3.「ドーパミン・サイクル」
子どもが難しいことにチャレンジして成功した時、脳が快感物質であるドーパミンを出し気持ち良くなるので、それを求めてまたチャレンジしたくなる、という脳の仕組みのことです。ドーパミンは快楽物質とも呼ばれていて、楽しいことをしている時や目標を達成したとき、褒められたときなどに分泌されます。 やる気を出してくれるのも役割の一つです。 ある行為でドーパミンが放出されて快感を得ると、脳がそれを学習して、再びその行為をしたくなります。幼少期の「遊び」には、子どもの脳や身体を発達させる効果があります。 子どもは遊びながら視覚や聴覚、触覚などの感覚を使って物事の特徴や関係性を認識したり、記憶することで脳の神経回路を形成するためのさまざまな刺激を受けています。ドーパミンが多い人は、以下のような特徴を持ち、充実した日々を送ることができます。
* やる気に満ちている
* 目標達成に向けて積極的に行動できる
* 新しいことにチャレンジする意欲が高い
* 集中力が高く効率的に物事を進められる
* ポジティブで前向きな思考が多い
ドーパミン不足が関与する病気
ドーパミンの不足は、いくつかの病気の発症や症状の悪化に関与しています。主なドーパミン不足が関与する病気は以下の通りです。
* うつ病
* パーキンソン病
* ADHD(注意欠如・多動性障害)
これらの病気は、脳内のドーパミン量の低下や伝達の異常が関与していると考えられています。それぞれの病気について詳しく見ていきましょう。
うつ病
うつ病とは、ドーパミン不足が関与する代表的な病気の一つです。ドーパミンは快感や意欲に関わるホルモンであり、その分泌量が減少すると以下のような症状があらわれます。
* 抑うつ気分
* 興味や喜びの喪失
* 疲労感や倦怠感
* 不眠や食欲不振
* 集中力の低下
ドーパミン不足がうつ病の直接的な原因とは限りませんが、ドーパミンを増やす生活習慣を心がけることが、うつ病の予防や改善につながるかもしれません。
ADHD(注意欠如・多動性障害)はドーパミンの不足が関与していると言われています。ADHDの特徴としては以下のようなものがあります。
* 集中力が続かない
* 忘れ物が多い
* 片付けや整理が苦手
* 衝動的な行動をとりやすい
ADHDの人は脳内のドーパミン量が少ないことが研究でわかっています。ドーパミンは意欲や集中力に関わる神経伝達物質です。ADHDの症状を和らげるためには、意識的にドーパミンを増やすことが大切です。脳内の神経伝達物質で、うれしいことや楽しいことがあると分泌されるので、「脳内報酬」とも呼ばれています。ドーパミンが分泌されるとわれわれ人間は快感を得ます。わーっと盛りあがって、なんだか気持ちがよくなる。その体験を何度か重ねると、脳は快感を覚えます。そして「あの気持ちいいことをもう一度やろう」「気持ちいいことにまた挑戦しよう」という指示を出します。すると、われわれはもう一度チャレンジする、またドーパミンが出る、すごく気持ちいい、またやりたくなる。そのサイクルが完成されると、何か楽しそうなことを見つけて集中して取り組む人間になれます。このドーパミンの分泌の仕組みを「ドーパミン・サイクル」と名づけました。世の天才たちはこのドーパミン・サイクルが普通の人よりも完成されているのです。だからこそ普通の人よりも、何かに気づきやすく、集中でき、成功することができるのです。子どもの脳のドーパミン・サイクルをつくるために親がしてあげられることは、「うれしい!」「楽しい!」と思う体験をどんどん増やしてあげることです。脳がうれしい、楽しいと思うことは、好奇心や探究心が刺激されることです。はじめてのことやワクワクドキドキすること、「何かな?」「どうしてこうなっているのかな?」と興味が持てるようなことがたくさんあると、脳でドーパミンがどんどん分泌されます。部屋は散らかっているほうがいい。子どもの脳を育てる、本当のかしこさを育てるなどと言うと、いろんなことをしてあげなきゃいけないと思うかもしれません。しかし、私が大事だと思うのは、むしろ「好奇心の邪魔をしないこと」です。子どもが何かを触りたい、何かで遊びたい、そういうときに「汚いからダメ」「危ないからダメ」と止めないでほしいのです。それはもちろん、命や健康に関わるようなことは止めなければなりませんが、子どものやりたいという気持ちはなるべく大事にしてあげてください。