭乗待ちの間も、
昨年弾丸で一人で旅行に行った時は、搭乗待ちの時間に電話してて「気をつけて行ってきてね」って言ってくれたな…とか考えてた。
そこで撮った綺麗な海やお花の写真も見せられない。
彼がよく使ってた謎のキャラのスタンプも、送られてこない。
私たちは、付き合っていたわけじゃないし離れて住んでいるから思い出は少ない方だと思うけど、会えなくてもとにかくずっと連絡をとっていて特に私はなんでも話していたから、どこに行っても「彼に話したい」「彼に聞いてほしい」「彼と共有したい」と思ってしまう。
とにかくこの十数年、私の生活にはずっと彼がいた。
どんな時も私を見守ってくれていた。
小さな悩みからその日あったことや楽しみなこと、真剣な悩みまでとにかくなんでも話しちゃう私の話を全部ちゃんと聞いて覚えていて、「あれどうなった?」「旅行はいつから行くの?」と何かと気にかけてくれていた。
今どうしようか悩んでいることも、彼に「どうしたらいいと思う?」と聞きたくなる。
彼ならきっと、一歩が踏み出せない私の背中を押してくれていた。
「絶対行った方がいいよ」と言ってくれたはずだ。
恋人同士ではなかったけど、どれだけ彼が私のことを気にかけて、応援してくれて、一緒に歩んできてくれたかが今さらわかって身に染みる。
後悔はしていないけど、恋しくてたまらない。
だけど、あれだけ長期間に渡って私の生活の一部として過ごしてきたからそう思ってしまうのは仕方がない。
恋しくは思うけど、思ったより平気だ。
泣いたのも、パッキングしながら泣いたあの日だけだった。
まだまだ何かあるたびに恋しくなるけど、きっと私は彼に話さなくても全部自分で消化できるようになる。
私が一歩を踏み出して新しい世界へ行くことが決まったら、その時は彼に報告しよう。
彼はきっと喜んでくれる。
「目標を達成したんだね」って言って祝福してくれる。
何年連絡をとってなくても、どれだけ会ってなくても、何事もなく元通りになれるのが"親友"でしょ。
私たちは付き合ってないから"別れて"ない。
"終わって"ない。
だから私は最後のLINEでも「これからも大好きだよ」って書いたんだ。
「私が自分で納得できる人生が送れるようになるまで」、私は一人で頑張るよ。
それで笑って報告するね。
誰にも頼らず目標達成したんだよすごいでしょって。
そしたらまた会おうね。
こうやって書きながらも電話したくなってるけど。
君の「どしたん?」の声が聞きたくなってるけど。
私には君がいるから、大丈夫。
いろんな感情を抱えながら前に進もうとする私に幸あれ。