After breaking everything (全部壊したその後に)
好きになったきっかけは「ペンを持ち歩いていたから」そんな所だった。
背が高くなくて少しふくよかで、所謂「可愛い系」でタイプじゃ無かったのに、雰囲気が柔らかくて飲み会が終わる頃には肩を寄せて話していた。
何回かデートを重ねて、夜の湖で付き合うことになった。
週末に家を訪ねて、ポップコーンを作ったり秘密を分け合った。
何もしなくても、近くに居られればそれだけで良かった。
多分「忙しくなった」だけが理由じゃない、
二度目のバレンタイン。
夜明けから友人と出掛けて釣った魚を、捌いて振る舞ってくれたけど
会話は何だか弾まなくて、もう私自身の事には興味がないみたいだった。
ーー嫌いになったわけではないんだろうけど。
そんなレベル、自信も底をついてきた。
隣にいるのに寂しかった。
帰り道、試すわけじゃないけれど飛ばした。
「大事にしてくれない人とは付き合えない」
電話は、鳴らなかった。
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