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イエスと呼ばれた男(仮題)ビートたけし主演

1985年第1回芸術作品賞受賞、衝撃を与えたイエスの方舟事件を題材に、主人公の波乱に富んだ生き様を扱いたビ ートたけし主演の社会派ドラマ!
イエスの方舟~イエスと呼ばれた男と十九人の女たち〜」ドラマ
デューサー:八木關夫
2年前の1983年に「昭和四十六年大久保清の犯罪」の大久保清役で主演を演じているビートたけしがTBS系列では2度目の社会流ドラ マ主演をした。「オレたちひょうきん」のタケちゃんマンや鬼瓦権造のお笑い芸人の印象が強す ぎて、大久保清もイエスの方舟もたけしがどんな演技するんだろかと思われていたが、俳優としてのビートたけしは、同年に映画「哀しい気分でジョーク」で父親役を演じている。
「イエスの方舟」とは、主催者の千石剛賢の(せんごくたけよし)

聖書勉強会を主催

1923年7月12日-2001年12月11日)が開催していた聖書勉強会が母体となった集団である。千石は、1923年(大正12年) に兵庫県加西市の富裕な農家に生まれ、1943年(昭18号)、20歳 で海軍に入隊。終戦後は自営業である刃物工場の経営に失敗し、てきや、レストラン配人などを転々としながら 教会に通い詰める。常に何かに飢え、何かに怒っていた。20代は喧嘩に明け暮れる毎日だった。自分自身の気の短い性格に、いつか 傷害事件を起こしたりして死刑になるのではないかとおびえていた。夫人と再婚後の1952年、大阪で聖書研究会に参加すると1960年はその 研究会会員10名と東京都国分寺市に移住して「極東キリスト集会」を主宰し共同生活に入る。これが「イエスの方舟」の 起源である。1970年代後半、東京で聖書の研究をしながら共同生活を送る信仰集団が大きな社会問題になった。家出同然で入会していた複数の若い女性の親が「娘を返せ」と迫り、メンバーは約2年間、西日本各地を漂流しながら逃避行を送った。メディアが「現代の神隠し」と騒ぎ立て、主宰する男性を「娘をかどわかすペテン師」などと糾弾した「イエスの方舟(はこぶね)」騒動。逃避行から2年が経過した80年夏。女性たちがメディアの前に登場し、自らの意志で「方舟」に参加していると表明。騒動は収束した。

方舟レディー達

 騒動の当時、メディアから「ハーレム教団の教祖」とまで言われた千石氏だったが、実相は全く違った。いち早く方舟の真相をスクープしたサンデー毎日の元記者、瀬下恵介さん(81)は「千石さんから直接話を聞き、熱い信念を感じた。メンバーの誰もが信頼している様子だった」と振り返る。
 人生を共にした妻のまさ子さん(87)は「おっちゃんは『汝(なんじ)の隣人を汝自身のごとく愛すべし』を実践し、来る人を抱き込む包容力があった」と語る。ある親から暴走族の息子の相談を受けた時は自らバイクを購入して、その息子とツーリングに出かけてさとした。見返りはなく「その人が幸せになればいい」が口癖だった。

イエスの方舟(ふなかた)


[ストーリー]
昭和51年初夏、東京都下のある街で20歳の早乙女ユキ(田中美佐子)が失踪した。彼女は京極武吉(ビートたけし)が主宰する「京極聖書研究会」に身を寄せる。そこには「家へ帰りたくない」と訴える10人以上の女性信者が、武吉に救いを求めてきた。その誰もが武吉を“オッチャン”と慕い、武吉も何かの縁と彼女たちを受け入れた。翌年春、今までにも増して信者たちの親族が騒ぎ出す。それは布教に励む武吉の娘・多津子(竹井みどり)、多恵(山咲千里)を襲うほどエスカレートした。さらに、葉子(小林聡美)の父・一色(佐藤慶)が乗り込んできた。社会的地位をひけらかし、娘を返せと迫る一色に、武吉は「ご本人の意思が無ければ…」と静かに言葉を繰り返した。
その年の暮れ、手も足も出せないと傍観する警察に業を煮やした親族側はついに強硬手段に出る。その頃からマスコミの間では、親たちの手記が雑誌に載り、テレビのワイドショーでも取り上げられるほどの話題になっていった…。
マスコミはこのあと、オーム真理教事件に消極的になり、後手をとることになる。
大久保清、千石剛賢、田岡一雄、金嬉老、東条英機、立川談志。さらには、三億円強奪事件の犯人、豊田商事会長刺殺事件の犯人、エホバの証人輸血拒否事件で死亡した男児の父親……。俳優・ビートたけしは、どうして実在する人物を数多く演じてきたのか。
 1983年に映画『戦場のメリークリスマス』が公開されたとき、たけしが劇場へ観客の反応を観に行ったところ、自分の出てくるシーンで爆笑が起こってショックを受けた。漫才師・コメディアンである彼が笑い抜きで演技をすることに対し、まだ受け手の側に違和感が強かったからだろう。『戦メリ』公開と同年にはTBSのドラマ『昭和四十六年、大久保清の犯罪』で実在の連続女性誘拐殺人事件の犯人・大久保清を好演し、たけしはシリアスな俳優として、しだいに認知されていった。
1983年
『昭和四十六年、大久保清の犯罪』(TBS)
1971年
連続女性誘拐殺人事件()犯人・大久保清
1985年
『イエスの方舟』(TBS)「イエスの方舟」主宰者・千石剛賢
1986年
『コミック雑誌なんかいらない!』(映画、)※
1985年
豊田商事会長刺殺事件
1989年
『美空ひばり物語』(TBS)山口組3代目組長・田岡一雄
1990年
『忠臣蔵』(TBS)大石内蔵助
1991年
『実録犯罪史 金(キム)の戦争』(フジテレビ、)寸又峡旅館籠城事件(1968年)犯人・金嬉老
1993年
『説得――エホバの証人と輸血拒否事件』(TBS)エホバの証人輸血拒否事件で死亡した男児の父親
1999年
『御法度』(映画)土方歳三
2000年
『三億円事件――20世紀最後の謎』(フジテレビ)三億円強奪事件(1968年)犯人
『あの戦争は何だったのか 日と東条英機』(TBS)東条英機
2015年
『赤めだか』(TBS)立川談志
北野武監督誕生の布石だったのかもしれない。この後ビートたけしは、北野武となり、自ら、映画制作に乗り出すのであった。

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