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【授業紹介】実習・粉本編

こんにちは

こんにちは。ナカモリです。
いよいよ先週から、杉本監修の展覧会
「東北の画人たちⅠ~秋田・山形・福島編~」が始まりました!
今まで取り上げられてこなかった、東北地方の画家たちの作品が勢揃いする企画となっております。是非たくさんの方に足をお運び頂ければ幸いです。

展覧会図録もあります。会場の瑞巌寺にてお求めいただけます。



今回の話題

さて、今回は、粉本について取り上げた実習の様子をご紹介します!

本編に入る前に、授業では、前回行われた展覧会の裏側の見学について、学生からの質問に杉本が回答しました。ここでは展示の工夫ついて、杉本からの解説をご紹介します。(展覧会の裏側についてはこちら ↓ )


浮世絵-一枚摺の展示と額装

浮世絵は、一枚の和紙に摺られた状態であるため、展覧会では額装した状態で展示します。その際に、作品を直接額縁に入れるだけでは味気ないので、額縁と作品の間にマット紙を挟みます。

様々な色・素材のマット紙

ひとくちにマット紙と言っても、素材から色まで様々な種類のものが存在します。ですから、見せ方を考えてマット紙を選ぶことは、単に作品を綺麗に展示できるだけでなく、展示会場の全体をコーディネートする効果もあるのです。授業では、実際の浮世絵に色の付いたマット紙を重ね、作品がどのように見えるか試してみました。


宮城と縁の深い「白石噺」を描いた浮世絵に、色の違うマット紙を重ねたところ。
同じ絵でも、それを囲むマット紙によって印象が違って見えます。

「東北の画人たちⅠ~秋田・山形・福島編~」でも、マット紙を活用した展示をしています。ご来場の際には、ぜひ探してみて下さい!


粉本に触れてみる

授業の後半は、本題の粉本について学びました。

粉本とは、絵の下書きや、風景・景物のスケッチ、あるいは古画の模写・模本を指す総称です。
粉本は、実物そのものの情報に加えて、それがどのように伝わってきたか、そのものが写されたことで後世にどのような影響があったか、といった情報をも伝える貴重な資料として、美術史の世界で注目が高まっている分野なのだそうです。

渡辺崋山の作品を、彼の弟子である椿椿山が写した粉本。
このように、表装して掛軸になっている粉本もあります。


雪舟の山水画の粉本

上に示したのは、雪舟の山水画の粉本です。巻子状に巻かれた粉本を広げていくと、末尾に伝来が記されており、元々は細川家に伝わっていたものが二回写されたのだと読み取れます。伝来がはっきり示されていること、なおかつ、この作品の実物が現存していないことから、こちらの粉本は雪舟研究の上で非常に資料性の高いものだと言います。



粉本の概要と資料としての価値について学んだ後は、杉本が所蔵する鵜飼家の一括粉本資料を見ました。
鵜飼家は、町絵師の家であり、絵にとどまらず、着物のデザインも手がけていたのだそうです。また、天明の大火で焼失した京都御所の再建時に、襖絵を手がけた事でも名が知られています。
授業では、たくさんの粉本の中から、気になったものについてグループごとに発表しました。

こちらのグループが取り上げたのは、着物のデザイン帳と見られるもの。
着物全体に施すデザイン案に加え、上に示したような個々の文様のスケッチが描かれていました。
こちらのグループが取り上げたのは、小袖か屏風のデザイン画と見られるもの。
バラバラになっていたものをつなぎ合わせると、一つの作品の下書きの姿が浮かび上がってきました。



ありがとうございました

今回は、粉本について学んだ実習の様子をお届けしました。
いかがでしたでしょうか。
私は今まで粉本をメインとして見る機会は無かったので、そもそもこんなに多くの粉本が残っているということに驚き、まだまだ研究されていない分野があるのだと実感しました。

それでは、今回はここまで。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

【参考】

展覧会特設サイト:杉本監修の展覧会「東北の画人たちⅠ~秋田・山形・福島編~」についてはこちらからどうぞ!

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