勝手に10選〜イカした女性ボーカル80's 邦楽編(前編)〜
(前記)
先に、昭和のロック邦楽編、という勝手に10選をやらせて頂いて、さて女性ボーカルにて、ジャンルを問わず、昭和のイカしたロックを紹介出来ないものか、と思い付いた。
あるんだ、もちろん。しかし、筆者は微々たる80s'をリアルタイムに経験してきたもので、それ以前を後追いするとキリがない。
従って、今回は昭和、しかも80年代に絞って、イカした女性ボーカリストを勝手に10選してみる。
なお、今回も前編、後編に分けて投稿する。
・ロックンロール・ウィドウ
山口百恵さんによる30枚目のシングルで作詞は阿木燿子さん、作曲は宇崎竜童さんだ。
山口百恵さんは、1973年にシングル"としごろ"にてデビューを飾る。アイドルとしてデビューして数枚のシングルを経たのちに、歌に対する関心が薄れ始めた。
そんな時に、宇崎竜童さん率いるダウン・タウン・ブギウギ・バンドによる"港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ"に触発され、宇崎竜童さんと、阿木燿子さん(ご存知かと思うがご夫婦だ)に自ら楽曲を依頼して、1976年に発表のシングル"横須賀ストーリー"で実現する。
早熟で、どこか尖っていて、不良の香りがスパイスとなり、軸のブレない自身を確立している様な、ロックも香る山口百恵さんのイメージはこの曲から始まり、宇崎、阿木ベアにより大ヒットを連発する。
この曲は、山口百恵さんの引退となる1980年に発表されるが、最後にずば抜けたロックンロールを披露している。実にクールに歌い上げ、そのシャウトも素晴らしい。
ヘラヘラしたロックアーティストの妻の思いを吐きだす様な歌詞が見事にハマっている。
・Bye-Bye ガール
少女隊による1985年にリリースされた5枚目のシングルで、なんと作詞は秋元康さんだ。
少女隊は1984年にデビューした3人組のアイドルグループだ。因みに少年隊とは何も関係ない。
デビュー時があまりパッとせず、1985年に秋元康さんがプロデュースをする事となった後の初のシングルだ。
いや、これは実にイカしたオールディーズをマテリアルにした名曲なのだ。
実に明るい、それこそオールディーズを彷彿させる曲とメロディラインに、少し過激で"オールディーズ"をキーワードにした歌詞が融合した名曲だ。特筆すべきはハモりが実に綺麗でキュートなのである。
・キッスは目にして!
1981年に発表されたザ・ヴィーナスの1981年に発表されたシングル曲だ。
前身バンドである"ビーナス"は1974年にバンドとして当時は男性ボーカルでデビューしてる。
幾多のメンバーチェンジ、バンド名もその都度変わりながらも活動を続け、ボーカルのコニーこと石川幸子さんが加入後の1981年前後に"ザ・ヴィーナス"として、オールディーズバンドにシフトする。
そして1981年に、この曲にてブレイクする。
特筆すべきところは、作曲者がベートーベンなのだ。何もニックネームだったり、誰かのペンネームではなく、かのベートーベンなのだ。
なるほど、よく聴いてみと、この曲は”エリーゼのために”をオールディーズ風にアレンジしている訳である。それ事実だけでもこの曲のレガシーだ。
作詞は、山口百恵さんの項で述べた阿木燿子さんだ。
ポニーテールが似合うコニーさんの歌声も振り付けもキュートで、阿木燿子さんの素敵でキュートな歌詞とベートーベンが作曲した陽気なロックンロールが融合した名曲なのだ、ベートーベンもびっくりの。
・HERO
1984年に麻倉未稀さんのシングルとして発表された曲だ。
この曲は実に不思議な運命を辿った曲で、原曲は1984年の公開された映画”Footloose"の挿入歌であるボニー・テイラーの"Holding Out for a Hero"のカバーであるが、同年の1984年に、北川剛さん、葛城ユキさん、この麻倉未稀さんによって日本において3パターンにカバーされた、実に稀なカバー曲である。
この朝倉さんのバージョンは、TVドラマ"スクール・ウォーズ”の主題歌として大ヒットとなる。
実に重厚感が溢れ余るロックで、コーラス、ピアノなど多様して豪華であるが、曲を互いに高め合う事で一体感を生み、力強く美しいボーカルが疾走感を伴い、聴いてるだけで否が応でも気分が上がるのだ。
・翼の折れたエンジェル
1985年に中村あゆみさんの3枚目のシングルとして発売された楽曲だ。
中村あゆみさんは、元々は女優志望で、デビュー前には音楽には全く音楽に興味がなく、偶然プロデューサーの方と出会い、高校3年生の時、1984年にメジャーデビューを果たす。一風変わった経歴を持つシンガーだ。
そんなこの曲であるが、ギターも冴え渡る実に骨太なロックである。
歌詞の内容はやや早熟なティーンネイジャーの持つ悩み、経験、切なさ、怖いもの知らずさ、痛み、やるせなさなどの様々なファクターを凝縮した実に大名歌詞と言える。
ミドルテンポの骨太ロックを中村あゆみさんが代名詞であるハスキーボイスが実に力強く、時に切なくこの名歌詞に調和してこの名曲が誕生するのだ。
(後記)
それでは、後編に続きます。
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