しじみ

1文字タイトルはフィクションです

しじみ

1文字タイトルはフィクションです

最近の記事

 咳が止まらない。  誰かを真似るように吸い始めて、随分と癖になっていた煙草が原因かと思っていたけれど、咳をした後に決まって喉に残るのは、付けすぎた香水の匂いだった。  吐きそうなほどに咽せ返っては、何かを受け入れられない自分の身体に安堵するような気持ちになる。 「もう別れたい」  泣きながら言うその人に、私は気が付いたら馬鹿みたいな量の香水を振りかけていた。 「ごめんね」  私は謝ることしかできなかった。自分が何をしたいのか、さっぱり分からなかった。甘い石鹸のような香りに包

    • 禍福は糾える縄の如し

      最近、好きだなと思った諺をタイトルにしました。 座右の銘を聞かれたら、これを答えようかな。 今の社会では、そんな会話はないでしょうかね。 仲良くしている同僚に、 「頼りない言葉だけど、神様は見ていると表現するように、努力している人間は報われるようにこの世界は出来ていると、俺は信じている」 といったことを言われました。 それは私に対する、慰めの言葉でした。優しく、嬉しい言葉でした。 どんなに環境が変わっても、この人のことを私は一生忘れないと思います。 最近とても悲しいこ

      • メシア

        今日は、 一年で一番大切な日です。 天気が悪い日は頭が痛くて嫌になりますね。 気象病ってやつなのか、歳なのか。 毎年この日は、雨と晴れを交互に繰り返しています。 天気が気まぐれなのも、なんだか納得がいく。 誰にも伝えられない感情を思い出す日です。 同時に、どうしても取り返せないものを失くしてしまった日でもあります。 それは誰かの為であるようでいて、けれども本当は自分の為だけにした選択が故だと、強く思います。 後悔するような事は何も無い。 けれども私は、あの頃の私を生

        • 麻酔は痛い

          お疲れ様です。 晴れた日の江ノ島に行きたいですね。 人が多すぎるのが難点ですが、 あそこはすごく良いところ。 もちろん写真は昔行った江ノ島です。 前回のやつが、なんやら知らん人たちに読んでいただいているようで、あたくしなんぞをどこで見つけるの?と思いますが、なんか反応をしてくださるのは、とてもありがたいです。 ありがとうございます。 今日は虫歯の治療のために歯医者さんに行きまして、麻酔が痛くてですね、すごい嫌だった。 麻酔だけが嫌なんですよ。 あれだけすごく痛いか

          とても大事なメモ

          今回は、本当に他者には一切意味のないことです。 自己表現がこの上なく好きなクソバカナルシスト野郎なのでこんなことすらも公開してしまいますが、まじで読まなくて良いと思います。 写真は、私の部屋に貼られている私が書いたキモいメモです。 でも毎日これを読まないと私はクソダメゴミ人間になってしまうので、とても大事なメモです。 自分の良くないと思うところや嫌すぎるところを書き出して整理したいので、それをやります。 今自分が勉強している分野が、周りや自分を見つめ直して深く考え想像す

          とても大事なメモ

          いつかは溶ける

          優しい映画を観ました。 よく行く映画館から家まで、 40分くらいかかるんですけど、 ほぼ一本道なのでいつも歩いて帰ります。 都会のはずなのに、人が居なくて助かります。 映画を観た時は多くの場合、心が閉鎖的になるからです。 夜明けの話が印象深い映画でした。 絶対ここじゃねえのに、ってポイントで沢山涙が出てしまって、鼻が真っ赤になってしまっています。 苦手なものが沢山あります。 それは勿論誰にでも。 私は自分の苦手なことが、人に知られるのが少し恥ずかしいです。 恥ずかしい

          いつかは溶ける

           苦労らしい苦労はしたことがなかった。僕はきっと、運が良い。彼女に出会わなければ、そんな風に思うことはなかった。僕は僕の日々が尊くて、決して簡単には手に入らないものなのだろう、ということに自分の力だけでは到底気が付かなかった。 「今日は紫?」  彼女の腕はいつもカラフルだった。赤、紫、緑、黄色、肌色。大体はその色を、さまざまな箇所で繰り返している。 「そう。こっちに赤もあるよ」  肌色は白に近くて、絵の具をのせたキャンバスのようなその腕は、異様に細くて骨張っていた。 「出来立

          恐ろしく甘い欲

          出来ないこと、怖いことがあると、それに立ち向かわなくてはならないのではないかと思ってしまう。 身近な人たちとよく性の話をする。 この類の話題が好きな人は多い。 私も嫌いな話題とは思わない。 けれど、大抵の場合は汚らしいと感じる。 このことについて、特定の誰かに深く話すことは躊躇われるので、あんまり得意じゃないとだけ返す。 好きなった人が、恋人との性行為を重要視していないようで、その自分の思考によって過去傷付いた経験があるようで、私はその人のことをもっと好きになった。

