見出し画像

歴史は繰り返すか?文在寅に収賄疑惑

「なぜ韓国の大統領たちはみんな捕まるの?」

こういう質問、何度となく受けてきました。確かに、韓国の歴代大統領たちは辛い晩年を迎えた人が多いです。

ものすごく簡潔に振り返りますと、
李承晩(イ・スンマン)→激しい抗議活動に直面して亡命、
朴正煕(パク・チョンヒ)→在任中に暗殺、
全斗煥(チョン・ドゥファン)と盧泰愚(ノ・テウ)→退任後に逮捕、
盧武鉉(ノ・ムヒョン)→退任後に検察の取り調べを受けて自殺、
朴槿恵(パク・クネ)→弾劾されて逮捕、
李明博(イ・ミョンバク)→退任後に逮捕。

いったい、何故こうも悲劇を迎えるのか、疑問に思うのは自然ですね。

そして今また、歴史が繰り返されるかもしれない展開となってきました。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領に収賄の疑いが浮上したのです。


政権交代が捜査のゴーサイン?

冒頭の質問に戻りますと、確かに韓国大統領は世界有数の危険な仕事のように思えてしまいます。ですが、李承晩と朴正煕は別として、見方を変えれば「日本より韓国のほうが検察が機能している」と言うことも可能です。例えば、自民党の裏金事件をめぐる日本の検察の捜査に納得している人は少ないでしょう。

一方で、韓国の大統領経験者に対して検察が動くのは、保守派と進歩派の間で政権交代が起きた場合が多いです。その結果、新政権による旧政権への「政治報復」という色合いを帯びてしまいがちです。ただでさえ保守と進歩の対立が激しい韓国政界において、政権交代後に始まる検察の捜査が火に油を注ぐ結果となります。

今回も、さっそく進歩派の最大野党「共に民主党」は「政治報復だ」と猛反発。とくに、今回は現職大統領が元検事総長ですからね。進歩派の目には、大統領が直々に捜査指揮をしているかのように映るでしょう。

ただ、文在寅政権下での李明博元大統領に対する検察の執拗な捜査は、韓国国民の大部分が政治報復だとみなしていました。「共に民主党」が「自分たちは報復とは無縁だ」という態度は、通らないでしょう。

容疑の構図

さて、文在寅氏の場合、逮捕にまで至るのかは分かりませんが、検察はかなり広範囲に情報や資料を集めているようです。

ただ、上の記事の通り、疑惑は「権力者が業者に何らかの便宜を図る見返りに金品をもらう」という一般的な贈収賄の構図ではありません。
文在寅氏の、娘・ダヘ氏に対する過度な思入れを背景にした、ポストのやり取りとのこと。

報じられている流れは、こうです。

①文在寅大統領夫妻がダヘ氏(既婚)の生活を支援したいと考えた
②そこで、ダヘ氏の夫を、元「共に民主党」議員の人物が実質的なオーナーであるタイの航空会社「タイ・イースタージェット」に幹部として迎え入れるようオーナーに依頼(夫は航空業界での仕事経験なし)
③ダヘ氏の夫は航空会社の理事となり、一家はタイに移住
④見返りに大統領が主導して航空会社オーナーを「中小ベンチャー企業振興公団」の理事長に任命

事実だとしますと、文在寅大統領側が②をお願いするのと同時に④を提示したのでしょう。あるいは、複数のポストを示して、その中からオーナーが④を選らんのかもしれません。

でも、ポストの貸し借りみたいな話で贈収賄にあたるのか?文大統領は金品を受け取っていないのでは?という疑問も湧きますね。

ここから先は

1,436字 / 1画像

¥ 200

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?