今更に『聖戦の系譜』をやってみた:前編
どうもどうも、S(h)inと申します。
こちらは『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』のプレイ感想記事です。作品のネタバレになる部分が内容に含まれています。本作は未プレイ者にとってネタバレの影響が大きいの作品なので、そういった部分をご理解の上で読んでいただきたく思います。
また、こちらの記事は「前編」になります。感想をアウトプットするにあたって、1つの記事としては長すぎるかなと思い分割いたしました。合わせて後編も読んでいただけると幸いです。
1.プレイ経緯
私が『ファイアーエムブレムシリーズ』に初めて触れたのが3DSの作品である『覚醒』だったので、「初期の作品もやってみたい」と思うようになって『暗黒竜と光の剣』をプレイし始めたのが全ての始まりでした。
また、続編である『紋章』も履修しておきたいと思い、そちらにも手を出しました。
そして、『紋章』をプレイする環境となった「スーパーファミコン Nintendo Switch Online」ではもう1つ『ファイアーエムブレムシリーズ』作品が遊べます。それが『聖戦の系譜』です。
ここまで『ファイアーエムブレム』の軌跡を歩み続けてきた私にとって、『聖戦の系譜』はプレイしない理由がありませんでした。
2.事前情報
『聖戦』と言えば冒頭の注意書きの通り「ネタバレの影響が大きい作品」で有名です。ただ、私はオールスター作品の『ヒーローズ』をプレイしている都合、ストーリーや設定に関する情報が自然と耳に入ってしまう状態でした。プレイ前に知っていた主要事項は以下の通りだったと思います。
流石にこれ以上のネタバレを踏んでしまうとプレイする醍醐味を失ってしまうため、既存の攻略サイトなどから情報を得るのはできるだけ避けてプレイを進めることにしました。
とはいえ、『聖戦の系譜』は「癖の強い独自の仕様が多い」という話も既に聞き及んでおり、最低限のプレイ時注意点だけでも確認しておく必要があります。
ということで、以前見かけたことのあったぴりひばさん作の「シグルドさんがFE初心者のカムイ君に聖戦のシステムを解説する話」をとりあえず読んでおくことに。ネタバレが少なく、かつプレイ前に大切な要点をまとめてあったので助かりました。
以上がプレイ前のストーリーや仕様についての事前知識とです。ここから本題のプレイ感想となります。
3.プレイ感想:親世代編
3.1.ストーリー雑感
プレイ開始早々、ユグドラル大陸における歴史の話を食らった後、主人公であるシグルドを取り巻く政治的な状況の説明が五月雨式に展開されました。この基本設定の作りこみから、『暗黒竜』や『紋章』にはやや薄かった「戦記もの」という要素にとても力が入っている衝撃を受けた半面、本当に情報量が多いのでこの時点での内容把握はそこまでできていませんでした。
序章は最初は「主人公」、「赤と緑の騎士」、「重装兵」の4人にしかいないマップですが、ターンを重ねるごと少しずつユニットが加勢してくれるというのが面白く、のっけから心掴まれたことを記憶しています。
話は広大な大陸を中心に進みますが、その中で戦いの舞台が変わりながら先々で仲間を得ることで次第に多国籍な軍勢が出来上がるのはいつもの『ファイアーエムブレム』って感じで面白かったです。
また、今作より味方ユニットとの会話がマップ上で発生するようになったために会話シーンが多く、『暗黒竜』や『紋章』よりもキャラに思い入れしやすくなっている点も良かったと思います。現在のシリーズ作品が「キャラゲー」になる上でターニングポイントとなる作品だったことは間違いないでしょう。
ですが、親世代のストーリーは”大筋だけ言えば”シグルド一行が大陸を武で制圧していった末に冤罪で処刑される、という破滅の物語です。私もその結末だけは既に知っていました。ただ、そんな状況を引き起こすほどシグルドが政治下手である+教団の暗躍が上手くいっていることがちゃんと描写されていたので、さもありなんといった感じ。
数々の多大な戦果を挙げる一方で、親友だったエルトシャンなど掛け替えのない人々を失い、次第に追い詰められていくシグルド。今の戦いは必ず報われるはずと思いながら足掻きながらも、第五章では皆口々に覚悟を決めるような会話をする場面は心にくるものがありました。
