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ドッグイア #4 『つむじ風』
つむじ風🍂
ふるり 体が震えた
ひやり 襟首を撫でる風
縮こまって 信号待ち
つむじ風が生まれる瞬間を見た
くるり まわる 黄色に輝く葉
一瞬 寒さを忘れて目を細める
小さなうずまき まわる葉
まるで 子供のダンス
手を繋いで 名も知らぬ友達
限界を超え 楽しげに まわる まわる
色の失せた 枯れ果たした葉
カラ カラ 素通り 興味はなし
信号は赤いまま 変わらない
一足先に解散 まわっていた葉
ただの葉となり 道路の真ん中に落ちていた
つむじ風が消えるのを見届け ふるり
寒さを思い出すと同時に 信号は青に変わった
〇 風 ) 六一一一三 - 二一二三
こんにちは!
遥々岬です(*´▽`*)ノ
この前、札幌は積もるほど雪が降りました。
根雪になるまではまだまだといったところですが、寒さが本格的になってきました。
外を歩いているとマフラーを巻いていないと、寒さに身震いする時があったり。雪が積もってくれた方が温かいと感じることもあるので、なんとも複雑な気持ちになります。
そんな寒い中で見た情景を詩にしました。
さっそく解説していきたいと思います。
擬態語
今回、意識して入れた言葉は「ひやり」「ふるり」「くるり」などといった擬態語です。
言葉を強調する為には「ひやり ひやり」といったように言葉を二回繰り返すと良いと思うのですが、あえて繰り返しませんでした。
理由は、動作と合わなくなるからです。
秋風の冷たさを感じるのはどのくらいでしょうか? 多分、一瞬ではないでしょうか。擬態語を使うなら「ひや」が合うかもしれませんね。
そこは口に出した時に楽しいかどうかで「ひやり」に決めました。
また、「ふるり」についてですが、冷たい風が襟首を吹き抜けたとき、体はいつまでも震えていませんよね。「ひやり」も「ふるり」も一瞬の出来事のように感じるかと思います。
無邪気さ
金色とは違うけど、輝かしい葉のイメージを思い浮かべることはできるでしょうか?
枯れる途中の色であるのに、可愛らしくも綺麗な黄色です。
春から夏に見れる緑色とは違い、どこか元気そうにも見える色。
そんな葉が集まり、くるくると場所も考えずまわっていました。
私には、小さなつむじ風もまた可愛らしく見えました。
可愛い+可愛い=すごく可愛い。その可愛らしさに子供の無邪気さと可愛らしさを見たような気がしたのです。
手と手を取り合って、重力に任せて回り続けて……。たったのそんな事が楽しかった時を思い出すと、なんだか楽しげな笑い声が聞こえてくるような気にもなりました。
あえて「名も知れぬ友達」という表現を入れた理由は、そのままの意味にあります。子供のころ、初めて会った同じ年頃の子供と仲良くなった経験はありませんか? 私が見たつむじ風でまわる葉は、同じ木で育ったかもしれませんが、そんなことは私が知る筈もないので、子供の他人同士のように書いてみたのです。
秋は山が様々なものと別れる季節。町の木々もまた、静かに眠ろうとしている。
寂しく感じることもあれば、別れすら楽しめる季節。それが、秋というものなのかなと思いました。
信号機
秋は楽しい季節といいましたが、楽しげなつむじ風に近づくことは困難です。
何故なら、私たちは交通ルールを守らねばいけません。
足元に視線を落とし、寒さに耐えながら歩くも立ち止まる時はいつでしょうか?
首を縮めて待っていたいのに、顔や視線をあげなくては信号の色の確認はできません。
寒い日の待ち時間ほど、体を辛くすることはありませんね。
短くも暇な時間につむじ風が生まれた瞬間を見てしまったなら、そりゃあもう、目は釘付けになるわけで。
綺麗な黄色を見ていたら楽しそうに見えてきて……しかし、私たちはつむじ風に近づいて観察することすらできません。
なんせ、道路の真ん中で生まれたのですから。
信号機は、まるで私たちが培ってきた自制心のように思えました。
楽しそうな場面に遭遇しても、手放しにはしゃぐことはできないのです。
だから、つむじ風が消え、ただの葉に戻った瞬間。
私たちはいつも通りを取り戻しました。
足止めしていた赤色は青色に変わり、目的地に向かって歩き始めるのです。
これにてドッグイア#4を終わりにしたいと思います。
次の更新は、11月24日(日)です。
さいさいさんと11月に書いた詩を掘り下げつつ、各々が書いた詩とこれから挑戦したいことついて研究レポートとして書く予定です。
物事の捉え方や抱えている様々な感情や思いを言葉にして発信するというのは、とても緊張しますね。
それでも、このインターネットの波の中で、核心なるものを漂わせ続けたいと思います。
どうぞ、読んでくださっている皆さまも楽しんでいただけましたら幸いです。
それでは、また次回👋🏻
P.S.
最近、毎日ラーメンが食べたくて仕方ない遥々。