「話す、松永天馬 ~第三十二夜:話す、ヴィジュアル系~」を見に行ってきました 【感想】
先日、アーバンギャルドの松永天馬さんの主催トークイベント
「話す、松永天馬~第三十二夜:話す、ヴィジュアル系~
ゲスト:藤谷千明さん、ちゃんまいさん (ベッド・イン)」
を見に行かせていただきました!
とても素敵なイベントだったので、僕の見解も交えてしっかり感想を書いていこうと思います!
イベントの感想&僕の見解
①当時を知る方しか知らない話が沢山出てきた
イベントは、
・世代だったけど聴いてなかった人…天馬さん
・V系詳しい人…藤谷さん、ちゃんまいさん
が
「ヴィジュアル系の時代の流れとかをさらいながら、天馬さん側のジャンルとの関わりなどについてもトーク」
という立ち位置や形式で進められたのですが、
とにかく藤谷さんとちゃんまいさんの知識量が凄くて、僕も天馬さん状態(=知らない人)になる瞬間が多かったです…。
とくに、
・90年代のヴィジュアル系絶頂期はクラスで30人くらいはV系聴いてた。ただミスチルとかの方が売れていたので、自分たちは"邦楽シーンのど真ん中ではない"と思っている人が多かった。
・「TRUE BLUE」でV系楽曲のスタイルを確立したのはLUNA SEAだが、"V系バンドの佇まい"みたいのを確立したのもLUNA SEA。
・90年代にX JAPANの活動が停滞/ソロ活動が多くなってきた頃から、Xファンの受け皿としてLUNA SEAとかの他のバンドに勢いが出てきた部分もある。
・Waiveは解散&再結成を繰り返しまくっている。
・baroqueが出てきた時は、普段着っぽいゆるい衣装で衝撃的だった。
・遺伝子組換子ども会はボーカル、ベース、ドラムの編成のバンド (DASEIN以外にも特殊編成のデジタルロックV系がいるんだ…)
などのエピソードは、「後追い世代&サウンドを中心に追っている」僕からしたら、初めて知ることばかりでした…。
↓イベントを受けてあのnoteも加筆しました
②他ジャンルとヴィジュアル系の関わりについて
イベント内では他のジャンルとヴィジュアルの関わりについて語られる場面もかなり多かったです。
イベント冒頭で天馬さんが
「僕が好きだったサブカル系/渋谷系の人たちはV系をバカにしていた」
「一風堂のすみれ September LoveはSHAZNAカバーがヒットしたけど、個人的には"一風堂によるニューウェーブ/テクノ曲"という印象が強い」
というお話をされていたのですが、この時に話題に出てきたアーティストさんのうち、
小西康陽さんや土屋昌巳さんは、LUNA SEAのSUGIZOさんと
・小西さん→SUGIZOさんのソロ曲「Super Love」「Dear Life…」のMVを撮影。
・土屋さん→SUGIZOさんに"師匠"と慕われていて、数々の場で共演。ギターも受け継いでいる。
という形で関わられています。
なので、元々V系との関わりが深い土屋さんは別として
「どこかしらのタイミングでヴィジュアル系とサブカル系は一緒にお仕事されるようになったはずなんだけど、いつからなんだろう…」
ということを考えたりしました。
※イベント内では、
「昨今のヴィジュアル系に"病み系の歌詞のバンド"が増えたのは、天馬さんを始めとするサブカル系の影響なのでは?」
というお話も出てきました。僕が通ってたThe Raid.もそういう感じのバンドでした…。
また、
「今のヴィジュアル系シーンを代表している-真天地開闢集団-ジグザグはビーイングのバンドなので、最近はビーイングとの関わりも出てきた」
というお話も
「確かにBREAKERZとジグザグはビーイングだ!ソフトヴィジュアル系の音楽プロデューサーの明石昌夫さんもビーイング出身だし。。」
と思いながら拝聴していました。
(明石さんについては後でまた詳しく書きます。)
そのほか、
「V系ブームのちょっと後くらいにメロコアブームもあった」
「T.M.Revolutionはヴィジュアル系なんですか!?DAプロデュースは!?西川さんは元V系だった!」
という話題も出てきたのですが、これも
・近年、BRAHMANのTOSHI-LOWさんや元THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのウエノコウジさんがV系アーティストと沢山セッションをされている
・DAプロデュースのLAZY KNACKのYUNAさんが、SUGIZOさんとThe FLAREというユニットをやられていた
などがあるので、
「ヴィジュアル系は、ガレージ系オルタナ系のバンドの方々/DAプロデュースの方々といつ頃から仲良くなったの!?」
ということも考えました。
※清春さんとTOSHI-LOWさんは「"今まで違う部族同士"だったけど数年前のフェスでの共演がきっかけで仲良くなった」と仰っていました。
ただSUGIZOさんの他ジャンルとの関わりは、単純にSUGIZOさんの人脈が凄すぎるだけの可能性もありますね。
