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英国古典占星術界の帝王ジョン・フローリー氏推奨「占星術やるなら読んどけ」本19冊一挙紹介その4
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90年代後半、複数のテレビ番組に出演し、著名なスポーツジャーナリストと試合結果の予測を競い、ジャーナリストの予測より高い的中率を弾き出した「ミスター古典占星術」ジョン・フローリー氏が薦める占星術関係の著書19冊を、日本語訳で紹介する企画。第4弾になります。
13. 時間の時代錯誤(イアン・マッケンジー著)
(The Anachronism of Time by Iain Mackenzie)
占星術師にとって、時間は私たちが扱う根本的な要素です。だからこそそれを理解することが求められます。マッケンジーはロバート・グロステストの影響を強く受けながら「時間の概念を神に押し付けることはできない」という前提から議論を始めます。この考えを厳密に守りながら、彼は占星術の実践において遭遇するあらゆる現象を説明できる、論理的に一貫したモデルを構築します。もっとも、それが彼の本来の目的だったわけではありませんが…。思考を刺激する内容ですが、その分、読む価値は十分にあります。
14. 貴族の反乱(ジョン・アダムソン著)
(The Noble Revolt by John Adamson)
リリーの著作を理解するには、彼が生きた時代を知ることが不可欠です。ジョン・アダムソンの「貴族の反乱」は、リリーが生きた激動の出来事を描いた長編ですが、非常に読みやすい一冊です。著者はやや読者を意識した演出を加えていますが、新たに発掘された資料を用いて従来の解釈を塗り替えながら、説得力のある歴史像を提示しています。強くおすすめします。
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1630年代、イングランド王チャールズ1世が王権を拡大しようとしたことにより、イギリス諸島全体で不安が広がりました。イングランドでは、一部の貴族たちが命と財産をかけて彼の暴走を阻止しようと立ち上がりました。
著名な歴史家ジョン・アダムソンによる本書は、イングランド内戦の政治的危機を詳細に分析し、王を打倒し、三つの王国を戦火に巻き込み、イギリス本土に新たな宗教的・政治的秩序をもたらした人物たちの巧妙な戦略を描き出しています。
15.イングランド内戦の原因(コンラッド・ラッセル著)
(The Causes of the English Civil War, by Conrad Russell)
コンラッド・ラッセルの「イングランド内戦の原因」は既に時代遅れとされる解釈の一つですが、それでも読む価値があります。それは単にラッセル氏と共に時間を過ごす楽しさのためです。彼は地球上に知的生命が存在するのか疑問に思うようなときでも、安心させてくれる数少ない人物の一人だからです。そうした知的貴族の中には、他にもラッツィンガー枢機卿、アラスデア・マッキンタイア(※Alasdair MacIntyre:倫理学や政治哲学の分野で重要な影響を与えた哲学者。1929年にイギリスのスコットランドで生まれ、主に道徳哲学の歴史と実践的倫理を研究しました。彼の代表作の一つ「美徳なき時代(原題: After Virtue)」は現代の道徳的混乱を批判し、美徳倫理の復興を提唱する重要な著作として広く読まれています。この本の中で、彼は近代の倫理理論が失敗していると論じ、アリストテレス的な美徳倫理の再評価を試みています)、メナヘム・ケルナー(※Menachem Kellner:アメリカ生まれのイスラエル人で、ユダヤ中世哲学、特にマイモニデスの哲学に焦点を当てた学者として知られています。彼は1946年にニューヨーク州オールバニで生まれました。 ハイファ大学のユダヤ思想名誉教授であり、エルサレムのシャレム・カレッジで哲学とユダヤ思想の学際的プログラムの初代学科長を務めました。 彼の著書「Must A Jew Believe Anything?」はコレット・ユダヤ図書賞の最終候補となり、広く知られています。)などがいます。彼らが書いたものならお買い物リストですら、私は喜んで読むでしょう。
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イングランド内戦の原因は何だったのでしょうか。これまで伝統的に、主権をめぐる争いやブルジョワ革命といった説明がされてきましたが、近年ではこれらの見解に疑問が投げかけられています。本書においてコンラッド・ラッセルは新たな視点から説得力のある分析を提示し、当時の人々にとって極めて重要でありながら歴史家によって見過ごされてきた宗教的・憲法的問題に焦点を当てています。ラッセルは印刷物や未公刊の史料を幅広く調査し、イングランド内戦の背景にある三つの主要な問題を明らかにします。それはイギリスにおける複数の王国がもたらす憲法上の問題、国教会内外に存在する異なる神学の対立による宗教的問題、そして王室財政が君主制の維持に必要な支出を賄えなかったという経済的問題です。イギリス史における最も重要な出来事の一つである内戦の起源について、これまでで最も詳細に論じた本書は、17世紀を学ぶすべての学生にとって必読の書となるでしょう。
16. 敗北の経験(クリストファー・ヒル著)
(The Experience of Defeat, by Christopher Hill)
著者は同時代の知的ドグマに縛られているにもかかわらず、その制約の中で優れた歴史家としての才能を発揮している作品です。本書は内戦の苦難が地上におけるキリストの王国の到来の前兆であると信じていた人々、例えばリリーのような人物にとって、王政復古がいかに衝撃的な出来事であったかを力強く描き出しています。
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イングランド革命が失敗した時、急進派(radicals)はどうなったのでしょうか。 1660年にチャールズ2世をイングランド王として復位させた王政復古は「神の大義」—自由と共和主義的自由を求めた闘争—の終焉を告げました。この時代に関する多くの記録は宮廷に焦点を当てていますが、クリストファー・ヒルはイングランド史上最も急進的な時代の終わりを嘆いた人々に目を向けています。急進派のプロテスタント聖職者や共和主義の知識人、作家たちはなぜ摂理が神の大義を担う者たちを見放したのかを説明しなければなりませんでした。
『敗北の経験』においてクリストファー・ヒルは、レヴェラーズ、ランターズ、ディガーズの著作や生涯、更にはジョージ・フォックスや初期のクエーカー派の重要人物の活動を探求しています。彼らの中には新政権によって追われ、身を隠したり亡命を余儀なくされた者もいれば、信念を撤回せざるを得なかった者もいました。ヒルは特にジョン・ミルトンの晩年の作品を詳しく分析し、彼の執筆が人間と社会についての苦痛に満ちた再評価から生まれ、「神の道を人に正当化する」ことを彼に促したと論じています。
次回が最終回になります。
お楽しみに。