          恐ろしく甘い欲

          ありのままの偽造

          ここに記録したくなる時は、 少し疲れている時だと思う。 生きていると、たまに崇拝されることがある。 相手にとって間違いない存在となる瞬間。 その時、彼らはまごうことなき主人公となる。 私は彼らのシナリオのどこに位置するのかというと、そのハッピーエンドに向けて面白おかしい動きで主人公を翻弄する相手役といったところなのだろうけれど、そもそも自分は人に自分の行動の何かしらを決められたり束縛されたり意見されることが心底嫌いなので、もうそのシナリオが生み出された時点(つまりは相手に

          ありのままの偽造

          此処は暗闇

          特に深く考えていることではなく、 今日は短い日記なんですが、 生理周期がこの歳になってやっと落ち着いてきて、 毎月同じような周期になってきているんですけど、 おかげさまで月の中盤は決まって鬼のPMS週間となり、 毎度毎度精神がやべえことになっており、 今まさしくそれで、 精神異常って本当に抗えねえよなということを思い出したりしていて、 毎月のことなんですけれども、 毎月この時期が本当にしんどくてですね、 世の中のことも周りの話もどうでもいいというか、 もうそれどころじゃなさす

          此処は暗闇

          刃は見えない方が鋭い

          やぁ。 4月が来てしまいましたね。 周りの人間関係もぼちぼち更新されてきて、自分も己の居場所を決めあぐねています。 少しずつ状況が変わってきているのを実感し、時々どうしようもなくなって項垂れる。 近頃は、周りの人々のどうしようもない部分について考えています。 最近出会った人に、どうしても考えすぎてしまう人が居て、その人は「考え過ぎなのは分かっているが、どうしようもないのだ」と言うわけです。 その気持ちはすごく分かる。 昔そうでしたが、というか今もまだそういう部分があり

          刃は見えない方が鋭い

          どうしようもないことがある限り

          久しぶりに書くことにしました。 忙しすぎて、あっという間に年が明けてしまって驚いています。 Instagramのアカウントを削除してしまったために、こんなものを読む人は恐らくもう誰もいないに等しいとは分かっているのですが、普通に感情を記録したいので書きます。 家でよくやっているインタビューごっこと似た用途です。感情の整理ですね。 年が明けたということは、早生まれの私はあと少しでまた歳を重ねるわけですけれども、ついにアラサーと呼ばれる年齢になるわけですけれども、後悔も焦りも

          どうしようもないことがある限り

          あなたに思うこと

          誰かと居て、且つ幸せな時ってどんな時だろうと考える。 この人にどう思われてるだろうとか、これを言ったらなんて思われるだろうとか、この人の前ではこう振る舞いたい、振る舞わなくちゃとか、考えなくてもいい時。 コンビニ行って、なんか買うついでに、深く考えずにあなたの好きな物を手に取れる時。 こんなことをいちいち考えなくてもいいくらい、とにかく寝て起きた朝が楽しみな時。 刺激なんていらなくて、何かを追いかけたいなんて全く思っていなくて、ただただ、そこにあるものをずっと信じてい

          あなたに思うこと

          ファッキンキモライフ

          寝て起きたら、めちゃくちゃ元気になってました。 出勤する際に電車でチェンソーマンの最新話を見て、それでさらに元気になりました。 元気がない時、いつも同じ人の夢を見ます。 高校生の時8ヵ月間ほど付き合っていた男の子の夢です。 彼自身に未練はありません。再会できても話したいことは特にありません。 しかし私は今思えば彼以外とはイカれたお付き合いしかしたことがないので、彼と過ごした日々が恐らく幸せの象徴的なものになっているのだと思います。 夢の中ではめっちゃデカい家でごろごろし

          ファッキンキモライフ

          万策尽きたい

          疲れ、とか、ストレス、についてよく考えるんだけど、今はちょっともう考えられない感じになってる。 なってるから、恋的なやつを素直にしてみたりして、ちょっと切なくなったりしてるんだけど、なんかそれも常に持って歩くのは面倒。 双六の、一回休みが出るのを切実に願ってる感じ。 このままどうにもできなくなって、万策尽きてしまいたい感じ。あー、万策尽きてどろんしたい。って感じ。 こんなものをこんなアプリで書いて書いて、消して書いてってしてるけど、私の特技はクソコラで、現実では「やば

          万策尽きたい

          その余白

          新宿駅から都営大江戸線新宿西口駅へと地下道を進んで、改札入ってすぐのところ、鏡があると思って目を向けた壁が、私の歩みに合わせて青い壁になっていってとても綺麗でした。 時間がある時、なるべく水曜に映画館に行くんですけど、水曜に行くのは安くなるからなんですけど、そうと決まっている日は、早起きも会社も映画までの待ち時間も帰り道も、全部が特別なものに感じます。 熟考するような事柄は、対面で誰かに正確に伝えるのが難しく、文章という術を私はついつい選んでしまいますが、映画館で映画を観

          その余白