※SUGIZOさんは様々な音楽ジャンルに造詣が深く、良い音楽を作るためなら"そのジャンルと対極のジャンルのギターテクニックでも何でも使われる"という稀有なアーティストさんです。
③ヴィジュアル系バンドでの"音楽プロデューサーの役割"
「ヴィジュアル系を代表する音楽プロデューサーは、
・佐久間正英さん
・岡野ハジメさん
・成田忍さん
(天馬さんは岡野さん以外は関わりある)」
「佐久間さんがアーバンギャルドをプロデュースされた際にしてくださったこと」
などもお話されていました。
個人的には、
イベント内で結構話題に出てきたJanne Da Arc、La'cryma Christi、SIAM SHADEなどのソフトヴィジュアル系をプロデュースされた明石昌夫さんもそのお三方と並ぶレベルのV系プロデューサーだと思っていて、公式YouTubeで当時のお話をされている動画を「凄いなぁ…」と思いながら見ています。
明石さんによるV系バンドのプロデュースは、
「こういう"構成/メロディ/アレンジ/アルバムの曲順"の方がいいんじゃない?」
ということを提案する形でのプロデュースだったそうで、動画内では、
「ボーカルは邦楽ルーツが多い、楽器メンバーは洋楽ルーツが多い」
ということも分析されていました。
また、僕が
「曲を聴いていて、音楽プロデューサーやスタジオミュージシャンがサウンドメイクに入ることのメリットをしっかり感じるバンド」
は黒夢で、黒夢の曲の完成度が高いのは
「アマチュア感が売りなバンドに見えて、ガチガチのスタジオミュージシャンがサウンドを作り込んでいるから
(勿論、2人組だから&清春さんが当時楽器弾けなかったこそですが)」
が理由だと思っています。
逆にDEAD ENDが
「あんなメンバー全員が"僕がボーカルです!"みたいな演奏をするのにプロデューサーがついていて、あの感じで所属事務所がアミューズ」
なところは凄く不思議に思っています笑。
④ジャンル内で"力"を持っているアーティスト/近年のX JAPANについて
イベント終盤で、天馬さんが
「X JAPANって今どうなったんですか?」
と藤谷さんとちゃんまいさんに伺っていたのですが、
その際に様々な話題が上がってたので、恐らく天馬さんが知りたかった
「X JAPANは2018年の紅に染まった夜(無観客LIVE)以降はLIVE活動をしていない。
その後、Toshlさん抜きのX JAPANメンバーでRed Swanという曲を制作した。
今はストックしてあった新曲を小出しにリリースしている。」
という話になる場面が流れてしまい、加えて
「天馬さんの中で"THE LAST ROCKSTARS(バンド)"と去年の紅白に出ていた"YOSHIKIオールスターズ(セッション)"が混ざってしまわれていた」
点が最後まで解けなかったので、
「いつか天馬さんが真実を知ってくれる日が来れば…」
と思っています。
また、天馬さんは
「YOSHIKIさんは庵野秀明さんにリリースまでに時間をかけても許されるところがあるのでは?」
「ジャンル内でのYOSHIKIさんの"力"はどれくらいあるのか?シーンのトップはYOSHIKIさんなのか?」
ということも伺われていたのですが、
僕も
「この方が"来てくれ"って言ったら大半のV系アーティストが来てくれるパワーをお持ちの方」
という意味での
"V系界BIG3"は、
・YOSHIKIさん
・MORRIEさん
・西城秀樹さん
だと思っているので、YOSHIKIさんがシーンのトップでパワーがあるのは事実だと感じています。
⑤色々な十字架の話が沢山出てきた
「ヴィジュアル系をメタ的に捉えて活動しているヴィジュアル系コミックバンド/ネットの使い方が上手いヴィジュアル系バンド」
として、
・ゴールデンボンバー
・色々な十字架
についての話題が度々登場しました。
特に十字架については
・別ジャンルで活動されている方々がエイプリルフール企画きっかけでヴィジュアル系をやっている
・K-POPや2.5次元ミュージカルなどを取り入れた楽曲もある
・公式同人イベントをやっている
などが「新しい」と話されていて、
天馬さんも
「90年代V系詳しくない側からしたらMVが色々な十字架に」
2020年代を代表するヴィジュアル系になり得るバンドだと感じています。
まとめ
とにかく濃い話が多くて凄い楽しいイベントでした!
僕自身は普段様々なジャンルの音楽を研究しているのですが、サウンドを中心に研究しているので、実は"文化史とかまで追っているジャンル"ってヴィジュアル系だけでして。
(V系にハチャメチャなバンドが多いせいで音楽の法律に詳しくなったまであるんですけど…)
だからこそ本当に「当時を知る方々」のお話を伺えるって凄く貴重な機会なので、改めて流れとか文化とかを学び直すことが出来ました。
僕も"1つのジャンル"をあのレベルで極められれば…と思ったので、音楽の勉強を頑張っていきたいです!