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大崎博子さん
騒がしい土曜日の朝、サタデープラスの特集に興味をそそられた。
『月10万、お金をかけない幸せ生活』
私は20歳やそこらからこの手の話題が好きなのだ。持てるもので豊かに暮らす、清らかな精神。
バイブルであるおづまりこさんやわたなべぽんさんのコミックエッセイも、読み返すたびに見落としがちな小さな幸せに気付かせてくれる。
幸いにも、子どもたちは和室でブロック遊びに興じている。床一面にぶちまけ、片付けるのが大変そうな色とりどりの四角いやつらのことはいったん忘れて、昨日取り込んだままになっている洗濯物を畳みながら鑑賞することにした。
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密着取材されていたのは89歳のご婦人・大崎博子さん。
藤色の髪の毛とアザミのような濃桃色のTシャツがとてもよくお似合いだった。(UNIQLOの綾瀬はるかが着てきたTシャツを真似た、とおっしゃっていた。そんなとこもイイ。)
『89歳、ひとり暮らし。お金がなくても幸せな日々の作りかた』の著者である。
大崎さんを初めて知ったのは、3年くらい前。今はすっかり放置しているTwitterだが、たまたまリツイートされていた大崎さんの短い言葉に心をつかまれた。
公園で見かけたちょっとした野花や景色の写真や、ライフハック的なもの、時折差し込まれるリアルな戦時中の思い出。
酸いも甘いも、全部ひっくるめて自分の人生を慈しんでいることがうかがえた。穏やかな人柄ながら、78歳でTwitterを始めたというチャレンジングなところなんて、拍手を送りたい。「いいね」を押すのが精いっぱいのチキンだけど、こんな人になりたいと素直に思った。
まさか本を出されていたとは!最近知らなかった!!不覚~~!!
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番組では大崎さんの1日を紹介していた。
朝食つくり、日課の太極拳から始まり、大好きな韓流ドラマ、ファッション、娘さんのこと。
飾らず、自然ににじみ出る知性、気品ある後ろ姿、大崎さんの周りを流れる丁寧な空気。それらを感じるたびに悦に入ってしまう。
「すてき・・・」「すき・・・」「いい・・・」
まるで、仕事終わりに予約していたアイドルのDVDを受け取り、テレビ周りを片付け、ファングッズのTシャツに着替え、とっておきのワインを開けながら推しの姿を鑑賞するOLのようだった。
旦那にいたっては少し引いていたと思う。
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すべてが魅力的な大崎さんだけど、特にうっとりしてしまったポイントがいくつかあった。
そこに私の惹かれるものの傾向がよく表れていた。
・8年間食べ続けている米ぬか入りヨーグルト
(安くて栄養満点。自分で炒って保存している)
・日課の太極拳とウォーキング
(後ろ姿に年齢が出るからね、とおっしゃっていた)
・20年続けている日記
(名画が表紙になった手帳が素敵だった。)
・エスプレッソメーカーで淹れる珈琲
(マグじゃなく華奢なティーカップなのもgood)
・色とりどりのおつまみが彩る晩酌
(赤ワイン~!最高!)
思い出して書いている今も、興奮して鼻息が荒くなってしまった。
そして再実感。
私の憧れポイントって「継続」と「食」なんだな、と。
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「継続」にいたっては、確かに何かを長く続けている人には無条件で憧れを抱いている。
何かに腰を据えて取り組むという、成熟した精神に。
そして、長く続けられるだけの自分の「好き」を知っている、ぶれない軸に。
「食」に関しては、ただ好きなものを好きなだけ食べるというよりは、自分の身体に合ったもの、心が欲するものを上手に食べること。
これらはどちらも「自分」の声を聞かなければできないことだ。
「自分」を持っているというより、「己」を知っている人が私は好きなのだろう。
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華美なアクセサリーも、贅沢な食事も、どこか他人の目を気にして選ぶもの。自分が本当に好きなことを知ってる大崎さんには必要ないのだろうな。
だからブレない。迷わない。
自分の人生を、余すことなく味わう。
人と比べる時間なんて勿体ない!
著書、ポチりました。