ザ・外遊(後)
前編 ↑ からの続きです。
今年のゴールデンウイーク、岸田首相はフランスのあとはブラジルとパラグアイを訪問します。まずは外務省の発表をおさえておきましょう。
「南」の中心ブラジル
最近、「グローバル・サウス」という言葉が国際ニュースによく登場します。これまで「発展途上国」などと呼ぶことの多かった国々の多くが南半球に位置していることから「サウス」というわけです。ブラジルはその代表格といえるでしょう(もうひとつの代表格のインドは北半球)。
「グローバル・サウス」が存在感を増しているのは、単に経済が成長しているからではありません。アメリカと中国・ロシアとの「新冷戦」が定着してきた中、その両陣営とも「ほどほどの距離感」を保つ国々が「グローバル・サウス」のもう一つの特徴であるためです。かつての米ソ冷戦時代の「第三世界」と呼ばれた自主外交路線の国々のイメージです。
アメリカ(と日本を含めた同盟国)、中露ともに、なるべく「グローバル・サウス」を自分たちの側に引き込もうと活発な外交を展開しています。
それを踏まえると、岸田首相が就任後初めてブラジルに行き、また日本の首相として10年ぶりに中南米政策について語るのは意義があるでしょう。
ただ、3月にブラジルを訪れたフランスのマクロン大統領がけっこうなインパクトを示してから日が浅いだけに、かなり頑張らないと見劣りする予感が…
マクロン大統領はブラジルのルーラ大統領とともにアマゾンの熱帯雨林を視察し、環境を守るために連携することを強調しました。以下の記事 ↓ は英語ですが、その際の写真がいろいろ載っています。
仲睦まじく手を握り合うマクロン氏とルーラ氏。
これには、マクロン氏が以前からブラジルを中心に広がる熱帯雨林の保護は気候変動対策で極めて重要だと主張したのに、ブラジルのボルソナロ前大統領は経済成長のためならアマゾンもガンガン伐採するとしたために両者が鋭く対立したという伏線があります。
環境保護に理解のあるルーラ氏が大統領に返り咲いたのは、マクロン氏としては慶事です。
もちろん、「環境問題で国際的なリーダーシップを発揮するフランス」というイメージを内外に打ち出したいという思惑もあるでしょうが、それを迷惑と感じる国もないでしょう。
今回のフランス・ブラジルの首脳会談で、両国はアマゾン保護のために今後4年間で10億ユーロ(約11億ドル)規模の投資プログラムを立ち上げることで合意しました。
このマクロン外交/環境外交から日が浅いだけに、岸田首相&日本外務省は何かしらインパクトある合意内容を仕込んでいないと、「外遊」=遊びというネガティブな反応を招きかねません。
パラグアイに行くのは中国牽制?
最後に、パラグアイです。
パラグアイと聞いて頭の中に中南米の地図が浮かび、正確にパラグアイの位置を指させる人は多くはないでしょう。私も無理です。
というわけで、確認。
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