中国 春節「民族大移動」の中で
東アジアでは多くの国が旧正月を「本当の」新年の幕開けとして盛大に祝います。1月1日の元日がメインの日本の方が例外です。
旧正月は中国では「春節(春节)」と呼ばれ、毎年、帰省や旅行にのべ何億人もの人が動く「民族大移動」の様子が日本メディアでも伝えられますよね。
とりわけ、例年は7連休であるところ、今年は9連休を取得できた人が多かったことから、「史上最長の春節休暇だ!」と盛り上がったとのこと。
中国国内の旅行先として人気ナンバーワンとなったのは黒竜江省のハルビンだそうで、以下の記事によればホテルの予約件数が去年の3349%増しだったとか…
3349%⁈
習近平政権の「ゼロコロナ政策」は去年の春節前には解除されたのですが、まだ去年は感染への警戒感から旅行気分にならなかった人が多かったということなのでしょう。あまりに極端な増加率なので、まあ、参考程度に。
私が注目したのは、春節の、ある一人の帰省です。
自動運転で400キロ走行したファーウェイ取締役
ファーウェイ(華為)の常務取締役、余承東(よ・しょうとう)氏。国際的にはRichard Yuの名前で広く知られています。
余承東氏は2021年5月からファーウェイに新設されたスマートカーソリューション事業部のCEOを兼務しています。といっても、ファーウェイ自身が自動車を製造し始めたわけではなく、自動車メーカーと連携して同社のIT関連技術を搭載したスマートカーの事業を展開しているのです。
スマートカーで何が一番「スマート」かといえば、言わずもがなですが、自動運転。
今年の春節、ファーウェイ本社がある深圳から故郷の安徽省に帰省した余承東氏、スマートカーの能力を自ら見せましょうとばかりに、安徽省から400キロほど自動運転で走行してみせたのです。
乗ったのは、ファーウェイと中堅自動車メーカー「賽力斯集団(SERES)」が共同開発したEV(電気自動車)の最新車種「問界(AITO)M9」。
現行の法律上、余承東氏はハンドルに手を置かねばならなかったそうで、これは国際的に5段階に分類されている自動運転のレベルでいうとレベル1ないし2に該当します。
ですが、余承東氏は「実際にはハンドルに手を置く必要などない。法律がテクノロジーの進歩を邪魔している」とボヤいていて、本当は運転席に誰も座らないレベル4か5の自動運転ができるとPRしています。
ちなみに、彼は何度か長いことハンドルから手を離したために「問界M9」の自動運転機能が停止してしまい、トイレに寄って改めて自動運転機能を立ち上げる羽目になったそうです。
うっかりしていたのか、確信犯だったのか。いずれにしてもスマートカーは法律違反を見逃さなかったわけです。
世界の先端をゆく中国の自動運転
いま、車の自動運転は世界で技術開発が進められています。ニュースでご覧になった方も多いかと思いますが、中国はすでに自動運転のタクシーが次々と大都市を中心に営業運転を展開しています。
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