サバ缶ブームで考えたこと
魚介系の缶詰部門でトップだったツナ缶の売上を、ついにサバ缶が抜きました!
という記事が出たのが2017年でしたが、その後現在もサバ缶が、ダントツ1位です。特にコロナ禍では、また急激に消費が伸びたそうです。まだまだ終わりそうにない空前のブームということですが、そもそも、いったい何がきっかけだったのでしょうか。
もともとイワシやサバには、DHA、EPAなど、体に良いと言われるω3の油脂が多く含まれω6のリノール酸と並び必須脂肪酸と言われています。体内では作れないので食品から取る必要があるわけですが、このω3とω6はバランスが大事で、国は、1:4を理想としています。
しかし、リノール酸は現実的には今、私たちの食生活の中でどんどん、増えていると言われています。それに引き換え、ω3は、亜麻仁油とか、えごま油、そして魚ですが、ほとんど取れていなくバランスを欠いた状況が現代の生活習慣病のひとつの要因である、とも言われています。
そんな中でこのω3を豊富に含むサバ缶が突然、注目され始めたというわけ。
しかも、サバ缶がいろんなレシピにアレンジしやすい、というところから
カルパッチョ
グラタン、
サラダ、
アヒージョ
パスタへと
サバの洋食化がすすんだことも、それまで味噌煮くらいで、中年男性のご愛用だったサバが、俄然、おしゃれなお店で女性が食べる様になったわけです。しかも、見かけも断然おしゃれなサバ缶が多く出回りました。
ただ、2023年の2月、突然このサバ缶がスーパーから消える、という事件が起きました。
覚えていらっしゃいますか? って、強烈なサバ缶ファンでないと、気づかなかったかな?
サバの漁獲高が減ったのが理由だそうですが、なぜ減ったのかを解説しているサイトを発見。
ここで、ふーんと感じたこと。
日本ではサバをノルウェーから輸入しています。国産のサバもあるけれど、比率的にはノルウェー産がダントツらしい。
そして、日本近海の小さばと呼ばれる、日本人が食べないものをエジプト、ナイジェリア、ガーナなどに食用として輸出しているのだそうです。小さなサバを輸出して、ノルウェーのデカい脂の乗ったサバを輸入する・・・なんだか、ちょっと変じゃない?
サバに限らず、日本近海の漁獲量は激減している、とも言われます。特に鮭・サンマ・スルメイカなど2021年は過去最低の漁獲高だったとか。環境の変化や、温暖化や、いろいろその理由は言われていますが、一つには乱獲もあるのでは、と上のサイトでは疑っています。
そうかと思えば、今年9月にはこんなイベントが東京で開催されました。
ノルウェーのサバ、9月から11月が美味い、ということで、ボージョレ・ヌーボーならぬ、サバヌーボーというネーミングのお祭りがあったようです。焼き鯖、寿司、サバ餃子などなど、すごい種類のサバ料理が味わえるという、イベント。ビックリ・・・でした。
さて、グリーンランドのイヌイットがほとんど野菜を取らずに魚やアザラシを食べて、しかも、心筋梗塞や狭心症による死亡率がデンマークの白人34.7%と比べて、わずか5.3%と、なんと、7分の1という少なさ。
これはその摂取脂肪が牛肉、豚肉ではなく魚、つまりω3を豊富にとっていたから、ということは有名な話ですよね。
しかも血液中からもEPAが、ヨーロッパ人と比べきわめて多いことが明らかになりました。
1960年代のデンマークのダイアベルグ博士らの研究から、一気にEPAの存在が注目され始めたと言われています。健康志向が広がると、まだまだ続きそうなサバ缶ブームでした。
ただそれが、自分の使う油全体を見直すきっかけになれば、
また、限りある魚という資源と、
どうやって人は付き合っていけばいいのか、考えるきっかけになれば・・・
サバ缶一つから、いろんなことに思いは広がっていきます。