While blinking(瞬きをする間に)
一目惚れだった。
大人なのに子供みたいな笑い方をする人だった。
可愛くて、仲良くなりたくて肩にもたれた。
懇親会が終わる頃には、他の男といい感じになっていた。
定説通りなら上手くいくはずだった二人は、冷やかして拗れて割れてしまった。
可愛いなとは思っていたけれど、悲しい思いをしてほしいわけじゃなかったから取り持とうとしたけれど、結局壊れてしまった。
彼女は日に日にしょぼくれて、無理をしていた。
それでも喫煙所で自習室の前で、僕を見つける度嬉しそうにするからぼんやりと一緒にいた。
少しずつ距離を詰めて、誕生日に託けて中華街に出掛けた。
数分前誰も買わないだろうなと思ったおもちゃを欲しいと手にして笑う。
『今夜は鍋にしよう』と越したばかりの家に招いた。
前の住人が残して行ったソファを珍しそうに見ている。
ルームシェアの相手が女の子だっただとか帰国すれば遠恋だとか、天秤にかければきっと、マイナス要素の方が多い。
ーーそれでも
鞄から覗いたチョコレートは恐らく僕のためのものだ。
「付き合おうか」
抱きしめた肩が小さく揺れた。