EVPはわかるけど、わからないから、わかりたい。
こんにちは、樋口です!
「WHOM 採用 Advent Calendar 2024」20日目の記事として書きます!
参加いただいている皆様それぞれ採用をテーマに素敵な記事を書いていただいておりますので是非合わせてご一読を。
EVPはわかるけど、わからないから、わかりたい。
採用活動をしていると「魅力」「独自性」「入社する理由」など、様々な場面で言語化求められますよね。そしてサイクルを回せば回すほど、単なる報酬や福利厚生の提示を超えた企業としての価値提供を見つける必要が出てきます。
私自身は、その中心的な要素としてあるのが「EVP(Employee Value Proposition)」だと考えてます。
特に、人手不足・転職市場が可視化されてきた現代において、EVPの概念を体系的に整理する必要性は益々高まると思うのです。
と言っても、「EVPとは何か:EVPとは・・・」とかではなく、、、、もうちょっと、なんと言いますか、小難しいところまで理解してみたい。と思ってしまいました。ということで、雑多になりますがここからお付き合いください。
EVPとは何か?
とはいえ、「EVPとは何か。」は外せませんね。笑
EVPは、"企業が従業員に対して提供する価値の集合体"を指します。従業員エクスペリエンスにおける全体の基盤・土台ということですね。どうやら、この概念は、心理学や組織行動学における動機付け理論や(※)社会交換理論といった学術的枠組みに基づいているとのこと。
学者さんではないので、詳しい背景はそっとしておいて、「心理」「組織行動」「動機」「交換」のこの辺りのキーワードがEVPの背景として抑えておきたいです。
要素としては以下の5つから構成されます。
報酬と福利厚生:具体的な給与体系、パフォーマンス連動型報酬、包括的な福利厚生。
仕事の内容:職務意義の明確化、従業員の能力を最大限発揮させる職務設計。
職場文化:包括性、多様性、協力的なチーム環境の醸成。
キャリア成長:専門スキルの育成、透明性のあるキャリアパスの提示。
働きやすさ:柔軟な労働条件、デジタル化した効率的な業務遂行。
これらの構成要素は、MVVやカルチャーと統合されることで、内部従業員に対するエンゲージメント向上と外部候補者に対する魅力付けの両方を実現につながるわけです。
1~5を細分化すると私自身も耳が痛く、EVPの趣深さを感じます。笑
これをさらに細分化してマッピングするだけで有意義なはず。
とはいえ、「具体的な給与体系」「職務意義の明確化」「透明性のあるキャリアパス」これら一つひとつを紐解いて設計しようとすると、採用担当個人では到底手に負えません。
5つの要素をもう一段くらい細分化して、現状の組織の状態を当てはめていく。これが初めの一歩ですね。採用担当の皆さんは体系化されてるかは別として、既に同様のことも日常的に行なっているはずです。
採用担当が直面する課題とEVPの戦略的役割
採用の現場では、以下のような課題が日常的に発生します。
応募者の数と質の不足:ターゲットへの訴求不足。
適材適所の難しさ:カルチャーやスキルセットの不一致。
内定辞退や早期離職:EVPの浸透不足。
ありきたりなくらいあるあるかと思います。
では、EVPがこれらの課題に何をしてくれるのか。何を助けてくれるのか。
4つ要素を挙げます。
EVPの課題解決力
ブランド認知の向上:EVPを中心に据えた採用マーケティング活動により、潜在層(≠転職潜在層)へのリーチが可能。
カルチャーマッチの強調:採用メッセージにおいて、企業の価値観を明確にすることで、ミスマッチ防止につながる。
期待値管理:採用プロセス全体でEVPを一貫して伝えることで、候補者の期待を現実に即したものに調整。内定辞退や早期離職防止。
入社後エンゲージメントの強化:組織の一部としての意義を通じて定着率を向上させる。
EVPの課題解決力は、MVVのそれと近いです。
ですが、MVVが対社外に対する声明だとすると、EVPは「企業が従業員に対して提供する価値の集合体」つまり対社内・社内候補生への声明として位置するというのが、私の理解です。MVVが整理整頓されていて、EVPがされていない、というは採用担当としてはあまりに勿体無いところです。
EVPを構築するための理論的フレームワーク
さて、ここからちょっとボリュミーになりますが、「知ってる→できる→やってる」に向けて、実践のステップを私なりにまとめます。
