休日
ありえないほど長い休校措置。といってもコロナの恐ろしさを考えたら、1年近く地下に潜ってもいいのかもしれない。「ありえないほど長い」といっても所詮ひと月程度で、問題は長さではなく外に出られないことだ。
ひと月も家に閉じこもっているのは苦行としか言いようがない。しかし下手にコロナに感染したら、この先の皮算用すら危うくなるため慎重になるしかない。おとなしく籠城用の本を買いあさった。休校がアナウンスされた帰り道に3冊、家に帰ってネットでも7冊注文した。1週間で読んでしまった。有限であるはずの時間が、なぜか無限にあるからだ。本を読むスピードも調節できない。パパパパーンと読んでは投げ、読んでは投げを繰り返す。そのうち部屋ははひどいことになる。どうでもいい本は本棚に入れられることもないため、ぞんざいに床に置かれる。その上に1冊、また1冊と死体が積み重なっていく。ミニ203高地ができあがる。そのうち惨状に耐えられなくなって一時休戦。死体は回収されダンボールに移されると纏めて荼毘に付される(ブックオフに行く)。
こういった作業を延々繰り返してきたが、ついに飽きた。休校中の課題もいつの間にか締め切りがなくなっており、緩みに拍車がかかる。いつの間にかブックオフも閉鎖していた。オンオフのない、毎日が日曜日というはこんなに苦しいものであったか。欲という欲が失せていくのが分かる。欲を捨てれば真人間になれると思っていたが出来上がったのは廃人であった。
おわり
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