ラップと政治と陰謀論と
いま台湾で若い世代の人たちを中心にけっこう物議を醸しているニュースがあります。中国の人気ラッパー、王以太(Wang Yitai)が9月中旬に台北でコンサートを予定していたのですが、台湾政府が不許可としたというものです。背景には、「あの呼称」があります。
(冒頭の写真は王以太のインスタグラムhttps://www.instagram.com/p/Cu164B_S2u7/より)
「中国台北」
ラップに疎いこともあって王以太は知らなかったのですが、けっこう世界的に有名です。今年初めにはアメリカのプロバスケットボール・NBAの試合(ブルックリン・ネッツvsボストン・セルティックス)のハーフタイムショーで歌ったりもしています。
ちなみに、この試合では春節に合わせて電光掲示板や客席が赤と金色に彩られ、地元ネッツの選手たちの紹介は中国語でも行われたとのこと。
アメリカにおける中国人コミュニテイーの大きな存在感が伝わってきます。
そのように世界でも活躍してる王以太、当然ながら台湾にも多くのファンがいるから台北でのコンサートを実施しようとしたわけですが…
事の経緯はこちらの記事にまとまっています。
中台間でエンタメ部門における摩擦といえば、もっぱら「中国政府が台湾の歌手らの公演を許可しなかった」です。中国側が政治的な思惑を絡めて台湾のアーティストに圧力をかけるわけで、「一つの中国」原則に対する支持を表明しないと中国での公演を認めない…というのがお約束ですね。
今回のように「台湾政府が、中国人アーティストの台湾内における活動を制限する」という逆パターンは珍しいです。
では、台湾側が問題視したシーンにいきましょう。
こちら。
王以太が中国国内向けのプロモーションで用いた、この写真。
北京南駅のホームに見立てた場所で彼が絵を描いているという、平穏な構図なのですが、後ろにある看板が問題視されました。北京と「中国台北」とを結ぶ(架空の)路線であることを示しています。
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