これ以上の意味はなくたっていい
土曜日の朝、目覚めて一番最初に聞いたのは何度も聞いた君の「おはよ〜」の声だった。
その聞き慣れたゆるい「おはよ〜」を聞いた瞬間に「やってしまった」と思った。
私は彼との連絡を断つはずだった。
だけど土曜日でアラームをかけずに寝ていた私は、寝ぼけてほぼ無意識に電話に出てしまっていた。
その日までは、連絡を無視してたらLINEが来たけどそれも最低限の返事だけしかしていなくて、順調だった。
私は日々楽しく過ごして順調に私の中の彼は薄れていた。
それなのに一度電話で話しただけで、彼の存在は私の中にはっきりと刻みつけられてしまった。
君が朝9時に寝起きで電話なんかしてくるから。
「俺が全部を見せられるようにしてくれてありがとう」とか言うから。
だから私は「離れてほしくない。ずっとあなたの特別でいたい」とか言っちゃうんだ。
「momo.が悲しむから彼女ができても言い出せない」なら、彼女なんて作らなきゃいい。
私を悲しませたくないなら他の女じゃなくて、私を選べばいい。
「彼女ができても俺たちの関係は変わらないよ」と言う君。
「今のままの関係はずっとは続かないよ」と言う私。
どっちも大切にするなんて無理だ。
だけど、君は私を選ばない。
つくづくずるい男だ。不誠実だ。
そんな男から離れられない私も、クソ女だ。
でも最近わかったことがある。
彼は不誠実な男ではない。
私もクソ女ではない。
彼は不誠実なのではなく、私の存在が大きすぎるのだ。彼の中で。
大切すぎて、自信がないのだ。
私も、彼の存在が大きすぎて「じゃぁ私を彼女にしてよ」と言えない。それも自信がないから。拒否されるのが怖い。
それは決して「クソ」なことではない。
自信のない自分を否定したくない。
彼は、「俺には無理」と思っている。
「俺にはmomo.を幸せにできない」と。
でも、大切だから手離せない。
だけど、家族にすら気を遣って顔色を伺っている私が、唯一わがまま放題思っていることを言える相手が彼だ。
そして、いつも人にどう見られるかを気にしている彼が、唯一本当の自分を出せる相手が私だ。
常に私たちは、甘え甘えられ、支え支えられてきた。
私はちゃんと大切にしてもらっている。
その証拠に、私は彼に手を出されたことがない。
彼を失うぐらいなら、私は彼氏はいらない。
でも、彼は私を彼女にはしてくれない。
いや、彼女にしてくれないんじゃない。
恋愛感情がないんじゃない。
私から逃げているんだ。自信がないから。
自信がないから、もっと簡単に(と言うと語弊があるけど)幸せにしてあげられる人に逃げたいんだ。
だから「恋愛感情はない」と言い切る。
そう思いたいだけ。もしくは気付いてないだけ。
私も同じだ。
彼に「彼女にしてよ」っていう自信も勇気もないから、もっとスムーズに付き合えるほかの人に逃げたい。
だから一番大切なはずの彼を、切り離そうとしてしまう。
「君じゃないとダメなんて思ってない」っていうのも、自分の自信のなさと向き合うのを嫌がるが故の嘘だったかもしれない。
「君じゃないとダメなんて思ってないから、いつでもほかの人と付き合える」って言い聞かせてた。
だけどそれじゃダメなんだ。
きっと同じことを永遠に繰り返す。
自分に自信がないことを認めてあげたい。
悪いことでも、恥ずかしいことでもない。
彼とさよならするつもりでいたけど、
さよならすべきはそうやって逃げようとする自分でした。
向き合うべきは、自分でした。
私はやっぱり彼が好きです。