【失敗談】資金調達で失敗した話
2024年1月に初めての店舗運営(インドアゴルフ練習場)に着手し、
気づけば8月には3店舗目の開業準備を進めていました。
いけいけドンドンでやっていたら、
まあまあなヘマをやらかしてしまい、自戒の念をこめてこの記事を書きます。
何をやらかしたかというと銀行からの融資が受けられず、
3店舗目の買収資金の約1,000万円を全て自己資金で賄うことになってしまいました。1,000万円の一括支払いなんて初めてなので、支払い日以降は資金的にヒヤヒヤする状況がしばらく続きそうです。
今回はSNS上にある株式調達での『資金調達○億円!』というような華やかな話ではなく、数百万円の融資というやや地味なお話しです。地味なだけに事業を始めた方の大半が通る道かもしれません。
経験のある経営者の方や、金融機関の方からしたら、簡単に防げた初歩的な内容ですが、
初めて融資を受けようと思っている方、これから起業しようと考えている方の参考になれば嬉しいです!
超楽観視していたら全部お断り
まず何が起きたのか書いていきます。
今回の3店舗目の買収資金約1,000万円の内、300万円を自己資金、700万円を融資で調達しようと考えていました。
1店舗目買収時の24年1月に政策金融公庫から500万円の融資を受けており、
その時は一瞬で審査が終わって貸してくれたし、1店舗目も計画を前倒して集客できている。その時よりも売上もいいから余裕で貸してくれるでしょ!って思っていたのが誤算1つ目。
A信用金庫とも取引実績があったので、
融資きっかけに3店舗目のエリア(練馬区)にある金融機関と新規で取引を開始する理由ができた!わーい🙌
ノー天気にチャンスと思っていたのが誤算2つ目。
結果、3店舗目出店エリア内の信用金庫、第二地銀は電話での門前払いで話さえ聞いてもらえず、
政策金融公庫は短期融資ということで却下となり、
資金調達額はまさかの0円。
生まれ変わっても銀行員になりたいというぐらい銀行好きな高校の同級生T君にも事業計画を添削してもらい挑戦しましたがダメでした。
というか事業計画を見てもらう以前の問題だったというのが反省です。
こんなにダメなんて阿部の会社、粉飾とか反社的な取引でもあるの??
と思われそうですが、一切ないので誤解なきようにwwww
事業を拡大させていく準備を怠った
独立当初はお金がなかったので、オフィスを借りる余裕なんて当然なく、
レンタルオフィスを使っていました。
レンタルオフィスにも色々と種類がありますが、
ここでいうレンタルオフィスは企業の専用部屋がない、
コワーキングスペースに登記ができて郵便ポストがくっついたようなものです。
そのままコロナ禍に突入し、
ゴルフメドレーの開発も、営業もすべてZOOMで済むようになり、市原インドアゴルフの店舗受付も遠隔地からリモート。
オフィスの必要性をあまり感じず、この時は固定費浮いてラッキーぐらいにしか思っていませんでした。
また、レンタルオフィスの状態でもA信用金庫の法人口座開設ができており、取引実績もありました。
A信用金庫に口座開設しに行った時、
担当者さんが『レンタルオフィスだと基本的に口座開設は厳しいですが、阿部さんはしっかりやられてると思うので事業実態を確認させてもらって上席に口座開設かけ合います。』と言ってくれて、契約書や他法人口座の入出金履歴の確認、自宅への訪問までしてくれて口座開設をしてくれました。
こんな経験もあり、真面目に事業をやってればレンタルオフィスでも大丈夫しょっ!と超楽観視してしまっていました。
このように超絶楽観視でなんとかなるっしょ精神。
事業を拡大させていくにはやはり先行投資が必要です。
銀行と付き合っていくための準備を進めておくべきだったと反省しています。
信用金庫、地銀系はレンタルオフィスで取引NG
では、6月頭に3店舗目の買収をしようと決めてから、
実際にはどんなやり取りがあったのか順を追って書いていきます。
政策金融公庫に電話で確認
まずはみんなの味方、政策金融公庫に電話。
理由を説明の上、追加融資を希望する旨を伝えると、
『初回融資が今年の1月なので"短期融資"になるので基本難しいですね・・・。もちろん審査はしますがほぼ可能性はゼロに近いと思います。』
”短期融資”という言葉を初めて聞きました。。。
半沢直樹では”迂回融資”はダメってやってたけど、”短期融資”がダメなんて習ってないじゃーん(T_T)っていうぐらいの無知さです。
A信用金庫は管轄エリア外
信用金庫には信用金庫法で定められた支援対象エリアがあり、
特別な理由がない限り対象エリア外は融資ができない旨は知っていましたが、念の為打診してみました。
やはり練馬区ということで管轄エリア外のため不可でした。
銀行員のT君に相談
岐阜の田舎で一緒に野球をしていた同級生が数名、なぜか東横線沿線に住んでおり、O君とT君の3人で多摩川の河川敷でキャッチボールをすることになりました。
キャッチボールで汗を流したあと、
中華屋にいって冷やし中華を頼みました。
『冷やし中華はマヨネーズかけたいね〜』と岐阜県民感を出し、店員さんにマヨネーズを頼んでみましたが、置いてなくて残念。
マヨネーズ無し冷やし中華を食べながら、
銀行員のT君にこれまでの経緯を伝えると、下記のようなアドバイスをしてくれました。
政策金融公庫はそりゃそうなる!そんな短期で融資申込したらお前の事業計画どうなっとんの?って普通に思う
