見出し画像

勝手に10選〜カッコいいアルバムジャケット洋楽編〜

(前記)
ジャケ買い、という言葉は絶滅危惧種だろうか。

ネットやらAmazonやら無い時代に、
ありったけの金を掴み、レコード店に向かう。

お目当てのLPがあろうが無かろうが、ついつい別のラックを見てしまい、ふと目にしたアルバムジャケット。

カッコいい感じじゃん。500円だし、買ってみよう!。

ついでの衝動買いで、何のジャンルだか、どんな曲を歌っているかも知らない。
ハズレか、当たりかは家に帰ってからのお楽しみ。
大概はハズレ、当たったら超ラッキー。

そんな事が楽しい時代もあったのだ。

聴いてみて、はずした…だけどジャケットがカッコいいから飾っておこう、とか。

音楽だけでは無くて、小説なら本屋、映画ならレンタルビデオに、自ら足を運んで、見た目や装飾、題目だけで購入したり借りたり、そして新たな発見をしたり、ハズしてしまったりを繰り返し、…しかし確実にそこには付随するストーリー、物語があるのだ。

お店に行く途中で友人とバッタリ会ったり、新しい別のお店を発見したり、空が綺麗だったり、通りすがりの犬が可愛かったり、近くに美味しいラーメン屋さんを見つけたり、お店のおすすめの別の作品を手にしたり、定員さんと仲良くなって、更に別の何かを教わったり、ついでと思って手にした作品が、自身に欠く事ができない作品との巡り合いだったりしたのだ。

そんな時代が薄れて行くのに少し寂しさを感じる。

という訳で、そんな観点から、今回は、アルバムジャケットのみの見た目で勝手に10選する。

なお、1アーティストにつき、1枚とする。

Sticky Fingers

1971年に発表されたローリング・ストーンズのアルバム"Sticky Fingers"のジャケットだ。

アンディ・ウォーホルがデザインを手掛けており、ミック・ジャガーの股間の写真をシルクスクリーンにして、実際のジップ(LP版)が付いている。
モノトーンに絶妙なバランスと大きさで、またシルクスクリーンを用いた赤を用いたクレジットもお見事だ。

ELVIS PRESLEY

1956年に発表されたエルビス・プレスリーのデビューアルバム”Elvis Presley"のジャケットだ。エルビスがシャウトするモノトーンのフォトに、このピンクとグリーンとこの書体で、この位置に配置しているのが、最高にクールなのだ。
まさに古き良き50'sの世界観そのものだ。
有名な話だが、後にクラッシュがパクっている。。

The Velvet Underground and Nico

1967年にヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファーストアルバムとして発表されたアルバムだ。
アンディ・ウォーホルによるデザインだ。
バナナをシルクスクリーンで表現しており、普段作品に自身の名前を書かないウォーホルが、敢えて、絶妙な場所に名前を書く事で非常にバランスに優れたジャケットとなっている。

The Slider

1972年にT・レックスが発表したアルバム"The Slider"のジャケットだ。

ぼやっとしたモノトーンのマーク・ボランに赤でT.REXが実にイカしている。バランスも実に素晴らしい。クール極まりない。

Never Mind the Bollocks, Here's the Sex Pistols

1977年にセックス・ピストルズのデビューアルバムとして発表され、結果的に最後のアルバムにもなったジャケットだ。

さすが、マルコムとヴィヴィアン、色を使い過ぎず、黄色地にピンクで、しかも切り抜きで、バンド名というところが流石である。黒のタイトルも映えて、字体のチョイスも、バランスも素晴らしいのだ。

Wheels of Fire

1968年に発表されたクリームのアルバム”Wheels of Fire"のジャケットだ。

実にアート的にイカしたデザインである。
原画は鉛筆のみのデザインであろうか?美術好きの筆者の想像を色々と膨らませてくれる実にクールなジャケットだ。

The First of a Million Kisses

1988年に発表されたフェアーグランド・アトラクションによる唯一のアルバムのジャケットだ。

車のミラーに写ったキスシーンが実に素晴らしい。
この写真は元々フランスの写真家であるエリオット・アーウィットによって撮影された作品を拡大したものだ。
モノトーンの素敵なフォトにピンクの筆記体のタイトルが映える。バランスも素晴らしい。
名ジャケットなのである。

Costello Music

2006年に発表された、ザ・フラテリスのデヴューアルバム”Costello Music"のジャケットだ。
いかにも、ゴキゲンなロックンロールを演ります、とジャケットが語っている。

クレジットの色と、対極に存在する女性のドレスがグリーン、レコードをかけようとする女性のドレスとプレーヤーがレッド、そしてグレーのドレスを着た女性は、緑の女性の隣に置いてあるボトルの色と同じ、バランス、色使いが実に素晴らしいのだ。

NEVERMIND

1991年にニルヴァーナが発表したアルバム”NEVERMIND"のジャケットだ。

実に洒落の効いた発想である。水中で赤ちゃんが1ドル札を追いかけている。
プールの綺麗な水の中で泳ぐ赤ちゃん、向かって左下に黒でクレジットされているが、この対極に1ドル札があり、色彩的にもバランスが取れている。

この赤ちゃんが大人になって訴訟を起こしているが、まあ思うところはあるがコメントは差し控えさせていただく。

ABBY ROAD

ビートルズのアルバム”ABBY ROAD"のジャケットだ。

ビートルズのアルバムは実にかっこいいジャケットのオンパレードだ。
そんな中、筆者がこの作品を選んだ理由は、ビートルズの4人が、スタジオ前の横断歩道をただ渡っているだけなのだ。ジョンに至っては顔もよく解らない。

余計な装飾は何もなく、ただ歩いているだけで、俺たちはビートルズですけど何か?、という様なメッセージ、威厳、余裕すら見えて、結果的に観光名所になっていしまう、という潔さが、後世に残る名ジャケットたる所以なのだ。

(後記)
今は音楽も配信に大きく傾いている時代だ。

アルバムを通して聴いて、その価値観を総合的に見出す時代ではなくなっているのだろうか。
そうなら、アルバムジャケットも不要なものになってしまう時代も来かねない。

ジャケットもアルバムのマテリアルとして、先人たちが頭を捻りデザインして来たのだ。

ジャケットもそのアーティストのアルバムに含まれる作品なのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?