ただ、思っていたほど暗い話一辺倒というわけでもなかったのが良かったところだと思います。特に明るいキャラである「デュー」や「シルヴィア」中心の会話周りは大体平和ですし、その他カップル同士の会話も甘々なので一時の癒しとして機能してくれました。
一方で、本筋の1つであるディアドラ関連の描写にはやや違和感がありました。第一章で運命の出会いを果たし、再会後にすぐ結ばれる2人。しかも第三章でもうセリス産んでるわ、途中で攫われるわで展開が早すぎる。
自分で組んだカップルでない点も相まって、この2人の関係性については正直感情移入がしづらかったです。具体的に言えば「マリオにとってのピーチ」くらいの認識しかできないといったところ。もっと悲惨なのにね。
3.2.マップ関連のあれこれ
序盤は今作の特徴や仕様に慣れるのがとにかく大変。「紋章から追加された点」と「今作のみの点」が一斉に襲い掛かるので全部把握しながらのプレイが難しかったです。
戦局に関する仕様だと、広大なマップの中から敵の城を落として主人公で制圧、次の城へ進軍していくといういわば「城の制圧ツアー」であることが独特で賛否分かれるところだと思います。
戦況に合わせて扱える兵を分配し進めるといった要素は他の作品にもありますが、マップの広さのせいでリカバリーが効きづらいために取捨選択のセンスを問われているようで面白かったです。
ただ、完全初見だと次の制圧目標が分からないので「シグルドが制圧に向かっている間に他の兵は次の目標に向かわせる」みたいなことができません。知識のある2周目以降の人は楽なんだろうな、みたいなことを思いながら少し無駄の多い行軍ターンを進めているときは少し虚無虚無してました。
あ、細かい仕様の確認中で特に嬉しかったのは敵ユニットの移動と攻撃の範囲が確認できるようになったことかもしれません。『紋章』まではこの確認が本当に手間だったので助かります。常時表示はまだないんですけど。
そんな攻撃範囲の確認をしている中、「相手の移動距離とユニットの持つ歩数が合わない」ことに気が付きました。何度数えても合わないので調べてみれば「地形:道は移動コストが0.7だから」との回答が出ました。事前に「マップが広いから移動マスの多さが正義」とは聞いてましたが、それを助長する地形まであるとは思いもしなかったのでびっくりです。
というか、大抵どのマップもご丁寧に道が敷設されてるし、かといって騎馬が移動において苦手な地形も「別に騎馬以外のユニットが得意な訳ではない」ので本当に歩兵だけが割を食っています。もっとユグドラル大陸に荒れすさんでいて欲しかった。
そんな本作における騎馬優遇の最たる要素と言えば再移動ですね。敵ユニットへの攻撃後に移動しなおせることがとっても便利。戦闘以外なら移動先でいろいろできるので、敵をしばいた直後に友軍との会話をしたりとか小回りも効くのがグッド。特に主人公のシグルドは城の制圧というお仕事があるので、進路上の敵を潰しつつ戦線を上げていくこともよく行いました。
一方、敵も再移動できるので生半可なユニットにおける受けプレイは許されません。敵をうまく釣る配置を試行錯誤するという点においては面白さを助長していたように感じられたのでいい塩梅だったと思います。
3.3.戦闘の仕様について
大局の操作の次に来るものと言えば戦闘です。戦闘に関しても今作からの新要素、独自要素が多く存在します。
特に『ファイアーエムブレム』でおなじみの「3すくみ」が誕生したのは本作なんだと実感できたのはいい体験でした。ですが、武器が余りにも重い斧と炎魔法に関しては有利を取れていても使いたくないなんて場面もあったりと「武器同士のバランスを取る仕様」としてはうまく機能しているか怪しく感じました。
他にも本作から生まれた要素に「スキル」があります。こちらは個人スキルと兵種スキルに分かれており、各キャラや職種の個性がより出せるようになっていた部分が好感を持てます。
一方、スキルの数で他と差別化できているわけでもないのに、ステータスが上位互換のユニットに囲まれていた「アレク」、「ノイッシュ」の2人は本当に活躍の機会を与えづらかったです。本来こういったユニットにより独自のスキルとかを与えるべきだと思うんですが。
独自要素でいえば、特に苦戦を強いられたのは追撃周りの仕様だったように思います。事前に知っていたとはいえ、専用のスキルがないと速さが上回っていても追撃が出ないのはとてもつらい。
