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【経済】米住宅市況を整理!中古住宅市況には回復の兆しも

<読了目安時間:4分>

米連邦準備制度理事会(FRB)による急速な利上げによって市況が悪化した米住宅市場。FRBが利下げ局面に入って住宅市況が徐々に上向くかと思いきや、早々に利下げペースの減速がほぼ確定し、高金利状態の長期化が懸念されています。

そんな住宅市況ですが、住宅関連の経済統計はいくつか種類があって分かりにくいので、この記事で足元の状況を整理しておきます。まずは代表的な経済指標の動向から確認しておきましょう。


下図は米国で主流の30年固定住宅ローン金利(上段)、新築住宅販売件数(中段)、中古住宅販売件数(下段)の長期推移を示しています。米国では中古住宅市場の方が新築よりも7-8倍程度大きいため、下図の中段と下段はそれぞれ縦軸のスケールが違うことに注意してください。

上図を見ると、住宅ローン金利は明らかに高止まりしており、6%を下回る気配すらありません。サブプライム危機以前の水準と同程度であることから、リーマン・ショック以降の超低金利時代が完全に終了したと言っていいでしょう。

高金利の煽りを受けて新築・中古住宅市場は販売件数は2022年に入って一気に減少しました。特に中古住宅販売はピークから3割減の水準まで落ち込んでおり、直近2年にわたって歴史的な下限とも言える400万件前後で横ばいです。

一方、住宅が中古市場にあまり出てこなくなったことで、新築住宅には実需層と見られる買いが復活し、特に2023年ごろから緩やかな回復基調にあります。

実際に米国戸建市場で存在感を発揮している住友林業は、直近の決算発表にて「Z世代、ミレニアル世代と呼ばれる住宅購買層の人口増加などにより、底堅い住宅需要が当面継続するものと捉えている」と見通しを述べています。

また、積水ハウスも直近の新築受注状況について12月頭の決算説明会で「7月を底に8月、9月、10月と対前年度で増加している。昨年との比較では、この時期は販売が苦しかったことから反動増と考えていただければと思う。」と述べており、昨年からの回復基調を報告しています。

ここまでを整理すると「新築は堅調、中古は軟調」という状況が見てとれますが、指標の見方を変えると多少違う状況も見えてきます。

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