報道の自由度 冴えない日韓(後)
前回は「国境なき記者団」が発表している「報道の自由度ランキング」で韓国の順位が昨年の47位から62位へと大きく下がったことをお伝えしました。
ですが、ご存じの方も多いでしょう、日本の順位は韓国より下の70位でした。昨年の68位から2つ下げています。
今回の記事では、主に日韓の政治報道における「自由度」の比較と、大手メディアで長く勤務した自分自身の経験から思うことを中心にお伝えします。(冒頭の写真は首相官邸HPより)
「政治」でまず指摘される「2012年以降」
前回の記事でも紹介しましたが、「報道自由度ランキング」は「政治的背景」「法的枠組み」「経済的背景」「社会・文化的背景」「安全」という5つの指標から算出されています。
このうち、韓国は尹錫悦政権下で立て続けに起きたメディアに対する検察の家宅捜索が大きく響いて「政治的背景」の順位がかなり下がりました(23年54位→24年77位)。
日本はこの指標で今年は73位。韓国とあまり変わりません。
しかし、実は昨年は83位という低さで、今回は10も順位が上がったのです。
自由度が上がったのは良いことですが、まだ誇れる順位でもありません。「国境なき記者団」は日本のメディアを取り巻く「政治的背景」について、次のように指摘しています。
まず書かれているのが、「2012年にナショナリスト的な右派が台頭して以降、ジャーナリストたちは自分たちに対する不信や敵意の風潮が醸成されたことに不満を表明してきた」ということ。
つまりは、2012年12月に第二次安倍政権が発足して以降、政府がメディアに対して敵意に満ちた圧力をかけてきたことを多くの記者らが実感してきたということです。
「報道自由度ランキング」における日本の全体的な順位をみると、民主党の鳩山政権下の2010年には11位まで上昇しました。しかし翌年の東日本大震災をめぐる報道の在り方が国際的には疑問視されてランキングを一気に落とし(53位)、自民党に政権交代してからはさらに下位の60位台から70位台を低空飛行しています。
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