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ライフ・イン・ザ・シアター2022 観劇レポート&感想

2022年春、勝村政信さんと高杉真宙さんによって16年ぶりに再演されたライフ・イン・ザ・シアター。1977年にシカゴで初演されて以来、世界各地で演じられて来たという戯曲が日本でも久々に上演とのことで、こんな素敵な2人芝居を”推し”が演じるとなれば、観ない訳にいかないじゃないかっ!と血が騒ぎ、こんなレポートまで公開するに至ってしまった次第です。

観ていない方は想像していただいて、観たことのある方には若干、色眼鏡、感想ウザい、な細かすぎるレポートになっているかもしれませんが、好きに書き散らかしたいと思います。
どうかユルっとお許しいただける方だけ、お目通しくださればと思います。


*ライフ・イン・ザ・シアター2022 http://lifeinthetheatre.jp

出演:勝村政信さん、高杉真宙さん 演出:千葉哲也さん
戯曲は悲劇喜劇 2022/3 No.815より
https://www.hayakawa-online.co.jp/shopbrand/shurui_71_TAC/
デヴィッド・マメットさん 作 小田島恒志さん 翻訳によるものを参考にしています。セリフに関しては同誌からの引用また、うろ覚えの記憶から記載しています。


感染者も原因不明のまま緩やかに収まってきたころ、喜び勇んで取った舞台のチケット。
2人芝居だなんて濃密なもの、始めと終わりが観たいに決まっている!と、遠征覚悟で予定を決め、安全に見届けるために個人的にはストレス度が上がるとしても在宅勤務にシフトして挑んだ今回。
結果的に開演時にはぎりぎり蔓延防止措置が延長となり、それでもエア、宿泊をパーにして自粛するか、どうしようかとモンドリ打って、無理くり延長してあった研修を入れ込むことで自分に言い訳を用意し、決行を選択。劇場の徒歩圏内に宿を取り、必要以上の移動、接触、密度を避けた移動を心がけた。

新国立劇場 小劇場からスタート
個人的にはお初の劇場。ステージ低い!近い!
生の声がビリビリと届く距離感に感動しつつ、高杉氏FCの恩恵で良席にて観劇することが出来ました。(最後列という俯瞰席も含め)以下、ネタバレ含めた物語の感想に入ります。
(東京公演に限らず、見聞きした地方の公演の感想も含まれます)


始まりの第1場:舞台裏 公演終了後

開演の合図、音楽が流れたあと、まさかの「誰?」という人がステージに最初に出てくるという演出。笑
でも、毎回「OK!」とグッと手を握り、袖に向けて合図を送る時に「始まるぞぉ〜!」というワクワク感で思わず拍手を送ってしまいそうになるオープニング。

暗転。明るくなると冒頭からジョン、キラッキラの達成感あるワクワクの表情でロバートを待つ。
俳優の先輩であるロバートへの尊敬の念も、そばにいていろんなものを吸収したい!という求心があることも全身から溢れている感じが伝わってくる。

ジョンの今日の芝居の出来を「よかったよ」と褒めるロバート。「君の判断は信頼する。」「君の意見を尊重している。」と言われたら嬉しいだろうし、その分、良い関係を保ちたいとも思うだろう。
まだそれほど深い関係でもないからゆえに?yes,noをはっきりと言う正直な性格だろうジョンの受け応えが、この場に関してだけは、ロバートへの忖度とまではいかない曖昧なニュアンスで発せられる様が、直近で高杉氏が出演していた『おいハンサム!!』の中で、まるで三女が学に対して正解を探っているかのように”こっちの応えの方が好まれるかな?こっちが正解かな?”となっていた立場の逆転みたいじゃないか!(オマージュなのかな?)とさえ感じてクスッと笑えた。

そのまま1場の中で体重を気にするロバートが、お腹をすりすりして両手を頭の上で揃え、体をひねるように歩き出す姿も、直前のバラエティの中で『デューク更家』を”知らない”と言っていた高杉氏世代に、稽古場で「これだよ」とやって見せた部分が取り込まれているのかと、そのポーズが”わかる”世代にとっては爆笑ものの演出。
胡桃の例えに至っては、深さがあるようでない様な話に、期待値マックスの表情のジョンがひとつひとつに耳をそばだてリアクションをし、「あぁ〜〜〜〜!!!!」と、わかったようなアクション。(ホントに!?とツッコミたくなる観客)

遠回しに先輩に食事をおねだり!?な雰囲気のジョン。

 ジョン「ロブスターが食べたいなぁ〜って」
 ロバート「ロブスター?!」
 ジョン「はい」
 ロバート「あの甲殻類の!?!」
 ジョン「はい」
 ロバート「大型の!?」
 ジョン「はい、一日中」
 ロバート「一日中!?!」

