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勝手に10選〜元チェッカーズ藤井尚之氏ソロ楽曲編〜

(前記)
藤井尚之さんは、かの藤井フミヤさんの弟であり、チェッカーズの楽曲はもちろん、チェッカーズ全盛期にソロデビューを果たし、解散後もソロ名義、F-BLOOD(もちろん兄である藤井フミヤさんとのユニット)、アブラーズ(元チェッカーズの楽器陣からなるインストバンド)、他のアーティストへの楽曲提供など、実に幅広く素敵な曲を生み出している。
主にサックスプレーヤーだが、ギタリストでもあり、フルート、ベース、ボーカル、コーラス(私見であるが、チェッカーズの中で1番上手い)、口笛(実にクール)など、真のマルチプレイヤーだ。
今回は、そんな藤井尚之さんにおけるソロ名義の楽曲を勝手に10選する。

・N
チェッカーズ解散後の初アルバムとして、北野武監督の"教祖誕生"のサウンドトラックを手掛けた。全てセルフプロデュースで、単にアルバムとしても素敵なアルバムで、その中の代表曲である。切なさと色気と華やかさを持ち合わせ3拍子の異国情緒も感じさせる演奏に合わせて、舞い踊る様に奏でられるソプラノサックス。実に切なく激しく、言葉は無くとも心に刺さる。インストの大名曲だ.

・NATURALLY
チェッカーズが自身のオリジナル、セルフプロデュースでアルバム、シングルを発表する中、勢いをそのままに、実にサプライズなソロデビューを果たした尚之さんのソロデビュー作である。作詞は松本隆さんだ。
兄の郁弥(フミヤ)さん曰く、売れ線ではない、と言わしめたこの楽曲は、当時のザ・ベストテンという番組で初登場6位(だったと思う)という偉業を成し遂げたが、チェッカーズあってのソロ、という事でTVで歌う事は無かった。
4つのメロと間奏が複雑に展開し、各々のメロが各々の確固たる世界観を持ち、それ融合し、全体の雰囲気を完成させる名曲であるが、もはや、どのメロがサビだ、と断定出来ない不思議な曲だ。実にカッコいい。

・COWBOY
ファーストアルバム"NATURALLY"に収録。
作詞は松本隆さんだ。チェッカーズの曲で例えるとアルバム"FLOWER"に収録される"Free way lovers"と、同じベクトルの世界観を感じさせ、よりロック感のある、広大な空間を感じさせる。半年前に別れた彼女を偶然見かけるが、自分か消えた笑顔に、敢えて声はかけない、という歌詞が曲と融合し、映画のワンシーンの様である。

・水晶のブリッジ
ファーストアルバム"NATURALLY"に収録。
作詞は松本隆さんだ。
声を大にして言いたいが、大名曲である。
切なさが溢れるギターのカッティングと、尚之さんのファルセットで曲が始まり、サビで、からりと切なさが前向きに変わり、美しく胸を打つサビになる。サビ後にファルセットから地声にもどり、ら、ら、ら、と淡々と歌うメロも実にこの曲に華を添えている。間奏のソプラノサックスも世界観に見事にはまる。松本隆さんの歌詞もベストマッチした大名曲だ。

・chrome metallic
かの土屋昌巳さんをプロデュースに置いたアルバム"Blow Session”からの楽曲で作詞は松本隆さんだ。
実に図太いロックだ。尚之さんは、ファンのかなで勝手に"ナオバラ"などど、バラードの名手の印象が強いみたいな風潮があるが、発揮言ってしまえば、実にレンジの広い、ジャンルにとらわれない楽曲を作曲される。
この、ストレートな歌詞に、ホーンセッションを用いた図太いロック否が応でも気分が上がるのだ。

・君に逢いたい
1996年に発表されたシングル"あんな気持ちで"のカップリングだ。
いや、これは大名バラードである。
尚之さんは、コードを繊細に駆使をして作曲する印象だが、この曲は気を衒ったコードが無く、実にシンプルだ。そのシンプルなコードに乗せたメロディラインが、非常に心地よく美しい。
歌詞もまた、近くに居るから会いに行っていいかな?、という日常的で実にシンプルな内容でストレートな美しい歌詞だ
そのシンプルさが融合して、実に心地よく心に刺さる名バラードなのだ。

・キスの嵐
1988年に発表された7枚目のシングルで、作詞は近田春夫さんだ。
藤井尚之さんの、ソロ名義のシングルの中では最高傑作と言える。
ゴキゲンなテナーサックスから始まる、非常にキャッチーで明るく勢いがあるロックンロールだ。
Aメロ、Bメロ、サビ、間奏と、実に王道な構成であるが、非常に短い曲だ。
オールディーズでも、初期のビートルズでも、パンクでも、日本ではキャロルなど、昔のロックンロールは曲が短いのは、レコード版の溝に限りがある事もあるが、ソリッドで無駄が無いのである。
この"キスの嵐"はソリッドで全く無駄が無い、実に魅力が凝縮された素晴らしいロックンロールなのだ。

・LOVE PARADE
1988年に発表された"First kiss"のオープニングを飾る曲で、作詞は近田春夫さんだ。
この"First kiss"は尚之さんの分岐点となる作品で、それまではいわゆるアメリカンロックの文法が漂う作品が続いていたが、このアルバムで一気にポップなロックに舵をきる。
そんなこの曲であるが、非常にポップでアコースティックな雰囲気をもちながら、見事なミドルテンポのロックだ。
歌詞はいささか散文的で、世界がひとつになって、皆が愛し合う世界と、日常の対比、みたいな解釈だろうか。まあ、解釈は自由だ。
Aメロ、Bメロ、の緩急、サビの盛り上がり、そして尚之さんの歌う素晴らしいメロディライン。実にシンプルに心地が良い名曲だ。

嗚呼我が人生〜Who I am〜
1999年に発表されたアルバム"Who am I?"の表題曲で、作詞作曲が白井十ニさん…。はてさて聞いた事がない。誰だろうか。
そんな人は存在しないのである。実は筆者はその秘密、真実を知ってしまっているのだが、私情があり書く事が出来ない。そこはご容赦頂きたい。
で、本曲はのっけから怒涛のホーンセッションから始まる、どストレートな骨太ロックだ。実に気持ちが良い。
ありきたりの日々を過ごす主人公が未来を思う自暴自棄的な歌詞であるが、尚之さんの力強いシャウトと共に実に曲と一体化し、この名骨太ロックを完成させているのだ。


・ゼロ
1999年に発表された11枚目のシングルで、作詞は兄である藤井フミヤさんだ。
実にストレートなロックに、ハートブレイクした主人公が全部ゼロにして、今がスタートだ、という前向き極まりない歌詞が調和して、実に気持ちが良いミドルテンポのロックを廣している。筆者は、落ち込んだ時、やるせない時に、幾度もこの曲を聴いて、自分を鼓舞したものだ。

(後記)
今回は藤井尚之さんの10選をやった次第であるが、今回は初期のころからかいつまんで、この曲は外せない、とセレクトした訳だが、結果2000年に届かなかった。うん、それだけ素晴らしいメロディメイカーなのだ。
もちろん、2000年以降にも名曲を生み続ける尚之さんの、更なる名曲も今後紹介したい。 

読んでくださった方々へ、ありがとうございました。

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