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#63 『カラハリが呼んでいる』 が面白い! / "Cry of the Kalahari"

近頃、駅前で工事が行われるに伴い、樹木が1本植えられました。
たった1本でも気持ちが和むので、目の前を通る度に見てしまいます。

人工・原生問わずに緑や自然が大好きですが、自分で手付かずの自然を冒険することはできないので、フィクション・ノンフィクション問わず、そういう本を読むのが大好きです。

そんな自然を感じられる本を探して、2019年に見つけて読んだのが、小説『Where the Crawdads Sing』。(今では『ザリガニの鳴ところ』の日本語題で出版・映画化されている)

自然好きという枠だけではなく、ドラマとしてもアートとしてもあまりにも魅了されたので、著者のディーリア・オーエンズが動物学者として出版した過去の著作もいつか読んでみたいと思っていました。

しかし、積読ばかりが溜まっていき、今では後遺症もあって、英語の本を読むのは厳しいなぁ〜と思っていたところ…

2021年に日本語版が1冊出ていたことを今頃知りました!(笑)
(正確には、1988年にも日本語版が出ていたそう)

まだ26パートのあるうちの3までしか読めてないのですが、
面白いのでご紹介。

※パート3までの内容に触れるため、ネタバレ注意

濃密な映画に勝る舞台(研究調査地)

スリルを求めて読んでいるわけではないのですが、予想されるような危機はパート3までの時点で次々と襲いかかってきて、まるで濃密な映画を見ているよう。

それくらいの危険と隣り合わせの、人間の世界から遠く離れたアフリカ・ボツワナ共和国にある原野が研究調査の舞台です。

全財産を投げ打った研究とその理由(ワケ)

1974年、そんな調査地へ、2人の動物学者の卵たち(マークとディーリア)が研究のために飛び立ちます。

「卵たち」というのがポイントで、この2人、研究資金もないまま全財産を投げ打って、アフリカに向かいます。しかも、現代のような情報網もないため、調査地すら現地に行ってから探します(その資金力で)。

この時点で、2人の行動力に脱帽で考えさせられるのですが、その後も、「豊かな国が増えて真似できる人が増えた現代だったらアウトじゃないの?」と思えるような強行突破も経ながら、綱渡りの研究が始まります。

マークとディーリアがそこまでの行動を急いだ理由に私は驚いたのですが、1972年?の時点で既に、アフリカからも「人間の息がかからない自然」は失われつつあったそうです。

『ザリガニの鳴ところ』の序盤を思い出す展開

そんな綱渡りで辿り着いた貴重な研究の環境。それが。

パート3までの序盤にして、根こそぎ奪われてしまうのです。
しかも、2人は、帰国のための飛行機代まで使っていました。
(期待していた研究の補助金も音沙汰なく)

何もかも失うかのようなこの序盤の展開、思わず『ザリガニの鳴ところ』を思い出してしまうのは、私だけではないはず。

そして、ディーリアが呟いた言葉が、心に沁みます。

「いったい私たち、ここへ何をしに来たのかしら?」

カラハリが呼んでいる

気になった方は、ぜひチェックしてみてください!
パート3までしか読んでないけどオススメです。


"Cry of the Kalahari"
人生とはいつも、絶望の後に始まるのかもしれない



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