(いや、「一日中ロブスター食べたい」の方じゃなくて、一日中「食べたいと思ってた」の方でしょ!?ロバート!!!と言いたくなるほど、ツッコミどころ満載で大笑い!)
シオマネキなど、”甲殻類”に詳しいらしい?勝村ロバートのロブスタージェスチャーにも笑いが止まらなくなる。
(観劇後に「この後どうされるんですか?」(手をロバートの様にロブスターの真似をしてパクパクさせながら…)と、コーヒーのお誘いに取り入れるほどお気に入り。)
序盤から畳み掛けるように笑わせてくる流れに、「クスッと笑える」どころじゃないじゃん!聞いてないよっ!となって、毎度の”アドリブターン”となる『耳の後ろ攻防』も、2人のワチャワチャする仲良しな様子にあたたかい気持ちになり、ガシッと心を掴まれてしまうのでした。

ちなみに、私が拝見した限りのアドリブ内容は以下の感じ。

  • ロバートが「耳のうしろぉ〜♪」と揚々と歌っているところをバッサリと切るように現れるジョン。ニヤニヤとしながら耳の後ろを拭きに行った手を耳と肩の間に挟まれて拭かせてもらえない。

  • ジョンの手をガシッと掴み、ジョンを薙ぎ倒すロバート。

  • ジョンの手を真剣白刃取りのごとく挟んで阻止。一度も拭かせないのに「取れた?」「いいえ」

  • ジョンの手を勇者のようにクロスにした手で受け止め、そのまま掴んで薙ぎ倒すロバート。

  • 「耳のうしろ〜」とさえ歌わずに、言葉になりきらない「み”ぃ〜、み”ぃい”ぃ〜〜〜♪」とやっている間中、ニヤニヤとティッシュを持って待っているジョン。(←コレ放置プレイしてるジョン好きw)

  • 耳の後ろをまったく拭かせないまま「取れた?」と聞き、2人で揉み合って床に倒れ込んでジョンのテーブルの足元に背中から激突するジョン。(思わず観ている側のこっちが「痛い、痛いw」と小さく声が漏れてしまうw)

  • 拭き終わったティッシュを投げるシーンでゴミ箱のとっても惜しい位置に落下、会場から声にならない「惜しい…」「おぉ…」という空気に、ほんのうっすらニコッとするジョン。

  • 投げたティッシュがぜんっぜん手前に落ちるジョン。

  • 大きく振りかぶって野球投手のように構え、たっぷりと間をとって投げたティッシュがジョンのテーブルを大きくオーバーする。グッと拳を握ってよしっ!なジョン。

いろんなバリエーションで見せてくれるなぁ…。( ´ ▽ ` )

「寄ってらっしゃい見てらっしゃい」な戦闘服お着替えシーン。
おっ、楽屋の準備シーンだ。こんな感じでステージ上でもお着替えするのか。と、思っているところから、”豚鼻”を鳴らすのがすごく上手な勝村さん。笑
学校で習ったという”あれ”の言葉が出てこない。
こちらもチラッとアドリブターンで勝村さんが大いに楽しんでいるように見えるシーンのひとつ。

  • 「ほら、あれだよ…」「あん、、、あん、、、」と言ってひとつも言葉が出てこないロバート。

  • 「ほら、、、」と言いながら片足をズボンに突っ込みながら、もう片方が入らないままつんのめってステージの前方までケンケンで迫ってくるロバート。

一方でセリフの”イイところ”を先取りして言ってしまうジョンに対して。

  • 強めに「知ってるよ!」と怒った風に言うスタンダードバージョン?

  • 「それ、俺が言いたかったやつ!」「なんでそれ言っちゃうかなぁ〜」としょんぼりバージョンのロバート。

  • 「それっ!俺がっ!!!」と、悔しがりながら言葉に詰まるロバート。

  • 「言っちゃったな、それ、お前が言っちゃったな…」ぺっ!ぺっ!(ジョンに唾を吐きかけるロバートにジョンびっくりして苦笑)

ジョンくんは意気揚々とセリフを言いながら上半身脱ぎ脱ぎ。
みなさんチラリと見えるジョン真宙くんのお腹や背中にほんのりざわっとする。
イイところ(海賊が出てくるところ)を持って行ったことで、頭をはたかれたり、ロバートに胸頭突きされたり、ぺっと唾を飛ばされたりするジョン。ポカーン、苦笑いのリアクションがフレッシュな後輩の戸惑い的。ヘルメットを被り。「どうだっ!?」なロバートに、「う〜ん…」となるのも然り。

第3場:劇中劇 第一次世界大戦もの

直前までニヤニヤさせておいて3場の劇中劇、「第一次世界大戦もの」の戦場に入る2人。
一気に空気を変えて銃砲に散るジョン・ビリーに涙…。ほんの短いシーンだけれど、敵に打ちのめされた戦友のために行動した熱いビリーを演じるジョン。役者として人気が出るのがわかる、とってもカッコいいシーン。
ステージ上でもそうだけれど、日常でこうして「はいっ!」て切り替える瞬間があるんですものね。そりゃ、私たちにも日常、「はい!お客さん」(いらっしゃいませぇ〜。スタッフスマイル)みたいな瞬間はあれど、不思議な世界だなぁと感じつつ。

