登場人物はどんな気持ちでしたか?の正解とは
日本語初級クラスでGENKI Ⅰの読み第10課「かさじぞう」を行った時の話です。
みなさんは日本の民話「かさじぞう」をご存知ですか?内容を簡単にまとめてみます。
という話です。
この話の内容確認として教科書に○✖️問題がありました。
「おじいさんの話を聞いて、おばあさんは悲しくなりました。」
はい、みなさんは○だと思いますか、✖️だと思いますか。
...
だいたいの方が「✖️」を選んだのではないでしょうか。なぜならおばあさんは「良いことをしましたね」とおじいさんを褒めているからです。
学生同士で答えを確認しあってもらい、「私たち二人はもう完璧です!」
と手を挙げた二人の解答をみると、なんと二人とも◯。
その理由を尋ねてみると、こんな回答が返ってきました。
なるほど!?
そんな視点があったのね??!!
✖️としか思っていなかった私は驚きましたが、確かにあり得る解釈だなとも思いました。
二人から言わせれば、「文のどこにもおばあさんが喜んでいるとは書いてない。この言葉をどんな気持ちで言ったかは誰にもわからない。だから皮肉で言ったとしたら答えは◯だ。」と。
最終的に、「でもその考えで言ったら、文のどこにもおばあさんが悲しくなったとは書いてないから◯とは言いきれない。であれば、答えは✖️だよね。」と私が言って、二人は納得し答えは✖️として扱いました。
さすがに高校入試などの大きな試験で、今回のような議論になりそうな問題は出ないと思いますが、「この時の登場人物の気持ちとして最もふさわしいものに丸をつけなさい。」という類の問題は国語のテストでよく見かけますよね。
夫は国語が苦手なタイプなので、今回の留学生の話をしたら、
「わかる!!俺もいつもそう思ってた!!そう言ったからってその言葉をどんな気持ちで言ったかわかんないじゃん!!だから国語嫌いなんだよ!!」と言っていました笑
私からしたら、明らかに文脈から読み取れるものしか問題には出さないはずだし、「最もふさわしい」と言われたら、消去法で必ず1つに絞れるようになってるはずだから、それでも読み取れないならそれは単に読解ができてないだけだと思うんですけどね。そう言ったら夫はまだブーブー言ってましたが🐷
今回は日本語初級の教科書ということもあり、本文も問題文も既習語彙内の易しい日本語で書かれていたため、深読みすることも可能になったのかなと思います。ただ事前準備の時に「この言葉を皮肉と捉えると解釈が変わるな。」というところまで私の考えは至らなかったので、この学生の発言はとても興味深いものでした。人によって同じ物語を読んでいても、こんなにも受け取り方が変わるんですね!同じ世界を見ていると思っていても、実際は違うものを見ている、そのことを忘れずにしたいなと思った出来事でした。