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【先入観を持たない】39 杉本通信~論文を書くときに~

こんにちは

皆さまこんにちは!よろずです。今回の話題に入る前に杉本監修の展覧会「東北の画人たちⅠ~秋田・山形・福島~」の進捗について少々お話しさせていただきます。

ポスター・チラシが完成しました!

東洋・日本美術史研究室の学生が制作の中心となった展覧会ポスター/チラシ/案内ハガキが入稿印刷を経て到着いたしました!

チラシ
ハガキ
ポスター
研究室がある建物の玄関にも貼らせていただきました。
目を引くポスターです。

実は私もポスター・チラシの作成に携わっております。自分が関わったものがこのように形になると、とてもうれしい気持ちになりますね…
このポスター類は随時、関係各所に配送させていただきます!

展覧会についてはこちらもご参照ください。


今回の話題「論文」

さて今回のテーマは「論文」についてです。今回杉本が述べるのはあくまで美術史の論文についての考えですが、個人的にこの考えは人文社会学全般に対していえることだと思います。

論文を書く意義については以前も記事にしています。

今回は特に杉本が論文を書く際に何を考えているのかをご紹介します。


全文

 基本的に自分の分野に関係する美術史の本や論文を、率先しては読まない。先にそれを読んでしまうと、先入主となってしまうからである。あたかも自分の頭を別の住人に譲り渡すようなものだ。論文を読んで勉強し過ぎた人は、立派な研究者にはなれないだろう…とも思う。
 去年、ノーベル生理学・医学賞を受賞された大隈良典さんも、「先生をあまり偉いと思ってはいけない」という趣旨の発言をされていた。先生と同じ体力を備えるまで、同じ土俵に立って勝負すべきではない。
 いまだこちらが周回遅れにあるときには、圧倒的に相手の方が強いに決まっているからだ。それを知ると当然ながら萎縮してしまうだろう。だから論文を読みすぎてしまうと、自分が研究する余地はない…と錯覚してしまう。   
 まずは論文など読まず、自分が知りたいと思ったことを徹底的に自力で調べることだ。もちろんその時代の原典資料で。それが一段落してようやく同じ土俵に立つ資格が生じる。他の人がどのようなことを言っているのか、論文を読み、自分の意見を客観的に検証する。
 すでに同じような事が言われていたとしても、それはしょうがない。独力でそこまでたどり着いた証明にもなるし、何かしら違うところがあるはずだ。その部分を深め広げていくわけである…。

「杉本通信」(45)

他人の論文は読まない

 基本的に自分の分野に関係する美術史の本や論文を、率先しては読まない。先にそれを読んでしまうと、先入主となってしまうからである。あたかも自分の頭を別の住人に譲り渡すようなものだ。論文を読んで勉強し過ぎた人は、立派な研究者にはなれないだろう…とも思う。

杉本通信

杉本は基本的に他人の論文を読まないと言います。読むとしても、あらかた調べ終わった後に、自分の研究が人の研究と重複していないかを確認するために読むのだそう。自分の考えを持つより先に他人の考えをインプットすることは他人の色眼鏡をかけることと同じようなものです。「真」に迫る研究をしようとするならば、まずは誰の考えにも染まらないフラットな視点で作品を分析することが重要になりますね…!

格上と同じ土俵に立たない

 去年、ノーベル生理学・医学賞を受賞された大隈良典さんも、「先生をあまり偉いと思ってはいけない」という趣旨の発言をされていた。先生と同じ体力を備えるまで、同じ土俵に立って勝負すべきではない。
 いまだこちらが周回遅れにあるときには、圧倒的に相手の方が強いに決まっているからだ。それを知ると当然ながら萎縮してしまうだろう。だから論文を読みすぎてしまうと、自分が研究する余地はない…と錯覚してしまう。

著名な先生方の本や論文を読むと、説得力の強さや説明の巧みさ、知識量の多さから到底自分が勝てる相手ではないということが思い知らされます。しかし、同じ土俵で勝てないからといって、自分が研究する余地はないというわけでもありません。勝てないからやらないというのではなく、他の研究者と意見を交わせるように、同じ土俵に立てるように研究をしていくべきです。

原典資料の博探

 まずは論文など読まず、自分が知りたいと思ったことを徹底的に自力で調べることだ。もちろんその時代の原典資料で。それが一段落してようやく同じ土俵に立つ資格が生じる。他の人がどのようなことを言っているのか、論文を読み、自分の意見を客観的に検証する。 
 すでに同じような事が言われていたとしても、それはしょうがない。独力でそこまでたどり着いた証明にもなるし、何かしら違うところがあるはずだ。その部分を深め広げていくわけである…。

杉本は他人の論文を読まずに何をしているのか。原典資料の読み込みです。ベテランの大先生であろうと、私のような超ひよっこ研究者であろうと、使うものは同じ原典資料。それを調べつくして初めて得られるものがあります。

ありがとうございました

今週の講義の様子
前回やった掛け軸の扱いを復習しました。

本日は杉本流の論文に対する向き合い方をご紹介しました。
来週はナカモリさんの担当です。次回もお楽しみに!!

【参考】

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