慰安婦訴訟 日本政府の抗議が悪手であった3つの理由
日韓関係がすっかり好転して、首脳会談が開かれてもさしてニュースにならないほど両政府の意思疎通もスムーズになっていただけに、この判決、驚いた方も多かったと思います。私もその一人でした。
旧日本軍の元従軍慰安婦やその遺族が日本政府を相手取って損害賠償を求めた訴訟で、ソウル高裁は、11月23日、日本政府に慰謝料の支払いを命じました。原告の訴えを却下した、つまり「日本政府に支払い責任はない」とした一審判決を取り消したものです。
すぐさま、日本の外務省は東京に駐在する韓国の尹徳敏(ユン・ドンミン)大使を呼び出し、「断じて受け入れられない」と抗議。
この抗議、将棋でいうところの悪手だったと私は考えています。3つほど、その理由を説明していきましょう。
(冒頭の写真は南山から撮ったソウル中心部)
①韓国の司法は独立している
まず、そもそもですが、今回の逆転判決を書いたのは、尹徳敏大使ではありません。韓国の外交部でも大統領府でもありません。
あくまでソウル高裁の判事が書いたものです。
「何を当たり前のことを」と思うかもしれませんね。そう、当たり前です。
であるからこそ、韓国政府を代表して日本にいる大使に抗議するのは、本来、筋違いなのです。
この筋違いの動き、安倍政権下で吹き出た徴用工訴訟をめぐる対立でもみられました。先日の記事でも振り返りましたが、徴用工訴訟では日韓が互いに対抗措置を繰り出して両国の政治面での関係はボロボロになりました。
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