不適切にもほどがある??
はい、タイトルはパクりました。
私もTBSのドラマ「不適切にもほどがある!」にすっかりハマっています。
阿部サダヲさん演じる小川市郎がもともといた1986年といえば、私は高校2年生。だから、ドラマ内にこれでもかと言わんばかりに散りばめられている当時の流行・ネタに、「あった、あった!」と無邪気に反応してしまいます。
現在からみれば「不適切」だらけといえる昭和のコンプライアンス意識の低さが全て良かったとはいいません(そもそもコンプライアンスという言葉、当時も使われていましたっけ?)。
ですが、脚本家の宮藤官九郎さんがこのドラマで繰り返し問題提起するように、今のガチガチな社会規範や過剰なバッシングは「ちょっと行き過ぎでしょ」と感じることはあります。
そうこうするうちに次は最終回か…と呑気に構えていたら、「行き過ぎにもほどがある」(はい、パロディです)バッシングを見せつけられる出来事が起きたので、読者の皆さんと一緒に考えてみたいなと思った次第です。
政府の再エネ資料に中国企業の「透かし」
このニュースです。
ご存じの方も多いかと思いますが、再生エネルギーに関する内閣府の会議で出された資料に中国の電力会社「国家電網公司」の企業名やロゴがうっすらと表示されていたという話。
誰かが見つけ、たちまち永田町やメディアで「日本のエネルギー政策にまで中国の影か!」「安全保障にかかわる問題だ!」と騒ぎになりました。例えば、国民民主党の玉木代表はSNSにこう書き込んでいます。
「国家電網公司」のロゴが残っていたという資料の写真は、こちら↓で確認することができます。
というわけで、「日本を支えるエネルギーを中国が秘かに乗っ取ろうとしている」というようなおどろおどろしいストーリーに膨らみましたが…
これ、不毛な空騒ぎです。騒ぎすぎにもほどがある。
そもそも「透かし」ですらない
「透かし」という単語が一部のメディアで使われたことが陰謀めいたテイストを強くしたように思えます。「透かし」は、紙幣で使われるように、紙に特殊な加工をすることで見る角度などによって文字や絵柄が見えるというものです。
しかし、今回のロゴは紙に加工がほどこされたものではなく、内閣府に提出する資料を作成した「自然エネルギー財団」の大林事務局長が、パソコンのアプリ(MacのKeynote)で当該中国企業のロゴを消したつもりが、単に消えていなかっただけのことです。
「自然エネルギー財団」の説明のリンクは、こちらの引用の下部にコピペしますので、お時間があれば読んでいただきたいのですが、要はこういうことでした。
パソコンで資料を作成して何か間違えた経験、皆さんもありませんか?それだけの話です。
そもそもロゴはオープンな資料についていた
でも、まだ疑問が浮かぶ方も多いでしょう。
「『国家電網公司』のロゴを消したつもりが消えていなかったということは…元の資料にロゴがあったということだ!やっぱり怪しい」と。
これも上記の説明全文を読むと分かるのですが、2016年に開かれた国際会議で「国家電網公司」が配布した資料に当該ロゴがありました。で、「自然エネルギー財団」が日本人向けにその資料のタイトルや補足説明を和訳した際にロゴを消したつもりが、消えていませんでした。
分かりやすくするため、時系列で3つの資料を並べます。
元資料①でタイトル和訳に伴って背景を白にしたらロゴが消えたと思っていたら実は消えてなく、③まで残っていて、③をPDFにしたらロゴが表示されたというわけです。
しかも、②の左上部分をご覧いただければ分かりますが、大林事務局長がタイトルや補足説明を和訳した際、この資料が「国家電網公司」によって作成されたものであるという注釈を加えています。
つまり、もともとはオープンな資料であり、「自然エネルギー財団」は中国の資料であることを隠してもいませんでした。
さらにいうと、今回内閣府の会議で配布されたのは③だけでした。
繰り返しになりますが、③の資料(というか「自然エネルギー財団」のロゴに過ぎません)に中国のロゴが残っていたのは、①をベースに作業していたため。これは軽率であったのは確かですが、それだけの話です。
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