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Ⅱ Ameisenの章

次の日
【シュピ】は”水晶の原”で
小さなある【かたち】の群れに出会います。


【かれら】たちは一列に並び
何かを運んでいるようです。

 

*【Ameisen】チャーム*
アイリスクオーツ8mm×クオーツ6mmの天然石
背中は貴和クリスタルでできています。
ガラスビーズで樹液を乗せました。

「こんにちは。」と
【シュピ】が話しかけると


『こんにちは。』と
【かれら】たちのひとつが応えました。

 

「ぼくは【シュピ】あなたはだあれ?」


『ぼくは【アーマイゼン】だよ。』
と、別のひとつが応えました。

 

 

その【かたち】は蟻に似ている
【アーマイゼン】でした。

 

「初めまして【アーマイゼン】
きみたちはここで何をしているの?」


『ぼくたちは
あの”星の木”の樹液を運んでいるのさ。』
と、また別のひとつが応えました。

 

「どうして?」
と【シュピ】が尋ねると

『どうして?そんなこと考えたこともないなぁ。』
『だってほら、みんな運んでいるよ?』
『きみも運ぶかい?』

と、【アーマイゼン】のひとつが
【シュピ】を誘いました。



「うん!」

【シュピ】は喜んで
【アーマイゼン】たちについて行きました。

 


”星の木”の近くまで来ると
それは甘くて
とてもいい香りがしました。

 


「ねえねえ、この樹液って
どこまで運ぶの?」

『ああ、この星の裏側さ。』
『そこには”ツカ”と呼ばれる山があって
そこに樹液を貯めているのさ。』

 

「そこまで、どれくらいかかるの?」

『どれぐらい?そんなこと考えたことないなぁ。』
『ぼくたちはお日様を追いかけて
ひたすら運んでいるからね。』
『”ツカ”に運んだら
また、お日様を追いかけて
ここに戻ってくるのさ。』
『ぼくたちはずっとお日様の下にいるからね。
どれくらいなんて計れないよ。』


「えっ、きみたちには夜はないの?
眠らないってこと?」

『眠る?ああ、ぼくたちは眠らないのさ。』
『昔、眠ってしまった仲間が
そのまま樹液の中に
閉じ込められてしまったらしいからね。』
『それからぼくたちは
うっかり眠らないように
交代で休みをとりながら運んでいるのさ。』
『だから、ぼくたちは
大勢要るのかもしれないね。』


と、次々に応えました。

 


【シュピ】はそれを聞いて
少し不安になりました。

もし、うっかり眠ってしまったら
樹液の中に、ずっと
閉じ込められてしまうかもしれないからです。

 

それでも、【シュピ】は
【マリ】に言われたあの言葉を思い出し

やってみることにしました。

 

そして、丁寧に樹液を集め
【アーマイゼン】たちがやるように
それを丸めて背中に乗せようとしました。

 

ところが
なぜか、背中からコロコロと
転がり落ちてしまいます。


何度も何度も、やってみますが
【アーマイゼン】たちのように
背中に乗せられません。

 

「あれれ??
ぼく、きみたちみたいに乗せられないよ。」


【シュピ】はとても悲しくなりました。


すると
【アーマイゼン】のひとつが言います。

『きっとこれはぼくたちの
役割なのかもしれないね。』

「役割?」



『そう。だって、きみとぼくは…
ほらっ…背中の【かたち】が違うみたいだからさ。』

と言って、背中を見せました。

 

 

確かに
【シュピ】と【アーマイゼン】は似ていますが
その細かな【かたち】は違っていました。

 

「【かたち】が違うと
出来ないことがあるんだね。」


と【シュピ】は自分の背中を
振り返りながら言いました。

 

『出来ることと出来ないこと
みんな、それぞれにあるのさ。』
『ぼくたちだって同じ【かたち】だけど
その役割が違うときもあるよ。』
『みんながみんな同じじゃないのさ。』
『でも同じじゃないからこそ
尊い存在になる。』
『そうそう。お互いがお互いに
必要で在るからね。』
『そして、それぞれに役割があるから
物語ここに存在しているのさ。』
『逆に言えば
存在するもの全てに役割があるといえるのさ。』

 

「う~ん…
ぼくにも何か役割があるってこと?」


『もちろんさ。』
『もし、きみが物語ここ
当たり前のように樹液を背中に乗せて
運んでいたなら
きみは【シュピ】じゃなくて
【アーマイゼン】たちのひとつ
でよかったはずさ。
でも、そうならなかった。』
『きみには何か別の役割があるってことさ。』

 



「う~ん…でもぼく
まだ何にも出来てないよ。」



『【シュピ】は、ぼくたちと一緒に
運ぼうとしてくれたよ。』
『運べなかったことを悲しんでいたよ。』
『やってみようとする
その気持ちが大事なのさ。』
『だからもう【シュピ】は
ぼくたちの大切な”とも”なんだよ。』

 

「”とも”?」


『ああ、”と” うとい ”も” のってことさ。』

 


「 ”と” うとい ”も” の…。”とも”か。
ぼく、うれしいよ!
ありがとう【アーマイゼン】。
きみたちはまるで
お日様のようにあったかいんだね。
そういえば…
背中の樹液…

なんだか”ともしび”みたいにみえるよ。

そっか、きみたちは”ともしび”を運ぶ
”ともしびたち”なんだね。」



『アハハハ!
ぼくたちは”ともしびたち”か。』
『なんだか【シュピ】と話していると楽しいよ。』
『きっと、ぼくたちと、ちがうから楽しいのさ。』
『ぼくたちは大抵同じだからね。』

 

「そうだ!
”ともしびたち”のきみたちと
”とうといもの”のぼくとで
ぼくたち【ともだち】ってことで
どうかな?」


そう【シュピ】が言うと
【アーマイゼン】たちは

『あり寄りのあり~!』

と笑いあいながら喜びました。

 

こうして【シュピ】に
たくさんの【ともだち】が出来ました。

 

 

 

「【アーマイゼン】今日はありがとう。」

『こちらこそ。楽しかったよ【シュピ】。』

 

「じゃあまたね。」

『うん。またね。』

 

そう言うと
【シュピ】は元気よく
”静かな森”へ帰っていきました。

 

 

 

 

 

 

【シュピ】を見送った
【アーマイゼン】たちのひとつが


『よいしょ…。』



と樹液を丸めて背中に乗せ

 

 

あなたに向かって尋ねます。

 

 

 

 

 

 

 

 

『あなたの役割は何?』




 

 

 

 


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