敵もスキルがない限り追撃できませんが、向こうは数で勝負している上に特攻上等精神なのでそんなに影響なく動いており、こちらだけ仕様のデメリットを背負っている気分でした。
追撃が出せない代わりに「怒り」のスキルで敵を倒す、というコンセプトと思われるティルテュなんかは使いづら過ぎて「素直に追撃あればどれだけ楽だったか!」とか思ってました。
3.4.重要なリソース管理
戦闘すれば金が入って武器がすり減る。大体の『ファイアーエムブレム』がそうですね。ただ、今作では関連する仕様が独特で戸惑いました。
まず、武器・杖の修理が可能な点。拠点を含めて各城内部の施設に行って金を払えば、どんな便利なアイテムでも治るというのは助かりますが、逆に神器でさえ壊れるようになったのはすごいデメリットです。いつでも壊れないファルシオンってすごかったんだなって…
次に挙げるのは、お金がユニットごとに所持する仕様。このため、戦場に出ずっぱりのユニットはどんどん武器が削れて、どんどん修理費がかさみ素寒貧になります。特に神器の修理には値が張るので慎重に使いたいところ。そんなことお構いなしに平気で連続攻撃をするフォルセティ持ちレヴィンには頭が痛くなりましたが。
そして、とどめにユニット同士のアイテム交換の禁止。これは『紋章』までは可能であり、戦闘中に隣接ユニットから武器を借りるといったプレイングも楽しかったため、結構ショックでした。もし、アイテムの受け渡しをしたければ、一度中古屋に物を売った後、それを別ユニットが買い戻す必要があり、普通に手間です。
そのため、敵を撃破した際にアイテムが入手できる場合、撃破するユニットを吟味しないと無駄な受け渡し料金がかかってしまいます。特にステータスの底上げが可能なリング系のアイテムは育成の進んでないユニットにあげたいところですが、育成が進んでいないなら当然ながら目標の敵を倒すのも難しいといったジレンマには随分悩まされました。
3.5.カップリングのはなし
お待たせしました。聖戦の親世代の大事な要素の1位であろう「カップリングのはなし」をします。
まぁそもそも「親世代」と言われるだけあって、この世代で作ったカップルが次の「子世代編」で活躍するというのは知っていました。加えて、ここでちゃんとカップルを作っておかないと後で後悔するとも聞いていました。そのため、初見の私はとにかく早く成立させて安心したいという思いが強かったです。結果、完成したカップルがこちら。
ただ、今回の組み合わせは本当に子供を遺すことだけを考えて作ったので、子供の性能に関しては全く考えられていないという問題があります。しかし、初見であるため子世代については一部を除き顔も名前もわからないので判断材料がないんですね。これが吉と出るか凶と出るかは当時の私にはさっぱりわからなかった訳で…
4.親世代編の終幕
親世代編の最後にアルヴィスによってシグルドたちは処刑されてしまいます。無念のまま歴戦の戦士たちが斃れていく。武に秀でるだけが勝者足りえるというわけではないのです。
この場面、感情を抜きにしてもプレイヤーとしては育成したユニットが突如失われるわけでショックも大きいでしょう。しかし、ネタバレをある程度受けている身としてそこまで大きくは響きませんでした。なんなら平時から「このユニット死ぬんだよな」とか思って育てていたまであるので。
それはそれとして、このまま闇の支配する世界に染まっていってしまうのか、という所に一筋の光が現れます。シグルドの息子、セリス。彼を中心とした逆転劇が今、開幕!
5.おわりに
ああっと!親世代編について語っていたら想像以上に長くなってしまいました。特に仕様に関する話のボリュームが大きかったのは反省ですね。ここまでで前編とさせていただきます。
親世代に関しては「レンスター行の離脱タイミングを知らずにエリートリングをフィンに持ち逃げされた」とか、「シグルドによる壊れたティルフィング受け取り後、そのまま装備する仕様のせいでグラオリッターに倒された」とか細かいエピソードもいくつか出せるんですが、まとまりが悪くなるのでここいらで終えておこうと思います。
続く後編では子世代編の話と、両世代やっての総合感想をお話したいと思っております。ここまで読んでいただきありがとうございました。