レンタルオフィスの場合は登記住所について、各銀行の行内規定上どうしても取引できない銀行もあるから、あんま気にするな。
阿部の店舗事業の場合は店舗が分散してるから、カバーエリアが比較的広くて数百万単位の融資でも対応してくれる第二地銀のH銀行がおすすめ。
事業買収の好案件が見つかり、急遽、追加での融資の相談に至った。他の事業は計画通り進んでいる旨の事業計画を書けば可能性あるかも。
居酒屋で酔っ払って寝ているT君しか見たことなかったですが、銀行について語っている姿は眩しく、とてもかっこよく見えました(笑)
信用金庫、地銀から軒並み門前払い
T君からもらったアドバイス通り練馬区をカバーしている地銀、信用金庫に口座開設依頼を出していきます。口座開設依頼は基本WEBです。
一行、二行と電話がかかってきて
『すいません。こちらの住所レンタルオフィスですよね?レンタルオフィスだと口座開設できないんです。申し訳ありません。』
A信用金庫を開設してもらった時は、
事業実態をしっかり見てくれたので今回も大丈夫だろうと甘く見ていたら、今回は確認に入る前に全てお断り。惨敗でした。
原因は犯罪収益移転防止法によるマネーロンダリングを防止でした。
レンタルオフィスに登記された法人が犯罪に使われることが多々あり、
「犯罪を目的として設立された法人」、「休眠企業」、「真面目に事業をしている法人」を、書面や簡単な面談だけで判定することも極めて難しいという状況が発生し、疑わしきは開設させない、という状況が年々厳しくなっているとのことでした。
確かにこれには僕も納得です。
もし自分が銀行員だったら、真面目に事業をしている会社かもしれないけど、数百万円の融資に対して、綿密に調査して、社内稟議を書いて口座開設させたとしても、かかる工数とリスク、銀行が得られる金利による利益を考えたら割に合わないですよね。
僕も銀行員だったら面倒なことはせず断ると思います。
とういうことで民間銀行系へのアプローチは全敗に終わりました。
最後の砦、政策金融公庫へ
『審査してみないとわからないが、ほぼ難しい』
事前の電話相談でそう言われたので、ダメ元でしたが審査に申し込んでみました。
またまたT君からアドバイスをもらい、事業計画をかなり綿密に作り込んでいきました。
公庫の担当者さんも『ここまでしっかりと作成された事業計画書はほぼ見たことないです。』と言ってくれました(おせじかもしれませんが)。
ただ、面談の雰囲気としては冒頭から
『自己資金でお願いします』感が満載だったので、多分ダメだろーなーという感触でした。
反省としては、『保全』をがっつり書きすぎたので、本当に融資の必要性ある?と思われてしまった印象があります。
保全とは、万が一返済が滞った場合どうやって返済するのかというものです。いわゆる担保ありますか?的な項目です。
これを事業計画書に書いておくと、貸し倒れのリスクが減るので印象がいいとYouTubeで言ってたのでがっつり書きました。
経営者保証もつけてもらって大丈夫です!
現預金、保有株式は◯円あります。
何があっても必ず返します!
貸し倒れなんて絶対させません(キリっ)
政府が起業支援で経営者保証が無くても融資を受けられるよう(いわゆる無担保・無保証)に動いてくれているにも関わらず、時代に逆行するような気合いでアピールしました。
面談から1週間後、
愛知で開発の話をしながら、トンカツを食べている時に電話があり、
結果は前述の通りダメでした。
起業してからやっておくべきだった準備
今回のこの一件で身に染みてわかりました。
お金は血液、キャッシュイズキングのような言葉がある通り、
借りたい時に借りれる準備をしておくべきでした。
もっというと必要なくても借りておいて余剰資金を確保しておく必要がありました。
とりあえずオフィス
起業間際はお金がないかもしれませんが、ある程度事業が軌道に乗ってきたら固定費をケチらず近所の安アパートでも事務所として借りておくのをお勧めします。
今後もチャンスがあれば店舗の買収もしていきたいですし、
店舗を運営して見えた課題を解決するための新規事業にも年末から取り組む予定です。
再度融資を受けて拡大していくために、絶賛オフィスを探し中です。
金融機関と交渉ができる人を見つけておく
今回思ったのは、銀行交渉はどこまで突っ込んでいいのかよくわからないというのがなんだかモヤモヤする部分でした。
調達に長けた人の話を聞くと、
レンタルオフィスの場合でも別ルートで銀行担当者と直接交渉し融資を引っ張ってきたり、
本店所在地の横浜の政策金融公庫で融資がおりなくても、店舗がある練馬の政策金融公庫に交渉しに行ったりと、じつはまだまだ策は残されていたようです。僕の場合は、銀行の慣例やルールがわからず、突っ込みきれなかったというのがあったので身近に調達に長けている人を見つけておくのがベターだと思います。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます!
今回は失敗ではありながら、最悪自己資金でなんとかなる選択肢があったので、今こうしてnoteを書いている余裕があるわけですが、
自己資金もなかったらと思うとなかなか痺れたシーンでした。
10月には買収金額の1,000万円の支払いがあるので、
しばらくは質素倹約で行きたいと思います(笑)
独立してからの銀行系おもしろ失敗話はまだいくつかあるので、別の機会に書いていければと思います。
そろそろ忘年会のお誘いおまちしてま〜〜す!🍺