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間取りの考え方~9坪ハウス

アラフォー女性建築士の『さわ』です。
主に関西で住宅を設計しています。

突然ですが、家って最小限でどれぐらいがあれば住めますか?

かなりに昔に読んだ本で『9坪ハウス』を思い出しました。

9坪ハウスとは

建築士 駒沢洵氏による『吹抜けのある家-最小限住居』を原形とする最小限住宅です。

9坪ハウスの5原則

①平面は正方形(3間×3間 1間=約1.8m)のプラン
②3坪の吹き抜けを儲ける
③外形は14.8尺(約4.5mの切妻屋根)
④丸柱を使う
⑤メインファサードには開口部を設ける

9坪ハウスの5原則

3間×3間とは約18帖です。

3間×3間の9坪ハウスのサイズ

ここに入る最小限の間取りとは?

狭小住宅と最小限住宅の違い

私はよく狭小住宅の間取り図を書きます。
狭小住宅の間取り図は大抵が狭小地に入る目一杯の間取りを計算して作成したものです。

それに対してこの9坪ハウスという最小限住宅は敷地に対して十分広さがあるのにこの小さとシンプルさが美しいとして造られた住宅です。

家を購入するときに家の大きさはどうやって決まりますか?

大きくは二つ。

①敷地が決まっていて建てられるサイズが決まっている。
建替える場合は主にこれですね。
あとは立地条件など場所にこだわりがあるが希望するサイズの土地が見つからず狭小住宅になる場合があります。

②予算次第。
坪単価という言葉を聞いたことがあるように坪(家の面積)が大きくなると建物の施工費は比例して高くなります。

これらから家の大きさを決めて間取りを作成するのですが、ほとんどの人は建てられるならばとにかく大きな家を望みます。
とにかく広いリビング、たくさんの部屋、広い部屋、たくさんの収納などなど・・・

そういった要望と反してこの9坪ハウスは建坪が9坪、延床15坪と決まった中で最小限の間取りを考えます。

今回は私なり二パターン間取りを考えてみました。

萩原邸の間取り

まずは参照にこちらの本の萩原邸の9坪ハウスの間取りを見てみます。

萩原邸は原型の駒沢邸の骨組みを基盤にしつつ、4人家族が住めるように色付けした9坪ハウスです。

萩原邸の9坪ハウス

2002年に建てられたので駒沢邸より今の暮らしに近い間取りだと思います。
扉を書き忘れましたが、玄関もしっかりあって2階には家族分+1のワークスペースもあります。

ではこちらを参考にもし私が今建てるならの9坪ハウスの間取りです。

私の考える9坪ハウスの間取り

私の考える9坪ハウスパターン①

まず萩原邸と比べて水廻り充実型です。
やはりユニットバスは1坪タイプはほしい!という事で1階は部分は半分近く住設に占拠された間取りになりました。

萩原邸は寝室を1階和室にしていたのですが、私の間取りでは2階でベッド派です。(布団の上げ下げが面倒だから)

こうなると完全にただの1DKです。

では無理やりにでも2部屋確保した間取りだとこうなりました。

私の考える9坪ハウスパターン②

閉鎖された個室2.5帖をどう使うか難しいぐらいの狭さです。
子供部屋にしたらほぼベットで埋まります。
それでも個室が欲しい人向け2DKの間取りです。

こうなってくると『9坪ハウス』の良さとは?!
という壁にぶち当たってきました。
私の書く間取りはただ小さい不便な家になってる気がしました。
『最小限住宅』自分にとっても何が最小限あれば『家』が成り立つのか。
そいう事をもう一度考えるきっかけになった『9坪ハウス』でした。

さいごに。

今回は少し思考を変えて仕事で作成した間取りではなく、この記事の為に考えた間取りを書きました。

『9坪ハウス』の本については改めて読書感想文を書きたいと思っています。
本を読んだり資料を集めて『9坪ハウス』について考えて間取りを作成するという作業が大学時代の研究課題をしているようで楽しかったです。
しかし私の間取りをゼミで提出したらきっと『コンセプトが弱い!』とダメ出しをくらうやつだなと改めて反省。

もう少し仕事でも柔軟に発想できるようにたまにはこういう課題を自分に与えたいなと思いました。

今週も長文お付き合いいただきありがとうございました。

毎週更新している『間取りの考え方』

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左巴建築設計事務 さわ。

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