「断線」(松田優作)&「千夜一夜」(田中裕子)出ていく男と待つ女の映画[17]
断線」(だんせん)
松本清張 『週刊文春』1964年1月13日号から3月23日号まで、『別冊黒い画集』第6話として連載され、1964年9月に短編集『陸行水行-別冊黒い画集2』収録の一作として、文藝春秋新社(ポケット文春)より刊行された。
松本清張原作を松田優作主演で映像化した、1983年(昭和58)放送のサスペンス・ドラマ。
「断絶」
ストーリー 元銀行員の滝村英子は、証券会社勤務の田島光夫と結婚した。光夫は滝村家の養子となり、滝村姓となった。しかし結婚届を出して一ヶ月も経たぬうち、光夫は出張に行くと言って家を出たまま、行方知れずとなった。英子は会社に問い合わせたが、光夫はすでに一週間前に会社を辞めていた。
ナイトクラブの売れっ子・浜井乃里子のアパートに転がり込み、「友永」姓でしばらくヒモ生活を送っていた光夫は、乃里子の勧めでクラブのボーイとなる。しかし、貿易商の妻・倉垣左恵子がクラブに現れ、欲求不満の溜まっていた彼女は光夫を誘った。乃里子にそろそろ飽きかけてきた光夫は、新天地を求め左恵子に乗り換えようと考え始めたが、その矢先、左恵子の滞在するホテルから出たところを乃里子に糾問された光夫は…。何が断線してしまうのか。断線と脱線と破滅とは?怒り狂う愛人、そして―!ニヒルで気ままな男が、仕事も女も転々とするうちに殺人まで犯し破滅してゆく姿を描いた、松本清張の異色推理小説大衆です。なぜ男田島光男は、なにふじゅうのない暮らしを捨てて、出ていってしまうのか。この時代の風潮に男たちの先の見えない自由への憧れが、あるのではないかと思うのです。敷かれたレールの上を決まったルートで生きるこへの嫌悪感といつたものを清張の作品をとうして松田優作が、男を体現している。光男は馬鹿な男だが、何故か理解できたりするのだろう。
39年後の2022年10月7日公開の田中優子主演の「千夜 一夜」は、
北の離島で、ちょつと出てくるといつて出ていった夫の帰りを待つとう若松美恵子を演じている。この作品は小説というよりドキュメントタリーのような重さと軽さであり、見るものを人ってなんだろうと思わせる。「待つ」て辛いもんだねという藤倉千代役の白石加代子さんのセリフが何気なく刺さる。待つ事が意地なのか愛なのかわからなくなって自分は狂ってると言い出す美恵子。またない女を田村奈美役の尾野真千子さんが演じているが夫が帰って来て修羅場です。この作品もまた「断線」と言えるのかもしれません。これほど失踪、蒸発にこだわる自分もトラウマを抱えているかもしれない。年間、何マン人の失踪者の90%は発見されるが残り10%の何%かは本当に蒸発してしまうらしい。年間二千人くらいの無縁仏が出ているらしい。最近親族の知らぬ間に火葬されたというニュースを見た。知らぬ間に火葬” 死後事務トラブル 5年で14件。
名古屋市 引き取り手のない遺体2年以上火葬せず 主事を処分。
2023年度は99の自治体で少なくとも1万2122人が「引き取り手がない」として火葬された。
これからお一人様が増えて家族も断線してお墓もなくて、死んだ後まで知らんよという人が増えてしまうのか。(虎と翼)でも家族か個人か。権利の話をS23年にしていたようだが、個人の自由の犠牲のうえに家族が成り立っているわけでも無いだろう。話が脱線してしまつた。(終)
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