カンヌ受賞作『Mano a Mano』
先日も書きましたが、現在「なら国際映画祭」が奈良市で開催中です(9月22日まで)。
私はもう1作品、字幕翻訳をさせて頂いておりまして、こちらは英日翻訳です。フランス映画ですが、すでに付いていた英語字幕から日本語にしています。
昨年のカンヌ映画祭・学生部門で最優秀賞に輝いた『Mano a Mano』というLouise Courvoisier監督による短編映画なのですが、これがとてもいい映画です。映画祭パンフレットのあらすじを引用すると「サーカス団のアクロバットデュオ、アビーとルカは恋人同士。そんな2人の愛にある日、亀裂が生まれ始める。次の街へと向かうキャンピングカーの中、2人はお互いの溝を埋め、信頼を回復させようとする」という話なのですが、愛情ってこういうものだよねということが、じわじわと伝わってくる作品。この監督は今後、いい映画を作っていくんじゃないかなと思える作品です。ヨーロッパ文化に詳しいBuddyに聞くと、フランスでサーカスは日本でいう相撲みたいなもので、国民の娯楽だそうです。
もしお近くに住まわれていて「なら国際映画祭」に行かれる方はぜひ観てみてください。行かれない方でもネット配信で観られますので、興味を持たれた方はぜひ。
セリフは少なく短いものばかりだったので字幕制作は大変ではなかったですが、短いセリフだけに感情がこもる言葉選びを心掛けました。
セリフに「change」というのが出てくるのですが、これは「変化」等の訳が思い浮かびがちかもしれないでが、小銭です。筆者は米国生活が長かったので、changeといえば小銭が真っ先に思い浮かびます。毎日ニューヨークの地下鉄に乗って仕事に行っていたのですが、乗っている間に何人もの物乞いの人が車両を渡り歩いていて「チェーンジ」「チェーンジ」と言いながら乗客に瓶や缶を差し出してくるのです。もう頭にこびりついているほどです。
話が逸れましたが、『Mano a Mano』本当にいい映画なので観てくださいね。ネット配信だと1コインで2作品観られます。