創薬の指標(ver. 2023)
創薬化学の現場では、化合物最適化のための様々なパラメータが使われている。構造指標はその典型例で、リピンスキーの Ro5 などはよく知られている。古典的な考え方ではあるが、探索研究の現場でよく使われる実用的な指標で、化合物探索の生産性向上に貢献している。
最近では、学習データを使って機械学習モデルを構築、予測モデルを活用するアプローチが主流だと思う。とはいえ、古典的な経験則もやはり良いもので、実用性は高い(現実に役に立っているから生き残るわけで)。古典的な構造指標を説明変数として導入し、機械学習モデルを発展させることも当然可能である。
本エントリーでは低分子創薬でよく知られている古典的な指標について収集する(古い論文が多く、備忘録&コレクション的な意味合いも)。
今年出た論文で面白かったのは、IQ WG と Arvinas が報告した「PROTAC の推奨レンジ」に関する報告。「PROTAC はこのくらいのレンジに収まっていないと、先に進めるのはちょっとシンドイですよ」という、一定のラインが見えてきたような印象。もちろん、重要なのは実験事実であり、構造指標よる判断はあくまで目安、指針の位置づけになるわけだが。
2023/4/11 (IQ WG)
2023/6/6 (Arvinas)
構造指標に関する洞察は、化合物を絞り込んだり、何をやらないかを決めたりする際に役立つ。「温故知新」「巨人の肩に乗る」ということで、柔軟に有効活用していきたい。
※忘れているもの、見落としているものも多いと思います。適宜追加、整理、不定期に更新します。
Lipinski's rule / Rule of 5 (Ro5) / Drug-likeness
Extended Ro5 (eRo5) / Drug-likeness
Beyond Ro5 (bRo5) / Drug-likeness
Veber's rule / Drug-Likeness
Oprea's rule / Lead-likeness
Ghose filter
Muegge's rule
Rule of 4 (Ro4) / Lead-likeness
Rule of 3 (Ro3) / Fragment-likeness
Rule of 2 (Ro2) / Building block
QBB (Pfizer)
3/75 rule (Pfizer) / Drug-likeness
4/400 rule (GSK) / Drug-likeness
Golden Triangle (Pfizer) / Drug-likeness
Molecular Weight
※分子量分布の参考
LogP
※logP の計算値
CLogP, ALogP, XLogP, MLogP, ALOGPS, LogP, QLogP, ELogP
CLogP や AlogP はよく使うが、いろいろな計算方法が研究されている
もちろん、機械学習モデルを組んで数値予測することも可
LogS
SFI / Solubility Forecast Index
HBA & HBD / H-Bond Acceptor & H-Bond Donor
RB / Rotable Bond / 回転可能結合数
NAR / 芳香環の数
TPSA
pKa / 酸解離定数
Fsp3
LipE / Lipophilic efficiency / 脂溶性効率
LE / Ligand efficiency / リガンド効率
BEI / Binding Efficiency Index / 結合効率指数
SEI / Surface-binding Efficiency Index / 表面結合効率指数
ER / Eudismic ratio
CNS / 中枢移行性
QED / Quantitative Estimate of Drug-likeness
Biopharmaceutics Classification System (BCS)
Biopharmaceutics Classification System(BCS)に基づくバイオウェーバー~ガイドラインの解説と日本における課題~