「子どもの好きなようにやらせると部屋が散らかるし……」と思うかもしれませんが、実は、子どもの脳にとっては「部屋は散らかっているほうがいい」のです。アフォーダンスという概念があって、環境が人間の発達へ影響したり刺激を与えたりすることがわかっています。子どもも家の中や公園など、その環境を形成するさまざまな要素に影響されて、新しい動作や感情を発達させていきます。つまり、部屋の中のテーブルやいす、本棚、おもちゃ、いろんなものをたたいたり触ったり登ったりなめたりかじったり、そういう体験を増やすことで、子どもの脳はどんどん発達するのです。部屋にはいろんなものがあって、子どもが自由に触れる。そんな環境こそ、アフォーダンスな環境なんです。子どもがおもちゃを投げた。椅子に登ろうとした。壁にかかっている絵をひっぱろうとする。クッキー缶のふたを開ける……親からすると「散らかさないでー!」と叫びたくなるかもしれませんが、そういうときこそ「脳が発達してる」「いま、ドーパミンが出てる!」と自分に言い聞かせてぐっと我慢してみましょう。親は子どもの邪魔をしないで笑顔でいよう。そして最後に皆さんにお伝えしたいのが、「笑顔でいる」ということです。子どもは親が笑顔でいれば、それだけでたのしく、うれしいのです。本でも紹介していますが、脳科学の研究で、子どもは親の膝の上に座らせて遊んだり、勉強したりするとドーパミンが分泌されやすく、かしこさが育つという結果が出ています。お父さんお母さんのぬくもりの中、笑顔で見守られていると感じることは、子どもにとって何よりも幸せで安心なことです。安心で安全でなければ、脳は楽しさやうれしさを感じることはできません。(茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者1962年生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学院理学系研究科修了)茂木先生の研究です。ドーパミンと依存症は関係ないのかもしれません。あるいは、依存症候群は「愛の枯渇」と言えるかもしれません。また
「サルボタン」みたいに単純じゃないのが依存症である。当せん確率が低いと知りながら宝くじを買うなどの理屈に合わない選択をする場合もある。こうした、経済行動におけるヒトの主観を普遍的に説明する。
プロスペクト理論は「我々の主観は揺らがず不変であるという前提」があるため、ギャンブルの勝ち負けに一喜一憂するような感情の変化まで含めて説明することはできなかったのだが過去の経験から最も儲かるような行動を学習する。
強化学習理論という理論があったが、性質の違いから別々に用いられてきた。山田准教授らは、この2つの理論を統合することに挑戦してヒトとサルがギャンブル行為をする実験を行い、統合した新理論で行動データを検証した。高い確率で当たると期待して報奨を得られなかった直後、ヒトは“大当たり”を引き当てたとき以上に強く「次は当たる」と感じるのです。日本にカジノを含む統合型リゾート施設を作る構想が進んでいますが、その際には十分に注意しなければならない問題だと思います」沈みゆく船から海へ飛び込むよう、船長が各国の乗客らを説得する。
「沈没船ジョーク」という笑い話がある。米国人には「飛び込めばあなたはヒーローだ」、英国人には「紳士はまっさきに飛び込むものです」、ドイツ人には「規則で飛び込むことになっています」などと、それぞれの国民性のステレオタイプに合わせて呼びかけるのだ。日本人には「皆さんはもう飛び込みましたよ」。ともすれば周囲に流されてしまう国民性を上手く皮肉っている。
推し活もすぎれば、依存症になる
推し活がエスカレートして他人に依存しすぎてしまうのは危険だ。金銭的にも精神的にも疲弊してしまっている。親のクレジットカードを使って700万円もの投げ銭をした女子高校生もいたという。推し活は、他人の人生に自身の生きがいを見いだす行為でもありる 現実社会がつらいから推しを消費するというマインドが強くなるほど、依存性が増し、その対象を「消費」をすることそのものが自身への救済につながるという感覚も強くなってしまうのです。推し活」の対象は何もアイドル、アーティストに限らない。俳優や韓流スター、アニメやホストやホステス、政治家や宗教に至るまで、本人の経済力に見合わない推し活は、「推す者」の生活や人生に支障をきたす。現代では誰にでも起こりうることなのです。