EVPを体系的に構築するためには、段階を踏むことが有効です。ありきたりな言葉を並べたアウトプットにならないよう順を追ってです。
1. 内部調査:従業員の視点を深掘りする
組織診断:従業員エンゲージメント調査やNPSを活用し、定量的に組織状態を把握する。
クオリタティブ分析:フォーカスグループや深層インタビューを通じて、現場の定性的な状態を把握する。
内部調査は、現状の可視化だけでなく、従業員が求める価値や期待を具体的に把握するために重要です。できれば定量・定性両方を調査したいです。調査結果を経営層にフィードバックするのもお勧めします。これらを採用目的だけに留めるのはちょっと勿体無いですね。
2. 外部調査:競争環境を把握
市場調査:業界動向や競合企業のEVPを比較分析。
ペルソナ設計:理想的な候補者像を具体化し、それに基づく価値提供を計画。
外部分析の目的は、自社の強みと競合の弱みを明確にすることにあります。この辺りは取り組まれている方も多いのではないでしょうか。EVPという観点から眺め直してみるのもお勧めです。
3. コアメッセージの設計
差別化要因の特定:独自性のある強みや文化背景・社歴などを明確化。
一貫性の確保:企業のブランド戦略全体と整合性を持たせる。
ストーリーテリング要素:エモーショナルなメッセージ設計。
ここでは、一方的な、単なる情報提供にならないようにしたいです。感情的なつながりを生み出すことを大切に。実際の従業員の声を引用するのはまさにここです。刷新の必要性がある企業もあるかもしれません。
4. 実行とフィードバック
パイロットプログラム:限定的な範囲でEVPを試験運用し、効果を測定。
PCDA:収集したデータを基に、メッセージ内容や採用プロセスを継続的に改善。
EVPの成果は短期的には見えないものです。そもそもEVP自体が短期的に生成されるものではないので、当然ですね。
個人的には、10年間このEVPで行きます!!とするより、特定の媒体だけEVPにフォーカスを当てたスカウト文面でまずは送ってみる、といった形でスタートするのをお勧めします。少数の採用チームでEVPを設計・運用する際は、変更を前提とすべきです。
コピーライティングのプロではありませんし、徐々に形にしていけば良いと思います。
補足: 理論的フレームワーク
EVPの構築には、理論的フレームワークが存在するようです。あくまで、この観点が漏れていないか?というチェックリストとしての活用は有効そうです。
ちなみに私は感覚派なので、学術的な理論系は苦手です。笑
調べる中で、出くわした理論でしてせっかくなので。笑
動機付け理論
「衛生要因」(給与、福利厚生、職場環境)と「動機付け要因」(達成感、責任、成長機会)に分け、それぞれが従業員満足に及ぼす影響を分析するものです。例えば、透明性のある給与体系は離職防止に寄与しますが、動機付け要因がなければ従業員のエンゲージメントは向上しません。いくら明朗会系でも、金額が低すぎたらやる気なくなりますよね。
社会交換理論
この理論では、組織と従業員の関係を相互作用の視点から捉えます。つまり「ギブアンドテイク」のバランスです。EVPでは、企業が提供する価値(柔軟な働き方、学習機会など)と従業員が提供する価値(スキル、パフォーマンス)をバランスよく設計することが求められます。企業が従業員の望みを叶えればいいってものではないよということです。
自己決定理論
自己決定理論は、人々が内発的動機を感じるためには「自律性」「有能感」「関係性」の3要素が重要であるとするものです。内発的動機がなくなるような過保護なEVPはやめましょう。
組織文化理論
組織文化理論は、企業が持つ独自の価値観や行動規範が、従業員の行動や満足度にどのように影響するかを分析します。組織カルチャーはEVPに盛り込みましょう。
EVPはわかるけど、わからないから、わかりたい。
と言ってみたものの、やはり奥深いです。
EVPは企業の存在価値そのもののようにも思えてきます。
ちょっと時流っぽい話をすると、、AIには置き換われない採用担当としてのコアな価値がEVP設計にはある気がします。
皆さんの、採用活動の何かのきっかけになることを願いまして!
ご一読いただきありがとうございました!
また、サービス検討はさておいて、是非こちらからお気軽にお声掛けいただけると嬉しいです!
では!