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2カズオ・イシグロ   A PALE VIEW OF HILLS

ペイル・ビュー 遠い夏
Hiro「今こそ原爆投下を問わなくてはなりません。さもなくばまたキノコ雲の呪いに襲われてしまうかもしれない」
遠い山並みの光。1892年長崎が舞台
A Pale View of Hills「遠い夏」

撮影されなかつた映画台本

原作カズオ イシグロ
脚本吉田喜重 協力John Mcgrath
監督吉田喜重
ノーベル平和賞のカズオ・イシグロの『遠い山なみの光』を原作に、吉田喜重監督・脚本で撮影直前に中止となった『ペイル・ビュー 遠い夏』の台本です。。音楽・武満徹、撮影・森田富士郎、美術・木村威夫。出演は岡田茉莉子、大木実、大楠道代、香川京子、串田和美ほか。これは本当に実現して欲しかった幻の映画でした。しかしなんと2025年夏に全国公開されることが決定しました。広瀬すず主演で監督石川慶で「遠い山なみの光」を、映画化することになつたのです。
カズオ・イシグロ   訳小野寺健
「遠い山なみの光」

1982年初作品

戦後の長崎で命に生きる人々を幻想的に 描くデビュー作。王立文字会 作。
作品は、カズオ・イシグロが1982年に発表した処女作「遠い山なみの光」
(A Pale View of Hills)の映画化である。日本で最初に紹介されたときは「女たちの遠い夏」(ちくま文庫)という題で、のち同じ訳者・小野寺健による改題改訂版「遠い山なみの光」(早川書房)となった。吉田喜重による映画版の題名は「女たちの遠い夏」。日本・フランス・イギリスの合作で、日本側の製作は日活が担当することになっていた。合作の持つ問題はやっかいだ。作品の底に流れるものは、長崎、原爆、記憶という三大テーマで、現在のイギリスと回想の中のナガサキが交錯する、まさに「ナガサキ、モナムール」とも呼べるものであった。
 日本人の母とイギリス人の父を持ち、ロンドンで暮らすニキ。大学を中退し作家を目指す彼女は、自著執筆のため、異父姉の死以来足が遠のいていた、母が一人で暮らす郊外の実家を訪れます。母の悦子は、長崎で原爆を経験し、戦後イギリスに渡ってきていましたが、その過去について何一つ聞いたことがないニキ。夫と長女を亡くし、想い出の詰まった家で一人暮らしていた悦子は、ニキと数日間を共にする中で、最近よく見るというある「夢」について語り始めます。それはまだ悦子が長崎で暮らしていた頃に知り合った、とある女性と、その幼い娘の夢だった。悦子の娘長女の啓子が自殺してしまう。

万里子?景子?
八冊

全八柵イシグロの個性とは言葉にできない感情と真実に振り回される主人公の苦悶の表現。「私を離さないで」では、臓器提供のためのクローンなんだということを教えられている。だけど教えられていないこともある。イシグロの作品は運命に従いながらもある想いを持ってる。「日の名残り」は望ましい真実と欠けた真実との間に揺れる名残りを誰もが、自分の本質と魂のなんなのか、わかっているかを問う。読者自身が考えてしまう。作品になっている。ノーベル文学賞、受賞理由に「世界との絆、という幻覚の底にある深淵を暴いて見せた作品群たち」である。というのが受賞理由である。イシグロは自分がノーベル文学賞を受賞するとは思わなかった。と言っている。日本語タイトルも「遠いやまなみの光」と「女たちの遠い夏」では、読者の感じ方も違う。「遠いやまなみに薄明かり」だとまた印象が変わる原題のA Pale View of Hillsの「丘の淡い景色」と読者に与える印象が、違うのだが、そこがいいのかもしれない。あの夏の日の証言は色んな方面から語られるべきだと思う。手段として使われた道具が、人間の存在自体を否定してしまう。そのスイッチが存在する事が愚かなことだ。この作品が吉田喜重の「鏡の女」に与えた影響は計り知れない。場所も長崎ではなく広島である。
呉で活躍している画家のこずえさんに、トンネルを抜けた先の希望と未来のキノコ雲を描いてほしい。あの日のベンチで見た未来を。

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