第4場:エリザベス朝芝居カーテンコール後

あっという間にまた、エリザベス朝の剣士になって戻ってくる。笑
早替えっ!!と目を見張るのも束の間、すぐに反対側からロバートも登場。笑(なぜか首がめっちゃ短く見えるw)
ジョン、時々カーテンの入り口に翻弄されながら、衣装とカツラだけでもほんのりと笑わせてくるのに、プロモ写真にも出ていた通り、カツラをかぶるために足に挟んだ剣が擦り落ちてしまうため、足をくるりと絡ませ、体をくねらせて真顔で剣を足で持つ様子に爆笑。いちいちカツラを取っては被り直す様子にまた爆笑。
時に被り方が無茶苦茶になってしまってる様子さえおかしくて、ここもサラッと終わってしまうのに見ているこっちは大笑いしてしまうシーンのひとつ。
すぐにカツラを取り早く帰りたそうにするジョン(おデート?)を、ドラマHEROの木村くんばりに「ちょっ待てよ」のセリフで引き留めるのは、懐かしい人にはニヤニヤのサービスタイムでした。(20年も前の作品っ!)

第5場:ダンス・ルーム

ハーフパンツ姿のジョン真宙氏に対してまたうっすらと「足キレイ」「色白」「美しい」という羨望の声ならぬ声が聞こえるような(気がしている)空気。
ステージ上が暑いのか、お2人時々ボトルのお水を本気飲み?していたように見えることも。
腕立ての回数を数える人、ジョンの「ぅう〜ん(腕立ての時に漏れる声)」を堪能する人、様々におられた様子。笑
一度だけ大阪の公演でジョンがなかなかステージに現れず、出てきた時も縄跳びが姿見にひっかかってしまった回があったそうで、その時には勝村ロバートがバーに乗り上げ…落下し…というアドリブも起こったそうな。白タイツが脱げなかったか?ジョン??と想像を巡らせる観客陣。裏側も想像して楽しむスタイル。

個人的にはここでロバートが口にしていた「スタイルとはなにか?」というのが、実は大切なセリフなのではないかと思っている。
そうやって笑わせながら実のところ、常日頃めちゃくちゃ言葉(セリフ)の多いロバートの言っていることの中に、彼の大切な”価値観”みたいなものが潜んでいるなと感じていて、(「若い連中が演劇界をしょって立つ」とか、「良識とか仲間意識」とか、仲間意識の感じられない役者のことを、「良心の呵責なく殺めてしまおうか」と言ってみたりw)この言葉たちが後半、回収されたように感じてもいます。
そして、ロバートの「言わんとするところ」がイマイチ伝わっていかない、”たたり除けのおまじない”と同じく、笑わせつつも小さな”すれ違い”のようなものを感じさせる象徴的なシーンでした。

第6場:ジョンが友達?と電話中

お2人の「チュッ❤️」が見られるシーン。ジョンは電話越し、照れ臭そうに素早めの短い「チュっ」が多いのに対し、ロバートはサービス満点に濃厚な「ん〜っちゅっ」とやってくれる。
会場笑い。うふふ。となりつつ、ジョンは日常を友人や仲間と楽しむ様子が見られるものの、ロバートはジョンを誘ったり、散歩して帰ったり本を読んだりとあまり交流の様子が見られないのも対照的。(ちなみにジョンが、「舞台で一緒の男性の役者と出かける。」と言い訳しているので、電話のお相手は女性の模様…。ふふふ( ´艸`)レトロな電話の脇にオーディションなどの張り紙があるのも芸が細かくて素敵)
軽めの「チュっ」だったのが、回を追うごとに、だんだんと高速で一瞬の「チュっ」になっていった。
「バーイ」と言って電話を切るのが、アメリカンボーイぽく、可愛くて好き。(超主観)

第7場:2人の朝の風景

東京公演は下手に階段があり上手から先に歩いていたロバートを追い越して走っていくジョン。階段のないステージでは、ジョンが先に歩いていて靴の中の小石を出している間にロバートが追い越し、それをまたジョンが追い抜いていく様子。
戯曲の始まりから最後へ向けての2人の縮図みたいにも見える。

ロバート「また一日。また、一日。」

ここのBGMのギターリフにこれからの展開についてワクワクさせられる。(観劇を終えてからは2人のことが懐かしく、この場の2人を思い出すのに頭に浮かんでくる大好きなフレーズ♪探してもなかなか見つからないのでオリジナル音源?)


第一回更新はここまで。
長いレポートにお付き合いいただきありがとうございます。
第二回は衝撃のシーンから?始まります。
-つづく-

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