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「統一旗」はもう見られない
オリンピック。
若いころは、もっと観戦を楽しめていました。
長いこと国際ニュースを伝える仕事をしていると、どうしても、時の外交、経済、そして戦争・紛争をオリンピックに投影する習慣が身についてしまうものです。
そういう職業病が染みついてしまった者であっても、比較的、雑念(?)なく観れるのは陸上や水泳などでしょうか。柔道やサッカーなどのように個人やチームとして対戦相手と戦う競技より、シンプルにそれぞれがタイムと戦う方が、国際情勢との絡みが少ないように思えて。
それに、そうしたタイムが勝負を決める競技では、どのオリンピックにもつきものの誤審に苛立つことも少ないです。今回のパリ大会、柔道や男子バスケットボールでの判定で、かなり日本に不利なケースが相次いでいることに憤懣やるかたない、という方も多いかと。
本来ならオリンピックの競技について書きたいところ(かつて就職活動で某新聞社は運動部記者として応募したりもしました)ではありますが、ここは職業病に戻って、開会式における信じられないミスから思ったことを。
韓国を「北朝鮮」と…
このニュースはご存じの方が殆どでしょうが、あの斬新な開会式で、なんと韓国選手団の登場で大会側が「北朝鮮」とアナウンスしたのです。
ちょっと耳を疑いますよね。
韓国の人々は怒り心頭。IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長が韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に電話をして謝罪したとのことですが、まあ、お粗末でした。
やや生々しい話にはなりますが、韓国経済を引っ張るサムスン電子はオリンピックの「最高位スポンサー」の一つです。今大会は五輪マークをあしらった特別仕様の折り畳み式スマホを出場全選手に提供していて、それを使うのであれば、表彰台での「自撮り」も五輪史上初めてOKとなったのです。
開会式での失態にバッハ会長が青ざめた様子が目に浮かぶというもの。
かつては南北が同時に入場も…
「北朝鮮」と紹介された韓国の人々が激怒するのは何ら不思議ではないのですが、ここ最近の南北関係悪化も怒りのボルテージを数%は押し上げているでしょう。
歴史を少しばかり遡れば、オリンピックの開会式で韓国と北朝鮮が仲良く同時に入場したこともあったのです。そのときに掲げられたのは、双方の国旗ではなく、白地に青色の朝鮮半島を記した「統一旗」でした。
最初は2000年のシドニー大会。
2000年といえば、史上初めての南北首脳会談が実現した年です。南北の雪解け、そして将来的な統一への希望が、確かに膨らんでいました。
その後、「統一旗」を掲げてオリンピックで南北が共同入場したのは、2004年のアテネ大会、2006年のトリノ冬季大会、そして2018年の平昌(ピョンチャン)冬季大会です。アジア大会なども含めれば、その回数は増えます。
「もう統一はない、南は同民族ですらない」
共同入場だけでなく、卓球など、一部の競技では南北が合同チームを結成したこともあります。有名なのは、1991年に千葉で開催された卓球の世界選手権。南北は合同チームを結成して参加。女子団体で、8連覇中の中国を決勝で破って優勝するという快挙を成し遂げました。
この南北合同チームが実現したのは、当時、国際卓球連盟の会長を務めていた荻村伊智朗氏が尽力したおかげでした。
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