データビジュアライズの備忘録-認知的負荷-
データのビジュアライズを行う際に覚えておきたいことをまとめます。
今回は認知的負荷です。
認知的負荷とは?
"認知負荷理論"とよばれる理論があります。この理論の中で、3タイプの認知負荷が紹介されています。"課題内在性負荷"、"課題外在性負荷"、そして"学習関連負荷"です。
データのビジュアライズの際に課題になるのは、主に"課題内在性負荷"と捉えています。
このうち課題内在性負荷とは、情報自体の難度の高さが与える負荷を意味している。要するに、情報の内容を理解するのが困難になればなるほど、認知の負荷が高まるというわけだ。
複雑なデータを前に、統計値を確認して、クロス表を確認して、ヒストグラムを表示して、データの概要を把握して。。。
データの概要把握に時間と力をつかってしまい、意思決定するころにはもうへとへと。。。といった経験をお持ちのかたも多いのではないでしょうか。
データを読み解いて満足してはいけません。大事なのは読み取ったデータをどのように解釈し、どのように意思決定に活かすかということです。
データを読み取ることに掛ける時間と労力を最小化するために、認知的負荷を極力下げることを心がけましょう。
では、認知的負荷を下げるにはどうすればよいのでしょうか?考えるヒントとなるアイデアを紹介します。
データインクレシオ
アイデア1つめはデータインクレシオ(Data-ink ratio)です。
以下の式で算出されます。
Data-ink ratio = Data ink/Total ink
Data ink:データそのものを表すために使われたインクの量
Total ink:グラフ、グラフィックなど表現全体で使われたインクの量
表現全体のうち、どの程度がデータを表すために用いられているか、という指標です。(Total inkはData inkを内包します。)
良いグラフを描くには、データに紐づいていない余分なものをすべて削除すべき、という発想に基づくと、データインクレシオは高ければ高いほどよいもの、といえるでしょう。
ゲシュタルトの法則
アイデア2つめはゲシュタルトの法則えす。人間の知覚に関する法則の一つです。データ視覚化にあたり、特に重要になるのは下記6つの法則です。
近接の法則:物理的に距離が近いものを同じグループと捉える法則
類同の法則:同じ色、形状、向きのものが同じグループだと認識されやすいという法則
囲みの法則:囲っているものは1つのグループであると認識されやすいという法則
閉合の法則:欠落部分があっても頭の中にすでにあるものにフィットさせようとする法則
連続の法則:明示的に連続しているわけではないものを、連続性をもとに考え認識する法則
接合の法則:物理的につながっている複数のものを1つのグループとして認識する法則
Preattentive attributeとも密接な関係がありそうです。
まとめ
認知的負荷について紹介しました。
データビジュアライズの目的は、大kの場合データをわかりやすく表示することです。わかりやすさとは、負荷なくデータを解釈できると言い換えてもよいでしょう。
認知的負荷について知ることで、認知的負荷を下げる工夫ができます。その工夫は、ビジュアライズの際に必ず役に立つでしょう。
参考
データ視覚化のデザイン/永田ゆかり著
情報過多にご用心!生産性の低下を招く「認知的過負荷」への対処法 ── 海の向こうからオピニオン その70