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【人間関係】 41 杉本通信~研究者のコミュニティ~
こんにちは
こんにちは、よろずです。
皆さま三連休はいかがお過ごしでしょうか?
私は先日、研究室のメンバーと共に、山形県の慈恩寺というお寺へ行ってきました!
慈恩寺は東北最大級の規模を持つお寺で、平安時代や鎌倉時代の仏像を数多く所有しています。本当にたくさんの仏さまがいらっしゃるので、私たちは「推しの仏像」を探して楽しんでいました…!機会がありましたら、ぜひ行ってみてください。
今回の話題
さて今回は、「杉本通信」から以下の内容を取り上げます。
私がいつもおかしい…と言っているのはこの点だ。
「真実」は2の次で、すでにある枠組みとしての「競技」の方が大事なわけである。「競技」さえ成り立っていれば、「真実」など明らかにしなくても良い。いやむしろ「真実」が明らかになれば、「競技」にとって不都合な点が出てくる…。
ならば「真実」など明らかにしない方が良く、いまの枠組みで十分ではないか…と。
研究と言いつつ、それを行っているのは人間だ。自ずと「研究社会」というコミュニティができる。コミュニティでは「仲良く」しなければならない。それは「真実」を知るという厳しさと、ある意味で相反する部分が多いのである。
私が他の同業者と一定の距離を置いているのはそのためだ。「なあなあ」になると「情」が勝り、時には「真実」を放棄しなければならない場面が出てきてしまう。それでは研究者はつとまらない。
「真実」のために「非情」になれる覚悟があるか?本来、「研究者」は孤独なものだと思うのだが、この世界、残念ながら孤独を嫌う人は多いのである。
「競技」と研究
「競技」というとルールがつきものです。
競技
[名](スル)一定の規則に従って、技術や運動能力の優劣を互いにきそうこと。「陸上―」「珠算―」
調べてみたところ、デジタル大辞泉は競技についてこのように説明しています。
実際、研究が「競技的に」行われている、つまりある規則に従って行われている場合もあるようです。
例えば想像できるのは、
「権威である○○先生の説を否定するようなことを言うと業界を干される」
という場合。
ここで問題になっているのは「説が真であるか否か」ではなく、「○○先生に従うか否か」です。この場合、○○先生自身がある意味競技上の守るべき規則になっています。
もし、○○先生の説が間違っていたら、それを正そうとする人がいなかったら、真実は闇に葬られたままになってしまいます。研究は、あくまで真実を明らかにするものでなくてはなりません。
研究と「コミュニティ」
なぜ研究に規則が発生するのか。ルールは集団の中で生まれるということを考えると、研究者同士のコミュニティにその理由があるように思われます。
杉本は研究者同士の付き合い方について、「「なあなあ」になると「情」が勝り、時には「真実」を放棄しなければならない場面が出てきてしまう。それでは研究者はつとまらない。」と考えます。
この意見には私も同感ですが、このような付き合い方をこころがけたいと思っても、それが難しいと感じるときがあります。
例えば、後輩が先輩の研究に対して意見するとき。私もまだ慣れていないころは、目上の人に意見することにかなり抵抗感がありました。先輩に「舐めた態度をとっている」と思われそうな気がしますし、やはり大学生活の中で付き合いが続いていく人には嫌われたくありません。
私は比較的気になったことは言わないと気が済まないタイプですので、結局先輩にも意見するようになります。ですが幸いなことに、東洋・日本美術史研究室には、私が意見することに否定的な先輩はいませんでした。
杉本は真実のためには非情になるべきと考えますが、私はこれに加えて「寛大になるべき」と思います。例え後輩に意見されても、例え自分の考えを否定されても、相手の主張に耳を傾けて自分の研究を見つめなおす…。そうすることでより真実へ迫った研究ができるのではないでしょうか?
いずれにせよ、研究者は真実を追求するために、他の研究者との付き合い方を考えていく必要がありそうです。
ありがとうございました
今回は研究者同士の人間関係のあり方について考えて参りました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回はナカモリさんに講義の様子をお伝えしていただきます。
【参考】
展覧会特設サイト:杉本監修の展覧会「東北の画人たちⅠ~秋田・山形・福島編~」についてはこちらからどうぞ!
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