医療サービスを受けていない患者の減量 クラスター無作為試験
Weight Loss in Underserved Patients — A Cluster-Randomized Trial
N Engl J Med. 2020 Sep 3;383(10):909-918.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32877581/
米国のルイジアナ州で行われた試験です。
背景:肥満は公衆衛生に大きな影響を与える「疾患」です。米国成人の約40%が肥満で2型糖尿病、心血管疾患、がんなどの原因になりえます。プライマリケアにおいて、肥満で医療を受けていない人々を対象に減量を促進するプログラムを検証しました。
方法:ルイジアナ州内の人種的に多様な低所得層を対象とした18か所のプライマリケアクリニックで、介入群と通常ケア群に無作為に割り付けました。対象者は20歳以上75歳以下で、BMI:30~50(‼)。減量プログラムを行っている方や肥満治療歴のある人などは除外しました。
介入の最初の6か月間は週1回のセッション(面会16回・電話6回)で、残りの18か月は月1回のセッション(面会と電話を交互に)を行いました。ヘルスケアコーチは、栄養学・身体活動・行動医学に関する学位を持つ人としました。
介入群は体重10%減量を目標にし、食事と運動のコーチングを受けました。体重計が提供され、毎日の計測を推奨されました。ヘルスケアコーチは減量状況に基づいて介入の強度を調整しました。
通常ケア群は、座ることと健康・目標設定・暑さ対策・セルフケア・睡眠・禁煙に関するニュースレターを受け取りました。
アウトカム:ベースライン・6・12・18・24か月後の体重変化率、体重、腹囲。
結果:全18クリニックが24か月間の試験参加終了。1クリニック当たり40.5人の参加。合計803人の肥満の成人患者が登録され、452人が介入群で351名が通常ケア群に割り付けられました。67.2%が黒人で、84.4%が女性でした。
介入群:‐4.99%の体重減少で24か月後も維持されていた。介入群の68.5%が24か月のセッションに80%以上参加し、体重変化率は‐7.07%。
通常ケア群:24か月後、5%の体重減少は19.6%であった。
有害事象:86名の患者が少なくとも1つの有害事象を経験し、83名が入院または生命を脅かす状況を報告した。3名の患者が試験中に死亡した。重篤な有害事象のうち、試験の介入が関連すると判断されたものはなかった。有害事象は群間差はなかった。
考察:黒人患者は他の人種と比べてt体重減少がわずかに少ない。体組成や代謝の違い等を考慮して黒人患者に特化した介入が必要かもしれない。これまでの研究と比べ、男女の体重減少はほぼ同じでした。
ルイジアナ州の都市部と農村部の多様なクリニックと患者を対象とし、十分な医療サービスを受けてこなかった方を対象とした。これは米国の大規模な低所得層に広く適用できる。また、共同チームにヘルスケアコーチを組み込んだことは、減量プログラムのモデルとなる。この試験の限界は、対象者に女性が多い(84%)ことです。
さとうの私見:Incentive無しで24か月間80%の方が完遂したのは素晴らしいと思う。規模の大きい試験で、有意な体重減少効果を長期間にわたって示していて、予防医学にインパクトを与えたと思う。ヘルスケアコーチの背景がいまいちわからなかった。Methodの詳細がサプリメントにも具体的に書かれていなくて、明日から臨床で行おうとは言えないと思う。
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