LINEヤフーへの行政指導を考える
日韓関係で新たな摩擦が生じています。
焦点となっているのは、おそらく読者の皆さんも日常的に使っているLINE。個人情報の流出が起きたことに対する総務省の行政指導に対し、韓国側から強い反発が出ているのです。
情報漏洩対策で株式を売却させる?
冒頭でもお伝えしたように、発端は情報漏洩です。昨年9月以降、LINE利用者らの個人情報が最大で約52万件流出しました。
こういう言い方は良くないですが、こうした情報流出は世界各地で多発しています。しかし、このLINEの件がやや特殊であったのは、ハッカーがまず不正にアクセスしたのは韓国のIT大手ネイバーの子会社であったこと。
そこから日本のLINEに侵入し、情報を抜き取った、というのが大まかな流れです。
なぜそういう行為が可能だったのかというと、ネイバーの子会社とLINE(正確には旧LINE社)の認証基盤が共通で、ネイバー子会社がLINEの社内ネットワークに広範囲でアクセスできていたことが仇となりまた。LINEはもともとネイバーの日本法人が開発したサービスです。
今年3月、総務省はLINEを運営するLINEヤフーにセキュリティ対策の強化を求める行政指導を行ったのですが、波紋を呼んだのが、ネイバー子会社からのアクセスを制限するといった技術的な改善を求めたのにとどまらず、大株主であるネイバーとの資本関係を見直すことも要求したです。
LINEが誕生した経緯から、「LINEは韓国製」と考えている人が多いのですが、技術としては日本製です。
実際、韓国の人たちがチャットで使っているアプリは圧倒的にカカオトークで、LINEを使う人はごく一部。それも、日本人との連絡用に、という人がほとんどだと思います。
韓国からは強い反発
総務省は、4月に入ってLINEヤフーの対応が不十分だとして2度目の行政指導を実施しました。短期間に2度の指導というのも異例なのですが、ここで「資本関係の見直し」に総務省が踏み込んでいることに韓国メディアの批判が一気に高まりました。
そもそも民間企業の資本や提携に行政当局が口を出す権利があるのかという疑問、あるいは韓国に対する敵対的な姿勢ではないかという憤り。
こちら ↑ の朝鮮日報社説(日本語版)は、こう伝えています。
総務省がLINEヤフーを通してネイバーに圧力を加えているように映るのは確かです。
韓国外交部は「韓国企業に対して差別的な措置があってはならない」という見解を発表しました。一方、日本政府は「韓国を含む外国企業の投資を歓迎するという立場に変わりはない。丁寧に説明していく」としています。
総務省は「株式を売却しろとは言っていない」とするが…
さて、問題は「資本提携の見直し」にまで触れた総務省の行政指導は妥当なのかどうか。興味深いコラムをみつけました。
総務省が韓国メディアに対して「株式を売却しろとは言っていない」と説明しようと動いていたのです。
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