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散文詩『霞むほど、光は、恋しくなる』

霞むほど、光は、恋しくなる


夜空に凛と光る、少し欠けた月。

「満月がよかったな」と、ポツリ言葉

でも、ふと、思った
ただ綺麗に形どられたモノだけが
美しいのだろうか

そんなことはなくて
感じ方はもちろん人それぞれで
「僕はこう」「私はこう」で、よくて

それぞれが感じたモノが
その表現自体が、美しくて

僕はその、少し欠けた月が
輝くだけでなくて
雲のスキマから陰った瞬間も
とても美しいな、と、思った

なぜ美しいかと思ったのか

それは冒頭の、ことば

霞むほど、光は、恋しくなる

恋しくなるその光は
きっとどんなカタチだったとしても
僕を照らしてくれる

僕はその待ちわびた輝きを
とても美しいなと、思う

恋しいモノに触れられた瞬間というのは
ただただ、心が動くから

そういう瞬間を大事にしたい
そういう感性を大事にしたい
そういう自分を大事にしたい

忘れないでいたい
今日の欠けた月を
その輝きを
その恋しさを湧き上がらせた月のカタチは
僕にはとても、美しく見えた

少し肌寒くなった空の下
また、愛おしい瞬間が増えた

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