今年のコナン映画をみてエロい気分になる理由
協力者関係というのは、なかなかエロティックだと思う。
協力者関係とは・・・公安警察に対し情報を提供し、捜査官の思い通りに動く存在
圧倒的な使命をもつ人がいて、その人のために情報を与える。手となり足となり動く。
非対称的な主従関係でありながら、従が無ければ主も成り立たない面があり、互いに命を握っているような、かけがえのない絆で繋がれているような、独特の官能がある。
しかし、私がもっとヒリヒリするのは、強い者が互いに実力を認め利用し合う、対等で、ドライな関係。
そこに甘い言葉はなく、高額な報酬も、ベットシーンもなくて構わない。
あるのは、敬意と信頼。
そして信念。
言外に尊敬を滲ませながら、自分の信念のために(※相手の信念のためではない)利用し、協力しあう。
1人でも充分に実力はあるが、その組み合わせだからこそ、更なる高みへ行ける。
そんな関係がとても好きなのだ。
そういう意味で「名探偵コナン ゼロの執行人」は、観ていてエロい気分になる映画だった。
正義vs正義
信念vs信念といってもいいかもしれない。
ご存知の通り、国民的探偵江戸川コナンくんは、見た目は子ども、頭脳は大人、迷宮なしの名探偵。決め台詞は「真実はいつも1つ」!
今回の映画では安室透という男が登場する。
彼は公安の人(警察庁警備局警備企画課“ゼロ”に所属する公安警察官)。
彼の信念は「自分が行なった違法捜査の尻拭いは自ら行う」。(厳密な文言は違う気がしますが大意で取ってください)
盗聴、ハッキング、証拠ねつ造、その他あらゆる違法行為を行う。
本編では1人とその家族の人生をめちゃくちゃにしかけているので可愛いものではない。
しかしそれも、全ては、彼なりの正義のため。
国のためならば犠牲を厭わずなんでもやる。その代わり、自らカバーできない違法行為は行わないし、裏で全ての帳尻を合わせる、そんな存在だ。
そういった面は、法令遵守で人道主義なコナン君とは相反する。
しかし、自分の信念をとことん貫き、技や頭脳を磨き、他の追随を許さない点ではこの2人はよく似ているのだ。
認めていると言葉には出さないけれど
冒頭で述べたドライな協力関係はこの安室さんとコナンくんだ。
信条の異なる2人だが、「人の命を守りたい」という点は共通している。
平行線をたどる2人が、次第に事件解決のため、人命救助のため、それぞれの力を絡めあい共鳴させ、増幅させていく展開にゾクゾクする。
安室さんがコナンくんの事情をどこまで知っているのか私にはわからないが、コナンくんの実力はかなり認めている。
体は小学一年生なんだからもっと大事にしてやれよと思うほどだ。
信頼関係のエロティックさ
コナンくんの実力はみなさんもご存知のことと思うが、安室さんの実力も相当だ。
トリプルフェイスと呼ばれ、普段は私立探偵として毛利小五郎に近づき喫茶店ポアロで働くモテ男であり、その裏で黒の組織に所属する、正体は公安警察官。
そういった実力のある強い人間は、そう簡単に弱みを見せない。
コナンくんも、見た目は小学生だが、あまり弱っているところを見せていないように思う。
そんな強い人たちが、誰かに頼る、というのはある種弱みをみせ甘えているようで、私はどうもぐっときてしまう。
トリプルフェイス安室透が頼り、巻き込むことができるほどに信頼しているのが江戸川コナンなのである。
作中では、安室さんが阿笠博士を認めているシーンも出てくる。
いつもギャグクイズを出しているから忘れがちだが、彼の開発力もかなりのものだ。
見た目が子どものコナンくんや、阿笠博士の実力を鋭く見抜き、利用しようとする賢さ(狡猾といってもいいかもしれない)も安室透の魅力である。
まあとにかく観てください。
「観たものは皆、安室の女になる」と聞いてどういうことだよ、と思いながら行ったが、その魅力と展開になるほどと納得した。
私は彼の部下の風見さんの方が好きな気がしていたのに、日に日に安室透に心惹かれて行っている気がする。
公安が絡む組織を描いた内容であり、正直お子様向けではない。
でも内容はめちゃくちゃ面白い。
調べたら脚本が「相棒」や「ATARU」の櫻井武晴さんだそうだ。
安室さんとコナンくんだけでなく、今回だけ出てくる人も含めたすべてのキャラクターが主体的に生きているのが感じられ、それぞれに信念と欠点がある重厚感がよい。
カーアクションが凄すぎて笑ってしまうほどだが、安室さんの愛車マツダRX-7が実物よりカッコ良く見えるのは、アニメ表現だからこそ。
ラストのスリリングでめちゃくちゃなアクションと音楽、そしてコナンくんと安室さんのやりとりは、アドレナリン大放出でいっそ笑いつつも心動かされもはや爽快。
ファンは安室さんを「(興行収入)100億の男」にすべく頑張っているようだが、私もそうなって欲しい気がしている。
熱心なコナンファンというわけでもないのに、もう一回くらい観たい気がしてくるのだから不思議だ。
ちなみに私はフロントガラスをかち割るシーンが好きです。
何はともあれぜひ観て欲しい。
もし無理やり難点を挙げるとしたら
※ここからはオマケのようなものです。読まなくても問題ありません。
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