珈琲とキャラメルと折り鶴
駅前の少し騒がしい喫茶店で珈琲を飲みながら、
こっそり自前のキャラメルを口に入れる。
とろりと舌や歯に絡みつく感触を楽しみながら、
銀色をしたキャラメルの包み紙をもてあそぶ。
中途半端な長方形を少し裂いて、きれいな正方形を作った。
つるでも折ろうかと思っていたが、
ふと魔がさしてその前に包み紙の裏にペンを走らす。
私のアドレスと電話番号。
小さな紙は折り紙には向いてなくて、折っている間にどんどんくしゃくしゃになっていく。
そうして、年老いたつるができる頃には、口の中のキャラメルはすっかりなくなっていて、
あの独特な、ちょっとした不快感だけが残った。
そんな不快感を残りの珈琲で飲み込んで、
私は鞄を持って席を立つ。
よれて飛べない、私の連絡先だけ残して。