中国共産党の重要会議として知られる三中全会(さんちゅうぜんかい)が7月15日から18日まで北京で開催されました。正確には第20期三中全会でした。
その重要会議をめぐっては、先日、色々と変調がみられたことを記事でお伝えしました。まずこちらに目を通していただいた方が、今回の記事は分かりやすいかと思います。
そして、さらなる変調がありました。
中国国営新華社通信が、三中全会初日の15日、「改革家としての習近平」というタイトルで習近平主席は「鄧小平(とう・しょうへい)氏に続くもう一人の卓越した改革家」と礼賛する長文記事を配信しました。
ところが、17日にはその記事を取り下げたのです。「なかったこと」にしたわけです。
極めて異例の事態です。何が起きたのか読み解きます。
消えた記事とは
新華社が記事を消してしまったので、今はネット上でみつけることができないのですが、私は新華社の日本語版記事はコピーしていました。まさか取り下げられると予想したわけではなく、単に読みやすくするためコピーしただけだったのですが、それが幸いしました。
一部を抜粋してご紹介します。
習氏が本当に好きなのは毛沢東
一部だけを紹介しましたが、長文の記事を通じて「習近平≒鄧小平」という具合に、いかに習主席は改革志向が強い指導者か、と繰り返しアピールする内容となっています。
しかし、習氏が本音では鄧小平の改革開放政策をそれほど好きではなく、尊敬している、あるいは目標としているのは毛沢東であることは広く知られています。
実際、新華社を通じて流れてくる習氏礼賛記事の多くに毛沢東時代へのノスタルジーが露骨なほどに含まれているのに対して、鄧小平と改革開放はいたって冷淡な扱いです。
それだけに、今回の「習近平≒鄧小平」記事は珍しかったですし、それが配信後に取り下げられたのは、さらに驚きでした。
消された理由は?
新華社通信の記事というのは、すなわち中国共産党の公式見解です。最高指導者に関する内容なら、指導部内で複数のチェックを受けてから配信されます。
ましてや、今回のような目を引くものなら、習氏自身が最終的にOKを出したと思われます。
それほどの記事が消された理由は何だったのでしょうか。