地域のつむぎ手の家づくり| 家にいながら非日常を味わう「サウナのある暮らし」提案築49年の空き家をG3超にフルリノベ <vol.60/マクス:静岡県富士市>
今回の〈地域のつむぎ手〉は・・・
〈以前掲載したマクスの記事はこちら〉
デザインや性能に優れる住宅を提案するマクス(静岡県富士市)は今年、築49年の住宅(同市内)をフルリノベーションし、HEAT20・G3超のレベルまで断熱性能を引き上げた新しいモデルハウスをオープンしました。このモデルハウスには、暮らしを豊かにするアイテムとして家庭用のサウナを設置。リノベの価値や高性能な住まいだけでなく、ニューノーマルのライフスタイルとして「サウナのある暮らし」を発信、提案しています。
71坪の敷地に建つ築49年の木造・平屋建てを取得し、一部を減築(解体)した後の延べ床面積・約30坪をフルリノベーションしました。同社社長の鈴木克彦さんは、このモデルハウスの大きな特徴として、家庭用のサウナを設置したことを挙げます。
「コロナ禍で“おうち時間”をより快適で楽しく、豊かにするというライフスタイルが広がるなかで、空前のサウナブームが巻き起こっています。『家にもサウナがあるといいな』というニーズが今後、顕在化してくるのではないでしょうか」と鈴木さん。モデルハウスを拠点に、家にサウナがある暮らしを「プラスサウナ」という分かりやすいブランドにしながら、一般の人たちに提案していく考えです。
“整う”ためのスペースも
モデルハウスには、スウェーデンのTylöHelo(ティーロヒーロ)社製のドライサウナとスチームサウナを導入しました。ドライサウナについては2坪余ほどのスペースをヒノキ材で造作し、その外側に水風呂としても使用できる浴槽なども設置しました。サウナ愛好家たちが言う「心身が“整う”」ためのスペースです。
鈴木さんは「山形県で家づくりにサウナを取り込んでいる工務店さんの事例を視察した際、久しぶりにワクワクしたんです。日々の暮らしのなかで疲れを癒しながら、“非日常”の豊かさを味わうこともできるアイテムとして発信していきたい」と力を込めます。
鈴木さんによると導入費用は、ユニット式のスチームサウナが200万円程度で、造作のドライサウナが300万円程度だそうです。「富裕層の特権的な楽しみとしてではなく、サウナ好きの人や好きな時間に一人で、時には家族とともにサウナを楽しむことができるという価値を感じてくれる普通の家庭に広げていきたい」と鈴木さんは訴えます。
見方を変えると、こうした家庭用とはいえ本格的なサウナを導入したいとなったとき、量産型のハウスメーカーでは対応がなかなか難しいのではないかと思われます。そういった観点から鈴木さんは、「サウナが好きな人や欲しい人が自ら当社を見つけてくれるというパターンも増えるのではないでしょうか」と期待します。「そうした人たちにとって、性能やデザイン性、素材などあらゆる面で付加価値の高い当社の住宅は、きっとさらに喜んでもらえると思っています」(鈴木さん)。
世界観とワクワク感を伝える
鈴木さんは、モデルハウスを訪れる人やホームページなどで見る人を「よりワクワクさせたい。暮らしの楽しさを体感してほしい」との想いから、プランニングの段階から「しつらい屋」の屋号を掲げて活動し、工務店のモデルハウスのステージングなどを手がける幸設計建築(愛知県岡崎市)代表の奥野幸子さんとコラボしてきました。壁の配色や照明、造作家具などインテリアについて、奥野さんのアドバイスを受けながら、このモデルハウスを完成させました。
さらにオープンに先立つプロモーション用の写真撮影にあたっては、奥野さんに依頼して雑貨や小物など細部に至るまで世界観をつくり込んだうえで、女性モデルも配置して撮影する力の入れようです。
鈴木さんは「ビジュアルでも暮らしのワクワク感を伝えたいんです」と語ります。ウェブサイトなどを見る人に、「より具体的にサウナのある暮らしをイメージしてほしい」との考えです。